The Japanese Journal of Antibiotics
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大腸癌術後感染予防におけるAmikacinの術前経口投与の意義
藤本 幹夫酒井 克治上田 隆美
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1986 年 39 巻 11 号 p. 2889-2896

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抄録

術後感染の頻度を調べると, 下部消化管術後に多いことがわかる。これは大腸内に多種の細菌が常在しており, 手術の際にこれら細菌によつて術野が汚染される機会が多いからにほかならない。感染には大腸菌, 緑膿菌など好気性菌が主要な起炎菌とされてきたが, 近年, 嫌気性菌も関与していることが判明し, 従来から用いられてきたKanamycin (KM) に嫌気性菌用薬剤 (Erythromycin (EM), Lincomycin (LCM), Metronidazole (MET)) などが併用されるようになつた。ところが, 感染巣から分離された好気性細菌のKMに対するディスク感受性は低下してきており, 今回, まだ抗菌力の良好なAmikacin (AMK) 3, 10, 21)を選択して腸内細菌数の変化並びに術後感染予防効果について検討し, AMK投与の意義について若干の文献的考察を加えた。

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