The Japanese Journal of Antibiotics
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39 巻, 4 号
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  • 勝 正孝, 斎藤 篤
    1986 年 39 巻 4 号 p. 889-904
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Oftoxacin (OFLX, DL-8280,(±)-9-Fluoro-2, 3-dihydro-3-methyl-10-(4-methyl-1-piperazinyl)-7-oxo-7H-pyri-do [1, 2, 3-de][1, 4] benzoxazine-6-carboxylicacid) は, 第一製薬株式会社により開発されたQuinoline母核を有するPyridonecarboxylic acid (PCA) 系の経口用抗菌剤である (Fig. 1)。
    PCA系抗菌剤は1962年, Naphthyridine母核を有するNalidixic acid (NA) が発表されて以来, その改良を目的として多数の関連化合物が合成されてきた。わが国では, NA以後, 相次いでPyridopyrimidine母核のPiromidic acid (PA) 及びPipemidic acid (PPA), 更に, Cinnoline母核のCinoxacin (CINX) が開発され市販されているが, ここまでの薬剤はいずれもグラム陰性菌にだけ有効であり, 適応症も尿路感染症あるいは胆道感染症, 腸管感染症などに限られていた。その後の研究により開発されたQuinoline母核を有するNorfloxacin (NFLX) は, Quinolineの6位フッ素と7位Piperazineの組合せにより抗菌活性が飛躍的に増強され, 抗菌スペクトルもグラム陽性菌にまで拡大された薬剤で, 上気道感染症, 皮膚感染症にも適応が認められすでに市販されているが, 吸収, 分布, 代謝の面で改良の余地が残されていた。
    OFLXは更に改良が加えられたもので, Quinolineの1位と8位でOxazine閉環することにより水への溶解性が増し, 生体内で代謝を受け難いという特性を保持し, 且つ, 7位PiperazineにMethyl基を導入して適度の脂溶性を付与することにより, 良好な腸管吸収性と組織移行性, 更に, 強力な抗菌活性を併せ持つに至つた薬剤である1)。本剤は, これらの基礎的特徴を反映した優れた臨床成績に基づき, 下気道感染症をも含む極めて広範な適応症が認められている。
  • 藤田 公生, 佐山 孝, 村山 猛男, 川村 実
    1986 年 39 巻 4 号 p. 905-908
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経尿道的前立腺切除 (TUR-P) 後の尿路感染症は難しい問題である。術前に感染を有する例は敗血症などの合併症の危険が大きいので, 必ず感染の治療を行い, 無菌的になつたのを確めてからTUR-Pを行うべきだとする意見は多い1)。しかし, 現実には抗菌剤を投与しても術後経過に差はなかつたという報告が一時期, 多数みられた1~3)。最近では抗菌剤の投与によつて術後感染を有意に予防できたという報告が多くなつている4~11)。今回われわれは, 一定の方針で抗生剤の投与を行い, 術前と手術の4日後の2点でチェックすることによつて, 実際の感染がどの程度に起きているものか, 又, この方針で実際に感染がコントロールできるものかを検討したので報告する。
  • 本廣 孝, 荒巻 雅史, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 久田 直樹, 石本 耕 ...
    1986 年 39 巻 4 号 p. 909-957
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefminox (CMNX) は明治製菓株式会社中央研究所で新しく開発されたCephamycin系の注射用抗生物質である1)。その化学名はSodium (6R, 7S)-7-[(S)-2-(2-amino-2-carboxyethylthio) acetamido]-7-methoxy-3-[[(1-methyl-1H-tetrazo1-5-yl) thio] methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[ 4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylate heptahydrateで, Fig. 1に示した構造式を有し, 各種の細菌が産生するβ-Lactamaseに安定であり, 抗菌域は好気性グラム陽性菌, グラム陰性菌及び嫌気性菌と広く, 感染治療実験においてMICから推定される以上の効果が得られている2~5)。本剤はすでに1983年の第31回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムで基礎的検討及び成人での臨床評価が論じられている6)が, 本剤のヒト糞便内細菌叢への影響を検索した成績はない。
    そこで私たちは健康成人にCMNXを投与し糞便内細菌叢への影響をみると共に本剤の糞便中濃度を測定, 糞便から分離した種々の細菌の本剤とCefmetazole (CMZ), Cefbtaxime (CTX) に対する感受性を比較すると共に副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 平井 嗣郎, 児玉 卓也, 平岩 徹, 阿部 典生, 荒井 博敏, 小野 哲, 大森 雅春, 中田 吉孝, 橋場 和彦, 棚田 貴久子, 前 ...
    1986 年 39 巻 4 号 p. 958-978
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pivaloyloxymethyl (+)-(6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-amino-4-thiazolyl)-2-methoxyiminoacetamido]-3-[(5-methyl-2H-tetrazol-2-yl)methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylate (T-2588) は当社綜合研究所において開発された経口用エステル型Cephem系抗生物質である。T-2588は経口投与により腸管吸収され, エステラーゼによつて抗菌活性を示す (+)-(6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-methoxyimlnoacetamido]-3-[(5-methyl-2H-tetrazol-2-yl) methyl]-8-oxo-5-thia-1-azablcyclo [4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylicacid (T-2525) に加水分解される。両者の化学構造式をFig. 1に示した。T-2525はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトルを持ち, 強い抗菌力を示す。又, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して強い抵抗性を示すほか, 実験的感染症に対してもin vitro同様の優れた効果を示すことが報告されている1)。
    本報告はT-2588の薬理学的特性を明らかにする目的で, 一般薬理作用について検討したものである。
  • 才川 勇, 前田 豊男, 中島 良文, 酒井 広志, 早川 大善, 小野田 誠, 松谷 博子
    1986 年 39 巻 4 号 p. 979-990
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ラット及びマウスにおける吸収, 分布及び排泄について (Aminothiazole-2-14C) T-2588と (Pivaloyloxymethyl-14C) T-2588を用いて検討し以下の知見を得た。
    1.(Aminothiazole-2-14C) T-2588投与後のin vivo血清たんばく結合率は90~100%であつた。
    2.(Aminothiazole-2-14C) T-2588投与後の血中濃度は投与後1時間で最高濃度に達し, 以後緩やかに減少した。
    3.(Aminothiazole-2-14C) T-2588投与後の臓器及び組織内濃度は胃, 小腸, 膀胱及び腎が最も高かつた。その他, 副腎, 肺, 肝, 心, 膵等, 広く分布した。脳ではほとんど認められなかつた。幼若ラットの臓器及び組織内濃度は成熟ラットの場合と比較して低濃度で持続する傾向であつた。
    4.(Aminothiazole十2-14C) T-2588を投与した場合尿中排泄率はラットでは約26%であり, マウスでは約35%であつた。又, 糞中排泄率はラットでは約76%であり, マウスでは約63%であつた。
    5. マウスに (Aminothiazole-2-14C) T-2588を7日間連続投与した時の尿中及び糞中排泄パターンは1回投与の場合と同様で蓄積性は認められなかつた。
    6.(Pivaloyloxymethyl-14C) T-2588を投与した時, ラット, マウス共に尿中に約8%, 糞中に約6%が排泄され, そして呼気中に14CO2としてラットで約55%が, マウスで約66%が排泄された。
    7, ラットに(Aminothiazole-2-14C) T-2588を投与した時の胆汁中排泄率は約65%であつた。
  • 才川 勇, 前田 豊男, 中島 良文, 酒井 広志, 早川 大善, 小野田 誠, 松谷 博子
    1986 年 39 巻 4 号 p. 991-995
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    19851002Pivaloyloxymethyl (+)-(6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-amino-4-thiazolyl)-2-methoxyiminoacetamido]-3-[(5-methyl-2H-tetrazol-2-yl) methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylate (T-2588) は貞木らによって合成された新規セフェム系抗生物質で, その活性体である(+)-(6R, 7R)-7[(Z)-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-methoxy-iminoacetamido]-3-[(5-methyl-2H-tetrazol-2-yl) methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylic acid (T-2525) はグラム陽性菌及び陰性菌に対し優れた抗菌スペクトルを有する1)。14C-T-2588のラット及びマウスにおける体内動態についてはすでに報告2, 3) されているが, 今回オートラジオグラフィーの特徴を生かして更に検討を加え若干の知見を得たので報告する。
  • 後藤 俊弘, 川原 元司, 坂本 日朗, 大井 好忠, 永田 進一, 梁瀬 一郎, 花房 明憲, 今村 章, 島田 剛, 川畠 尚志, 白浜 ...
    1986 年 39 巻 4 号 p. 996-1006
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (MK-0787/MK-0791) は米国メルク社において開発された。Thienamycinの誘導体であるMK-0787とMK-0787の腎における分解酵素であるDehydropeptidase-I (DHP-I) の特異的阻害剤としてのMK-0791の合剤である (Fig. 1)。
    今回, 我々はMK-0787の尿路感染症分離菌に対する抗菌力並びにMK-0787/MK-0791 (鳥居薬品製造) の尿路感染症及び副性器感染症に対する臨床的検討を行ったのでその成績を報告する。
  • 目黒 英典, 有益 修, 宗田 英幸, 吉田 純一, 戸賀崎 久美, 藤井 良知
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1007-1019
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品工業 (株) によって開発された新しい経ロセフェム系抗生物質 (CEPs) である。化学名, 化学構造はFig. 1のとおりで, 7位側鎖はsyn型でβ-Lactamaseに安定な構造をしている。分子量は453.44である。本剤は経口剤でありながら, 注射用の第5群セフェム剤1) と類似の抗菌力, 抗菌範囲を持ち, Enterococcus faecalisを除く連鎖球菌及びグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示す2)。
    本剤の成人における臨床第3相試験はすでに終了し, その安全性及び有効性が報告されている3)。強い抗菌力と体内動態を考慮して, 従来の経口β-Lactam剤に較べて投与量を少なくしてある点が特徴である。この度, 我々は小児科領域のCFIX研究会の一員として, 本剤の小児における検討を行う機会を得たのでその成績を報告する。
  • 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 中澤 進一, 鈴木 博之, 松本 貴美子, 近岡 秀次郎, 神垣 昌人, 小井土 玲子, 新納 憲司
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1020-1034
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品中央研究所で創製された新しい内服Cephalosporin系製剤でありグラム陽性, 陰性菌に広い抗菌性があり, 且つ各種β-ラクタマーゼに安定で, 又, 半減期が既存の内服Cephalosporin系製剤に比較して長い点が特徴とされており, 成人各種感染症に対し1回100mg 1日2回の少量投与で満足すべき臨床成績の得られたことが第31回日本化学療法学会東日本支部総会 (昭和59年11月29日) 新薬シンポジウムで報告されている1)。
    今回本剤の小児用製剤 (細粒) についての小児科領域における一連の検討を行い, みるべぎ成果が得られたので今日までの概況について報告する。
  • 砂川 慶介, 斎藤 伸夫, 石塚 祐吾, 岩田 敏, 熊谷 昇, 横田 隆夫, 浅石 嵩澄, 草野 正一, 佐藤 吉壮, 楠本 裕, 秋田 ...
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1035-1054
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品工業株式会社によって開発された新しい経口用Cephem系抗生剤で3位にVinyl基を, 7位にCarboxymethoxyimino基を有している。
    本剤は従来の経口用β-Lactam系抗生剤とは異なり, 各種のβ-Lactamaseに対して安定であり, グラム陽性, 陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有しており, 特にグラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力を示すと言われている1)。
    成人領域での検討の結果, 本剤の有効性, 安全性が確認されたことから今回小児科領域でも検討することとなり, 本剤を使用する機会を得たのでその体内動態, 臨床効果, 腸内細菌叢へ及ぼす影響について検討し, その結果を報告する。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 中村 弘典, 城 宏輔, 高橋 孝行, 黒須 義宇, 堀 誠
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1055-1075
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年β-Lactam剤の研究の進歩は著しく, 特に注射用セファロスポリン系薬剤では, 抗菌スペクトラムの拡大と抗菌力の増強がなされ, 臨床的にも有用な, いわゆる藤井の分類1)での第4, 5群のセファロスポリン系薬剤が開発されている。一方, 経口用セファロスポリン剤の出現により,外来診療での小児細菌感染症の治療は一段とその幅は広くなつた。しかし, それら抗生剤の抗菌力は一番最近開発されたCefaclor(CCL)を含め, グラム陽性菌とEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae等のグラム陰性桿菌のなかでR-Plasmidを持つていない菌株に対しては優れているが, RICHMONDの分類におけるR-Plasmid支配のIII型β-Lactamase(PCase)によつて中等度に, 又, Enterobacter, Citrobacter, Serratia, Proteus vulgaris等のグラム陰性桿菌が染色体性につくるI型β-Lactamase(CEPase)によつて強く加水分解されるため, 近年, 増加しつつあるR-Plasmid保有株や日和見感染症の原因となるグラム陰性桿菌に対しては, 臨床的使用に際し, 抗菌力が及ばないのも現況である。この度, 藤沢薬品中央研究所で新しい経口用セファロスポリン系抗生物質Cefixime(CFIX, FK027)が開発された。CFIXはFig.1に示す構造式を持ち, 7-アミノセファロスポラン酸の3位にビニル基を, 7位にカルボキシメトキシイミノ基を有している。CFIXはE.coli, Klebsiell, Proteus mirabilisなどのグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を示し, 更に従来の経口用セファロスポリン剤で抗菌力を示さなかつたNeisseria gonorrhoeae, Citrobacter,Enterobacter, Serratia, Indole(陽性)Proteus及びHaemophilus influenzaeにも抗菌力を示すという2)。又, 血清中濃度は成人で投与後約4時間でピークに達し, 半減期は約2.5時間と長く, 投与後12時間においても血清中濃度が認められるという従来の経口用セファロスポリン系薬剤にない特徴も有しており2), その治療効果に対する期待も大きい。
    そこで今回, 我々はCFIXについて, 抗菌力, 血清中, 尿中濃度などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したので, それらの成績について報告する。
  • 中島 佐智恵, 早川 文雄, 中島 崇博, 宮地 幸紀, 袴田 享, 久野 邦義
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1076-1086
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime(CFIX)は藤沢薬品中央研究所で開発された新しいCephem系の経口用抗生物質で, Fig. 1のような構造式を持ち, 7-Aminocephalosporanic acidの3位側鎖にVinyl基を7位側鎖にCarboxymethoxyimino基を有する。
    本剤の特長として, 従来のCephem系, Penicillin系経口用抗生剤と異なり各種のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及び陰性菌に広範な抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性桿菌に対しては優れた抗菌力を示すという点があげられている1~3)。
    成人領域での本剤の使用成績では, 前述のとおりの抗菌力, 及び持続的な血中濃度の上昇と尿中排泄等が報告されている4)。今回我々は小児における本剤の吸収・排泄を含む基礎的, 臨床的検討を行う機会を得たので報告する。
  • 岩井 直一, 柴田 元博, 溝口 文子, 中村 はるひ, 片山 道弘
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1087-1105
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は, 藤沢薬品中央研究所で開発された新しい経口用のCephalosporin系抗生物質である1)。本剤は化学構造上, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の3位にVinyl基を, 7位にはCefotaxime (CTX), Ceftizoxime (CZX), Cefmenoxime (CMX) 等の新Cephem剤の側鎖に類似したCarboxymethoxyimino aminothiazole 基を有し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに非常に安定な薬剤である1, 2)。
    本剤は, グラム陽性菌並びに陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有するが, 特にβ-Lactamase産生菌を含むグラム陰性菌に対する抗菌力が優れており, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzaeだけでなく, 従来の経口剤では抗菌力が弱いか, あるいは及ばなかつたIndole陽性Proteus, Enterobacter sp., Citrobacter sp., Serratia marcescens 等に対しても優れているのが特徴である1~3)。一方, グラム陽性菌に対する抗菌力は, Staphylococcus aureusに対してはCephalexin (CEX), Cefaclor (CCL), Amoxicillin (AMPC) 等より劣るものの, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae 等に対してはCCLとほぼ同等であると言われている1~3)。
    又, 本剤は, Penicillin-binding protein (PBP) に対する親和性が高い点から, Bactericidalactivityが強く, 服用後の有効血中濃度並びに尿中濃度の維持において優れた薬剤である1)。
    このような特徴から, 本剤は各種の動物感染実験においても極めて優れた治療効果が得られており1, 3), ひいては人での臨床面に反映されることに大いに期待が持たれる。すでに成人領域では, 基礎的, 臨床的検討が行われ, 有効性並びに安全性等において高い評価を受けている1)。
    今回, 我々は小児科領域におけるCFIXの基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 小林 裕
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1106-1114
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品中央研究所において開発された新経口用Cephalosporin剤である1)。各種β-Lactamaseに極めて安定で, Staphylococcusに対する抗菌力は従来の経口用Cephalosporin剤より劣るが, Streptococcustle対してはほぼ同等, 種々のグラム陰性菌に対してははるかに優れ, それらの耐性菌にも有効で, しかも今までの経口用β-Lactam剤が及びにくかつたIndole陽性Proteus, Morganella, Providencia, Enterobacter, Citrobacter, Serratiaなどにも見るべき抗菌力を示し, 抗菌域が非常に広く, いわゆる第3世代Cephem剤なみである1~3)。一方Enterococcus faecalis, Listeria monocytogenesに弱い欠点も共有する3)。
    成人における本剤経口投与後の血中濃度のピークは4時間にあり, 半減期は約2.5時間と持続的で, 尿中には 12時間までに約25%が排泄された4)。本剤は従来のものと異なり, 空腹時より軽食後投与の方がより高い血中濃度が得られる4)。本剤の基礎的研究及び成人領域における1,369例の臨床検討成績は, 1984年11月の第31回日本化学療法学会東日本支部総会において新薬シンポジウムとして討議され, その有効性, 安全性が認められた4)。
    今回本剤の小児用製剤が作られ, 小児科領域研究会を組織して, 検討が進められてきた。われわれもその一員として, 本製剤の吸収, 排泄, 臨床使用成績を検討し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 西村 忠史, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 高木 道生
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1115-1127
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 細菌感染症に対する抗生物質療法の進歩はめざましく, 特にβ-Lactamaseに安定で, 強い抗菌力を有する注射用β-Lactam系抗生物質では, 多数のものがすでに臨床使用の段階にあり, その評価も高い。しかし, 一方経口用β-Lactam系抗生物質に関しては, 注射剤ほどはなばなしくはなかつた。
    この度, 藤沢薬品工業中央研究所で開発された新しい経口用Cephem系抗生物質であるCefixime (CFIX) は, 従来の経口用β-Lactam系抗生物質と異なり, 各種β-Lactamaseに対し安定で, グラム陽性, 陰性菌に広範囲の抗菌スペクトルを有し, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示す1~3)。CFIXは, すでに本邦において成人領域で検討が行われ, その有効性と安全性が確認されている4)。
    そこで, これらの成績をもとに小児科領域でも多施設共同で本剤に対する研究が開始された。著者らもこの研究に参加し, 本剤の基礎的並びに臨床的検討を昭和59年7月~昭和60年5月まで行つたので, その成績について述べる。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1128-1137
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は, 藤沢薬品工業が開発した新規の経口用抗生物質である。本剤は従来の経口用セファロスポリン剤, ペニシリン剤に比べ各種β-Lactamaseに安定であり, 特にグラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力を示す1)。今回, 我々は小児におけるCFIXの吸収排泄試験及び各種小児感染症に対する臨床試験を行つたので, その成績を報告する。
  • 粟飯原 良造, 小橋 秀彰, 西岡 敦子, 大原 克明, 岡本 喬
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1138-1148
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は, 藤沢薬品中央研究所で開発された新しい経口用セファロスポリン系抗生剤で, その構造式はFig. 1のとおりである。本剤は, 従来の経口用セファロスポリン剤, ペニシリン剤に比べβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性球菌及びグラム陰性桿菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特に, グラム陰性桿菌に対する抗菌力が優れている。又, 血中濃度の半減期が長く, 作用が持続的であるという特長がある1)。今回, 我々は本剤細粒を小児急性細菌感染症に対して使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 細田 禎三, 増田 昌英, 宮尾 益英, 味元 寛幸, 遠藤 彰一, 湯浅 安人, 田中 弘
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1149-1156
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品中央研究所で開発された新しい経口用セファロスポリン系抗生物質で, 7-アミノセファロスポラン酸の3位にビニル基を, 7位にカルボキシメトキシイミノ基を有する (Fig. 1)。
    本剤は, 従来の経口用セファロスポリン剤, ペニシリン剤と異なり各種β-ラクタマーゼに安定であり, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示す1)。又, 成人における検討で, 従来のセファロスポリン剤に比べ血清中濃度の半減期が長く, 胆汁中及び尿中濃度も持続的であることが示されている2)。
    今回, 我々はCFIXを小児科領域における細菌感染症に使用する機会を得, 臨床的検討を行つたので報告する。
  • 倉繁 隆信, 森田 英雄, 荒木 久美子, 小倉 英郎, 森岡 直子, 喜多村 勇, 三野 正博
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1157-1165
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品中央研究所が新しく開発した経口用セファロスポリン剤で, 7-アミノセファロスポラン酸の3位にビニル基, 7位にカルボキシメトキシイミノ基を有する。本剤は各種β-Lactamaseに安定で, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を示すと共にグラム陽性球菌にも抗菌力を示す1)。
    今回, 我々はCFIXの小児における体内動態及び臨床的有効性, 安全性を検討する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 宮崎 正章, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1166-1175
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経口用セファロスポリン系抗生物質であるCefixime (CFIX),((6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-(carboxymethoxyimino) acetamido]-8-oxo-3-vinyl-5-thia-1-azabicyclo-[4. 2. 0]-oct-2-ene-2-carboxylic acid) は, 7-アミノセファロスポラン酸の3位にビニル基を, 7位にカルボキシメトキシイミノ基を有するもので, 各種β-ラクタマーゼに安定であるとされている。本剤はグラム陽性, 陰性菌に広範囲な抗菌スペクトルを有し, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を有することが示されている1)。
    今回, 著者らは小児におけるCFIXの体内動態及び小児期細菌感染症に対する本剤の有効性, 安全性を検討する機会を得たので, その結果を報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄, 永山 清高, 山下 裕 ...
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1177-1200
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は藤沢薬品工業株式会社の中央研究所で開発された新しい経口用セフェム系抗生物質で, その化学名は (6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-(carboxymethoxyimino) acetamidol]-8-oxo-3-vinyl-5-thia-1-azabicyclo-[4.2.0]-oct-2-ene-2-carboxylic acid, 構造式はFig.1に示すとおりである。
    本剤は広域抗菌スペクトルを有するが, 特にグラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力があり, しかも各種のβ-ラクタマーゼに安定で1, 2), 1984年の第31回日本化学療法学会東日本支部総会の新薬シンポジウムにおいてその有用性が論じられた3)。私たちは本剤を小児に投与し, 血清中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定すると共に, 種々の細菌感染症に投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 薬剤感受性, 副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 中山 紀男, 柳島 正博, 辻 芳郎
    1986 年 39 巻 4 号 p. 1202-1213
    発行日: 1986/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefixime (CFIX) は, 藤沢薬品中央研究所において開発されたいわゆる第3世代に属するセファロスポリン系経口抗生剤であり, Fig.1にその構造式を示す。本剤は7-アミノセファロスポラン酸の3位にビニル基を, 7位にカルボキシメトキシイミノ基を有し, 従来の経ロセファロスポリン剤, ペニシリン剤と異なり, 各種β-Lactamaseに対し非常に安定な抗生剤と言われている1~3)。
    今回, 呼吸器, 尿路系等の小児の種々の感染症に対する本剤の基礎的・臨床的検討を行つたので報告する。
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