The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefixime細粒の臨床的検討
春田 恒和黒木 茂一小林 裕
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1986 年 39 巻 4 号 p. 1106-1114

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抄録

Cefixime (CFIX) は藤沢薬品中央研究所において開発された新経口用Cephalosporin剤である1)。各種β-Lactamaseに極めて安定で, Staphylococcusに対する抗菌力は従来の経口用Cephalosporin剤より劣るが, Streptococcustle対してはほぼ同等, 種々のグラム陰性菌に対してははるかに優れ, それらの耐性菌にも有効で, しかも今までの経口用β-Lactam剤が及びにくかつたIndole陽性Proteus, Morganella, Providencia, Enterobacter, Citrobacter, Serratiaなどにも見るべき抗菌力を示し, 抗菌域が非常に広く, いわゆる第3世代Cephem剤なみである1~3)。一方Enterococcus faecalis, Listeria monocytogenesに弱い欠点も共有する3)。
成人における本剤経口投与後の血中濃度のピークは4時間にあり, 半減期は約2.5時間と持続的で, 尿中には 12時間までに約25%が排泄された4)。本剤は従来のものと異なり, 空腹時より軽食後投与の方がより高い血中濃度が得られる4)。本剤の基礎的研究及び成人領域における1,369例の臨床検討成績は, 1984年11月の第31回日本化学療法学会東日本支部総会において新薬シンポジウムとして討議され, その有効性, 安全性が認められた4)。
今回本剤の小児用製剤が作られ, 小児科領域研究会を組織して, 検討が進められてきた。われわれもその一員として, 本製剤の吸収, 排泄, 臨床使用成績を検討し, 若干の知見を得たので報告する。

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