The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefotiamの新生児領域における検討
岩井 直一種田 陽一柴田 元博溝口 文子中村 はるひ片山 道弘田内 宜生川村 正彦尾崎 隆男市川 孝行松井 省治宮津 光伸中山 佳子
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1986 年 39 巻 9 号 p. 2436-2449

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抄録

新生児期は感染防御能に乏しく, 常に細菌感染症の危険にさらされていると言ってよいであろう。この時期の感染症はひとたび発症すると全身感染症に発展しやすく, 早期に適切な治療を行わないと致命的になってしまう場合が少なくない。又, その原因菌はEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proleus sp. をはじめとするグラム陰性菌からStapylococcus aureus, Group B Streptococcusなどのグラム陽性菌に至るまで広範囲にわたるのが特微である。従って, この時期の感染症の治療には, 広範囲な抗菌スペクトラムと強い殺菌力を有し, しかも毒性の少ない抗生剤が要求される。
今回検討したCefotiam (CTM) は, 武田薬品中央研究所で開発されたCephalosporin系抗生剤であり, 成人並びに乳児以上の小児に対してはすでに有用性と安全性が確認されている1, 2)。グラム陽性菌に対する抗菌力は従来のCephalosporin剤と同程度であるが, グラム陰性菌に対しては数倍-十数倍優れており, しかも近年問題となっているβ-Lactamase産生菌に対してもより強い抗菌作用が認められている1)。一方, 血中半減期はCephalothinとCefazolinの中間に位置し, 排泄は主として腎からであるが, 腎毒性はCETと同様に極めて弱いことが示されている1)。
以上のような特長から, 本剤の治療効果は新生児領域の感染症においても高いものがあると考えられたので, この領域での若干の検討を行った。

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