1985 年 38 巻 7 号 p. 1979-2002
Aspoxicillin (ASPC, TA-058) は田辺製薬株式会社において開発された新しい半合成ペニシリン剤であり, Fig.1に示す化学構造を有する。
本剤の産婦人科領域における基礎的・臨床的成績については, 昭和57年6月に開催された第30回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムにおいて評価されたが1), 引続きわれわれは本剤の婦人性器感染症に対する有効性を検討する目的で, 投与量の増量による婦人性器組織への移行性を検討し, 加えて婦人科性器感染症由来の分離菌に対する本剤の抗菌力との関連において基礎的検討を行つたので, その成績を報告する。検討期間は昭和57年6月から昭和58年2月までであつた。