The Japanese Journal of Antibiotics
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耳用Fosfomycinの臨床細菌学的検討
出口 浩一横田 のぞみ田中 節子深山 成美西村 由紀子吉原 久子小田 清次松本 好弘池上 亮祐佐藤 久美子福本 寅雄
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1986 年 39 巻 9 号 p. 2344-2354

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抄録

耳用Fosfomycin (明治製菓, 以下耳用FOMと略) の化膿性中耳炎 (慢性化膿性中耳炎, 慢性化膿性中耳炎急性増悪症) を対象とした臨床的有用性に関する検討が, 1984年8月~1985年8月にかけてTable 1に示した施設で行われた。本検討では用量設定試験, オープン試験, そして二重盲検試験が検討され, 臨床的な有用性が報告されている1~5)。一方, 本剤の主として内耳に対する安全性の検討も行われ, 安全性が確認された6~8)。
本検討では, 又, 前述した臨床的検討における臨床細菌学的検討, すなわち患者採取材料からの細菌の分離・同定, MIC測定を私たちが担当した。用量設定試験190例, オープン試験126例, 二重盲検試験271例, 合計して587例の臨床試験開始前の患者採取材料から検出された菌種は多種類であるが, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosaが高率に検出された。
検出菌のFOM及び対照剤のCefmenoxime, Chloramphenicol, Fradiomycin, Cephalexinに対する感受性 (MIC) 成績は, S. aureusのCephem antibiotics (以下Cephem系) 耐性菌が3割にみられた他, 多剤耐性菌が高率に確認された。これらの菌種に対するFOMの抗菌力は, おおむね良好且つバランスのとれた成績で, S. auresのCephem系耐性菌, P. aeruginosaにも良好な抗菌性を示していた。

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