The Japanese Journal of Antibiotics
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38 巻, 7 号
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  • 辻野 儀一, 大国 英和, 田中 弘之, 藪内 百治, 隅 清臣, 安達 邦子, 西田 勝, 神尾 守房, 芦野 伸彦, 播磨 良一, 土居 ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1721-1738
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児疾患において感染症の占める割合は大きく, その治療の意義も大きい。その中で最近の感染症の変貌を考える時, 感染抵抗力の低下した患者の増加も重要な問題であろう。
    抗生物質は, 近年目ざましい発展を遂げ, 治療技術の向上と相まつて感染症の治療に大きく寄与していることは疑いのないところであるが, 一方では, 難治性感染症と言われる感染症が未だに存在していることも又, 事実である。
    Cefotaxime (CTX, 商品名セフォタックス®: ルセル・中外)は, フランス・ルセル・ユクラフ研究所で合成され, ルセル・ヘキスト両社で開発された新しいセフェム系抗生物質である。CTXは従来のセフェム系抗生物質に比べ, グラム陰性桿菌に対しては数十倍から数百倍の抗菌力を有し1), そのスペクトラムはHaemophilus influenzae, Indole陽性Proteus属, Enterobacter属, Citrobacter属, Serratia属, Pseudomonas aeruginosaにまで拡大しており, 又, β-Lactamaseに安定な新しいセフェム系抗生物質である2)。今回, 我々は小児科領域におけるCTXの有用性を臨床的に検討する機会を得たので, その結果を報告する。
  • 西家 綾子, 出口 浩一, 横田 のぞみ, 池上 亮祐, 小田 清次, 田中 節子, 深山 成美, 佐藤 慎一, 福本 寅雄, 松本 好弘, ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1739-1749
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime耳用液 (千寿製薬, 以下CMX耳用液と略) の臨床的有用性に関する検討が1981年6月~1984年4月にかけてTable 1に示した施設で行われた。本検討ではOpen study 441例, 二重盲検試験216例が検討され, 有用性が確認1-4)された。
    本検討では又, それと同数の患者採取材料からの細菌の分離, 同定, MIC測定に関する細菌学的検討を私たちが担当した。このうち化膿性中耳炎, 急性びまん性外耳炎を対象とした1% CMX耳用液に関するOpen study 302例, 化膿性中耳炎を対象とした二重盲検試験216例の合計518例の細菌学的検討成績を報告する。
    患者採取材料からは多種類の細菌が検出されたが, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosaが高率に検出された。検出菌のCMX及び対照剤Cefazolin, Chloramphenicol, Fradiomycinの感受性 (MIC) 成績は, S. aureusのCephem antibiotics (以下Cephem系) 耐性菌が2割強にみられた他, 多剤耐性菌が高率に確認された。これらの菌種に対するCMXの抗菌力は, おおむね良好且つバランスのとれた成績で, S. aureusのCephem系耐性菌, P. aeruginosaにも, 局所の濃度レベルでは十分に除菌可能な成績であつた。
  • 茂木 五郎, 木下 治二, 伊藤 弘美, 大野 郁夫, 本堂 潤, 村井 兼孝, 杉山 和子, 伊東 一則, 小川 敬, 勝田 兼司, 鈴木 ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1750-1760
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (以下CCLと略す) は, 現在経口用Cephem剤として, すでに発売され (商品名: ケフラール), 各科領域の感染症に広く使用されている. S6472はそのCCLの速溶性顆粒40%と腸溶性顆粒60%が混合された血中濃度持続性製剤1)で朝夕食後の1日2回服用でよいとされており, カプセル製剤と顆粒製剤がある。
    本剤の吸収, 排泄はすでに男子健康成人について検討されており, 食後375mg1回投与した場合, 血中濃度は投与後5時間でPeak (1.98μg/ml) に達し, その後徐々に低下し, 12時間近く持続するとされている2)。
    今回,S6472の提供を受け, 耳鼻咽喉科領域感染症に対し, 標記19施設において共同研究を行つたのでその成績を報告する。
  • MINORU ISHIZAWA, SHUN-ICHIRO TANIGUCHI, TOMOKO NAGAMATSU, TOYOKAZU KAW ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1761-1768
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Agents capable of preventing the toxicity of mitomycin C (MMC) were investigated by a cytotoxicity assay utilizing the E. coli strain WP2 uvrA, a strain sensitive to the bactericidal action of MMC. Of various compounds, mixtures, and rat tissue extracts assayed, the solution of liver extracts and yeast extracts and DULBECCO'S modified EAGLE'S medium (DMEM) exhibited potent activity in protecting the cells against the MMC toxicity. A further analysis of the individual components of DMEM revealed that glucose is the active principle responsible for the protection seen with DMEM. A similar protection has been observed with the use of mannose, mannitol, 2-deoxyglucose, D-glucuronic acid, glucosamine, and N-acetylglucosamine of 16 sugar derivatives tested. The protection by glucose was specific to treatment of cells with MMC but not with UV-irradiation, cis-diamminedichloroplatinum (II), 4-nitroquinoline 1-oxide, or furylfuramide. Unlike the bacterial cells, there was no protective response in the mammalian cells in culture and in mice, given a lethal dose of MMC, concurrently with glucose or each derivative. The possible mechanisms involved in this prevention of MMC toxicity by glucose are discussed.
  • 千葉 文子, 小宮 泉, 藤田 正敬, 新開 祥彦, 桜井 孝, 仲由 武實
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1769-1775
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (MT-141, 以下CMNXと略す) は, 広範囲のグラム陽徃菌及び陰性菌に強い抗菌力を示すと共に, 各種細菌産生のβ-ラクタマーゼに対し安定な新規セファマイシン系の抗生物質1)である。
    すでに我々はウサギ, イヌにおける本物質の体内動態2, 3)及びイヌ, ラットにおける腎排泄機構4, 5) について報告してきたが, 今回はCMNX40mg/kgをイヌに1hr/animalの速度で1回点滴静注した時の組織及び液体試料中への移行性を検討したので報告する.
  • I. Ampicillin骨格の代謝
    高木 昭男, 能海 和宣, 粟田 則男, 青山 卓夫, 植村 佳孝
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1776-1784
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lenampicillin hydrochloride (LAPC) の代謝, 特にAmpicillin (ABPC) 骨格の代謝をヒト, イヌ及びラットについて検討した。
    ヒト及び動物のいずれにおいても未変化体は血中及び尿中に検出されず, 更に動物においては門脈血中にも認められないので, LAPCは経口投与後吸収過程で速やかに加水分解されると推察された。
    代謝物の尿中排泄率はヒトで投与量の93%, イヌで74%, ラットで55%を示し, この結果からLAPCの消化管吸収は良好であると判断された。
    パイオオートグラム並びにパイオアッセイ法とHPLC法によるABPCの定量結果から活性代謝物はABPCだけであると判断された。ヒト, イヌ及びラットのいずれにおいても尿中主代謝物はABPC, ABPA及び5S-ABPAであり質的な差は認められなかつたが, 量的には種差がみられた。
    更に, 主としてラットを用いたin vitro代謝の実験から, LAPCは腸管腔内では安定であるが腸管壁, 血液及び肝臓中で速やかに代謝を受けることが明らかにされた。
    以上の結果から, LAPCは吸収の改善並びに副作用の軽減等有用性の高いABPCのプロドラッグであることが示された。
    謝辞本研究を実施するにあたり, 御指導をいただきました日本大学中山一誠博士に深謝致します。
  • II. Promoietyの代謝
    高木 昭男, 能海 和宣, 粟田 則男, 青山 卓夫, 植村 佳孝
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1785-1793
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lenampicillin hydrochloride (LAPC)のラット及びイヌにおけるPromoietyの代謝をin vitro及びin vivoにおいて検討した。
    LAPCをラットの腸管ホモジネート, 肝ホモジネート及び血液のそれぞれとインキュベートすると代謝物として, Diacetyl, Acetoin及び2, 3-Butanediolが同定された。
    LAPCをラット及びイヌに経口投与すると, 末稍血漿中の主代謝物は2, 3-Butanediolであつたが, 投与初期においては門脈血漿中にAcetoinが高濃度に認められたので, Acetoinへの代謝は主として腸管組織で行われ, 2, 3-Butanediolへの代謝は主に肝で行われることが示唆された。
    尿中代謝物としてAcetoin, 2, 3-Butanediolが検出されたが, その排泄量は少なく, 両代謝物を合せて, 投与後48時間までにラットで約9%, イヌでは1%以下であつた。
    以上の結果から, ラット及びイヌにおけるLAPCのPromoietyの主代謝経路をFig.9のように推定した。
  • Amoxicillinを対照薬とした二重盲検比較試験
    平吹 明子, 溝口 昌子, 佐久間 昭, 久木田 淳, 野波 英一郎, 占部 治邦, 菱川 秀夫, 成田 博実, 高橋 久, 荒田 次郎, ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1794-1818
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    浅在性化膿性疾患を6群に分類し,経ロペニシリン系抗生剤であるLenampicillin (LAPC) とAMPCとの二重盲検比較試験を実施した。
    LAPC1日1g (分4), AMPC1日1g (分4) 14日間投薬し, 両薬剤群間にほぼ同等の臨床効果が認められ, なお副作用においては, 高度の副作用発現率においてLAPCが低い傾向にあつた。
    総投与症例は235例 (LAPC群115例, AMPC群120例) であり, 除外症例は10例 (LAPC群4例, AMPC群6例), 脱落症例は12例 (LAPC群5例, AMPC群7例) であつた。最終全般改善度評価は213例 (LAPC群106例, AMPC群107例), 有用性評価は215例 (LAPC群106例, AMPC群109例), 概括安全度評価は231例 (LAPC群115例, AMPC群116例) について行つた.
    1.最終全般改善度LAPC群では治癒55.7%, 著しく改善以上79.2%, 改善以上88.7%, AMPC群では治癒50.5%, 著しく改善以上76.6%, 改善以上91.6%であり両薬剤群間に有意差は認められなかつた.
    2.概括安全度LAPC群では安全93.9%, AMPC群では安全94.0%であり両薬剤群間に有意差は認められなかつた。副作用はLAPC群115例中2例(1.7%), AMPC群116例中5例 (4.3%) であり高度 (投薬中止を必要とする程度) の副作用発現率において, LAPC群が低い傾向 (P<0.1) にあつた。
    3.有用性LAPC群では極めて有用56.6%, 有用以上86.8%, AMPC群では極めて有用51.4%, 有用以上84.4%であり両薬剤群間に有意差は認められなかつた。
  • 香山 恵子, 松下 忠弘, 山口 東太郎
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1819-1826
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    一般に抗菌剤の殺菌力は最小殺菌濃度(MBC)の測定, 増殖曲線に及ぼす影響等の検討により評価されているが, これらの試験は一定の薬剤濃度で行われている。しかし, 生体内においては投与量及び投与法に応じて薬剤濃度は変化して行く。そこで, これまでにヒト血中濃度を功in vitroでSimulateするKinetic modelを用いて, MURAKAWAら1)はCefazolin(CEZ)の, 又, 山城ら2)はPiperacillin(PIPC)のダイナミックな系における殺菌作用の検討を行い, 最小発育阻止濃度(MIC)以上の濃度を維持する時間と殺菌作用の発現に相関性のあることを報告している。
    今回, 私共はAspoxicillin(ASPC)の抗菌力はPIPCより若干劣るものの, その体内動態が優れていることから3), ヒト血中濃度の推移を考慮した条件下におけるASPCの殺菌作用に興味を持ち, MURAKAWAらの考案したin vitro model 1)を用いてEscherichia coli及びKlebsiella pneumoniaeに対する殺菌作用についてPIPCを対照薬剤として検討したので報告する。
  • 佐藤 肇, 新納 憲司, 中澤 進, 中田 義雄
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1827-1834
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC, TA-058)は田辺製薬で開発されたFig.1の構造式を有する新広域Penicillin系抗生物質であり, 主として静注で使用され, すでに成人各科領域における基礎的, 臨床的成績が昭和57年6月, 第30回日本化学療法学会総会で報告され, その有用性が認められている1, 2)。
    今回小児を対象としての本剤に関する2, 3の検討を行うことができたので今日までの概況について報告する。
  • 金 保洙, 目黒 英典, 米沢 弘幸, 益子 仁, 藤井 良知, 川生 泰子, 田島 剛
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1835-1845
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC, TA-058)は田辺製薬株式会社で開発された注射用Penicillin系新抗生物質である。化学構造式, 化学名はFig.1に示すとおりである。6位側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有している。分子量は547.58である。
    本剤は広くグラム陽性菌, グラム陰性菌に抗菌力を有し, in vitroにおける効果よりもin vitroにおける効果に優れていることが特徴の1つとされる。本剤の実験動物における安全性は確認されており, 更に成人における臨床検討も行われ,その安全性, 有効性が報告されている1)。我々は小児における本剤の安全性及び有効性について検討したので報告する。
  • 三河 春樹, 大久保 秀夫, 伊藤 節子, 望月 康弘
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1846-1852
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC)は田辺製薬株式会社において開発された6位側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有するPenicillin系抗生物質である。本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に抗菌力を有し, 特にin vitroにおける効果よりin vitroにおける効果に優れていると言われている。本剤の基礎的検討, 成人における臨床評価は1982年6月の第30回日本化学療法学会総会で発表され, その安全性と有効性が認められている1)。この度我々は, 小児科領域ASPC研究会の一員として本剤の小児における臨床的検討を行う機会を得たので報告する。
  • 早川 文雄, 久野 邦義, 上田 佐智恵, 中島 崇博, 袴田 享, 宮地 幸紀
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1853-1867
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC, TA-058)は, 田辺製薬株式会社で開発されたPenicillin系の新しい注射用抗生物質で, 化学構造上Amoxicillin(AMPC)側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有する1)(Fig.1)。
    本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に広く抗菌力を有し, 殺菌力も比較的強いとされている。特にin vitroにおける効果よりもin vitroにおける効果に優れ2), 各種実験感染症で良好な治療効果が示されている1)。又, 安全性については急性, 慢性毒性が低く, 投与後の吸収も良好で, 体内で分解代謝されず, 主に尿中に排泄される1, 3)。今回我々は, 小児における本剤の吸収, 排泄試験及び臨床的検討を行つたので報告する。
  • 溝口 文子, 中村 はるひ, 片山 道弘, 柴田 元博, 岩井 直一, 種田 陽一
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1868-1881
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC, TA-058)は, 田辺製薬株式会社で開発された半合成Penicillin剤であり, Amoxicillin(AMPC)の側鎖にアミノ酸残基であるN4-Methyl-D-asparagineを導入したものである1)。本剤は既存のPenicillin系抗生剤と同様にグラム陽性菌並びに陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有しており, in vitroにおける抗菌力はStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Enterococcus faecalisなどのグラム陽性菌に対してはAmpicillin(ABPC)に劣るがPiperacillin(PIPC)とほぼ同等であり, Escherichia coli, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzaeなどのグラム陰性菌に対してはABPCより優れ, PIPCとほぼ同等と言われている1~6)。しかしながら, 本剤の最も大きい特長は, このようなin vitroにおける抗菌力から予想できないような優れた治療効果が各種の動物感染実験で認められる点にあると言われている1, 2, 4, 5, 7, 8)。更に, 本剤は静注後の血清中濃度の維持が良好であり, 組織内移行に優れている点などの特長を有している1)。このような本剤の特長は, 人での臨床面にも反映されることが予想され, 大きい期待が寄せられる。
    今回, 我々は小児科領域におけるASPCの基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績について報告する。
  • 落合 秀江, 神谷 斉, 落合 仁, 河井 和夫, 桜井 実, 登 勉, 加藤 康子
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1882-1888
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058) はペナム環6位側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを導入した半合成ペニシリン系抗生物質である。本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に抗菌力を有し, 殺菌作用は比較的強力で, in vitroよりin vivoでの効果に優れるという特徴を有する1)。
    小児に投与した際の血清中濃度と尿中排泄率, 更に臨床効果と副作用につき基礎的, 臨床的検討を行つたので報告する。
  • 田吹 和雄, 高木 道生, 西村 忠史, 高島 俊夫
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1889-1897
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 細菌感染症にみられる起炎菌の種々の変貌は, 臨床的にも新しい抗生物質の開発, 研究における大きな原動力となつている。特にセフェム系抗生物質においてはこれらを考慮し抗菌力の拡大と, β-Lactamase抵抗性に焦点がおかれ, 新たな薬剤の開発, 更にその実用化が進められている。
    さて, 今度, 田辺製薬株式会社において開発された側鎖にアミノ酸残基を導入した新しい半合成ペニシリン系抗生物質であるAspoxicillin (ASPC, TA-058)1)はグラム陽性菌, グラム陰性菌に抗菌力を有し, 殺菌作用も比較的強く, 特に, in vitroよりin vivoにおける効果が優れていることが, 各種実験感染症から示されている。
    すでに本邦では, 1982年6月の第30回日本化学療法学会総会2)において, 本剤の評価がなされ, 臨床的にもその効果, 安全性が示された。そこで今回, 小児科領域においてもこれら成人の成績の結果から本剤の検討が行われることになり, 著者もその機会を得たので, ここにそれらの成績について述べる。
  • 大倉 完悦, 黒木 茂一, 春田 恒和, 小林 裕
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1898-1904
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058) は田辺製薬株式会社で開発された, 側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを結合した新注射用Amoxicillin (AMPC) 誘導体で, 血中濃度, 組織内濃度共にAmpicinin (ABPC) より高い上に, 半減期も長く, in vivo効果が優れていると言われる1)。
    われわれはすでに本剤について若干の基礎的検討を行い, その成績を報告した2)が, 本剤の抗菌力は, ABPCと比べて, Staphylococcus aureusでは及ばなかつたものの, Escherichia coli, Salmonella sp., Proteus mirabilisではやや優れており, Enterobacter, Citrobacter, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaにも弱いながら感受性を示す株が認められた。更に本剤は, Streptococcus pneumoniaeに対してはABPCより1段階弱いが, Haemophilus infiuenzaeでは3段階程度優れた抗菌力を示し3), しかもABPCより殺菌力が強い4)。
    本剤の成人領域における検討成績は, 第30回日本化学療法学会総会において新薬シンポジウムとして討議され, β-Lactamase非産生株による感染症に対するその有効性と安全性が認められた1)。上述の本剤の抗菌力上の特質は, 小児の感染症, 特に呼吸器感染症に対してABPCより適していることを示すものと考えられ, 更に幼若動物における安全性検討の結果問題のないことも証明されたので, 小児科領域研究会で検討が進められた。われわれもその一員として若干の知見を得たので報告する。
  • 増田 昌英, 宮尾 益英, 市岡 隆男, 細田 禎三
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1905-1910
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    田辺製薬において開発されたAspoxicillin (ASPC, TA-058) は, 6位側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有する注射用Penicillin系抗生物質であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に抗菌力を有し, 殺菌作用は比較的強く, in vitroよりin vivoの効果が優れているとされる1, 2)(Fig. 1)。
    今回, われわれは小児科領域における細菌感染症患者に本剤を使用する機会を得, 臨床的検討を行ったので報告する。
  • 西岡 敦子, 小橋 秀彰, 大原 克明, 宮本 直紀, 岡本 喬
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1911-1917
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (TA-058, ASPC) は, 田辺製薬株式会社において開発された新しい半合成Penicillin系抗生物質であり, その構造式はFig. 1に示すようにAmoxicillin (AMPC) の側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを導入したものである。本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 殺菌作用は比較的強い。特に, in vitroにおける効果よりin vivoにおける効果に優れ, 各種実験感染症で優れた治療効果が認められている1)。
    今回, 我々はASPCを小児細菌感染症に対して使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 長尾 秀夫, 松田 博, 貴田 嘉一, 村瀬 光春
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1918-1924
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058),(2S, 5R, 6R)-6-[2R-2-(2R-2-Amino-3-N-methyl carbamoylpropionamido)-2-(4-hydroxyphenyl) acetamido]-3, 3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo [3. 2. 0] heptane-2-carboxylic acid trihydrateはAmoxicillin (AMPC) のアミノ基にN4-メチル-D-アスパラギンを導入した半合成ペニシリン製剤で, 図1に示す構造式を有する1)。本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌にも広い抗菌スペクトルを有し, 更に殺菌作用が強いと報告されており1~3), その有効性と安全性についてはすでに成人領域の各種感染症で明らかにされている4)。今回, 著者らは小児科領域の細菌感染症に対するASPCの有用性を検討する機会を得たので, その結果を報告する。
  • 前田 麻子, 小倉 英郎, 脇口 宏, 喜多村 勇, 荒木 久美子, 白石 泰資, 利根 洋一, 大原 雄二
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1925-1930
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058) は田辺製薬株式会社によつて開発された合成ペニシリン系抗生物質である。成人領域における本剤の有効性と安全性はすでに確認されているが1~5), 小児科領域での本剤の安全性と有効性については未だ十分なデータが得られていない。今回, 著者らは小児の各種感染症に対して, ASPCによる治療を経験し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1931-1943
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058) は田辺製薬株式会社において新しく開発されたPenicillin系抗生物質で化学構造上, 6位側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有している(Fig.1)。
    本剤は, 広くグラム陽性菌及びグラム陰性菌に抗菌力を有し, 特にin vitroにおける効果よりin vivoにおける効果に優れ, 各種実験感染症に優れた効果が認められている1)。
    今回, 我々は本剤を臨床的に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 植田 浩司, 佐藤 忠司, 黒岩 利正
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1944-1950
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin(ASPC,TA・058)は田辺製薬株式会社において開発されたAmoxicillinの6位側鎖にN4・メチル-D一アスパラギンを有する新しいPenicillin系抗生物質である1)。広域抗菌スペクトラムを有する合成Peni-cillinとしてAmPicillinのほか,特に緑膿菌を含むグラム陰性菌に有効なCarbenicillin,Sulbenicillin,グラム陰性菌に一層強い抗菌力を有するPiperacil!mがあり,すでに小児細菌感染症の治療において広く応用されている2・3)。本剤はグラム陽性菌,陰性菌に抗菌力を有し,殺菌力は強く,特に血中濃度の半減期が他のPenicillm系抗生物質よりやや長くjnyitroにおける効果よりinviγoにおける効果に優れることが示唆されている9。私たちは本剤ASPCを小児の感染症に使用し,その臨床効果及び吸収排泄について検討したのでその成績を報告する。
  • 川上 晃, 田中 地平, 浦部 大策, 小野 栄一郎, 田中 永一郎, 加藤 栄司, 山下 文雄, 坂本 博文, 松尾 宏, 長 博雪, 荒 ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1951-1971
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (AsPc) は田辺製薬株式会社で開発された新しいPenicillin系薬剤の注射剤で, 化学名は (2S, 5R, 6R)-6-[2R-2-(2R-2-Amino-3-N-methyl carbamoylpropionamido)-2-(4-hydroxyphenyl) acetamido]-3, 3-dime-thyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo [3.2.0]heptane-2-carboxylic acid trihydrateで, その化学構造式をFig.1に示した。本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを有し1~5), in vitroよりはin vivoで優れた治療効果がある1,5~7)と言われ, すでに1982年の第30回日本化学療法学会総会における新薬シンポジウムで, 基礎的検討及び成人での臨床評価が発表8)されている。
    そこで私たちは小児科領域でも本剤の有用性を論ずる目的で, 小児における吸収, 排泄と胸水への移行を測定すると共に, 種々の細菌感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 冨増 邦夫, 柳島 正博, 中山 紀男, 辻 芳郎
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1972-1978
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (TA-058, ASPC) は, 田辺製薬株式会社において開発された注射用新半合成Penicillin剤であり1), その構造式をFig.1に示す。ASPCは, 動物実験においては, in vitroにおける効果より, in vivoにおいて優れていると言れわている2, 3)。
    今回私達は, 小児の呼吸器感染症を中心とする種々の感染症に対する本剤の基礎的, 臨床的検討を行つたので報告する。
  • 岡田 悦子, 岡田 弘二, 白藤 博子, 保田 仁介, 野田 克已, 二宮 敬宇, 野田 起一郎, 伊藤 邦彦, 金尾 昌明, 真木 正博, ...
    1985 年 38 巻 7 号 p. 1979-2002
    発行日: 1985/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC, TA-058) は田辺製薬株式会社において開発された新しい半合成ペニシリン剤であり, Fig.1に示す化学構造を有する。
    本剤の産婦人科領域における基礎的・臨床的成績については, 昭和57年6月に開催された第30回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムにおいて評価されたが1), 引続きわれわれは本剤の婦人性器感染症に対する有効性を検討する目的で, 投与量の増量による婦人性器組織への移行性を検討し, 加えて婦人科性器感染症由来の分離菌に対する本剤の抗菌力との関連において基礎的検討を行つたので, その成績を報告する。検討期間は昭和57年6月から昭和58年2月までであつた。
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