1985 年 38 巻 5 号 p. 1355-1367
Macrolide系(MLs)抗生剤はStaphylococcus aureus,Stretococcus pyogenesなどに対する耐性菌の増加がみられ1, 2), その上, 優れた広範囲スペクトラムを有するPenicillin系, Cephem系抗生剤の相次ぐ登場も相まつて, 我々の領域でもMLsを選択する機会は少なくなっている。
しかし, 今回耐性菌に対する抗菌力において既存のMLsとはやや性質を異にする新しいMLsであるTMS-19-Q (TMS)3)を試用する機会を得, 全国的な研究会を組織し臨床治験を実施した。その治療成績はTMS-l9-Q>O錠4)では急性中耳炎69.4%,急性副鼻腔炎80.6%, 急性扁桃炎85.7%, 急性咽頭炎76.0%の有効率が得られ, そして更に製剤改良がなされたTMS-19-Q>GC 錠3)では急性中耳炎78.0%, 急性副鼻腔炎81.8%, 急性扁桃炎92.4%, 急性咽頭炎80.0%とβ-Lactam剤に匹敵する良好な成績が得られた。そこで, その成績の背景を詳しく検討するためこれらの治験において一括分離同定し得た検出菌につき, 疾患別分類及びMLsに対する薬剤感受性について検討を行つたので報告する。