The Japanese Journal of Antibiotics
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新鮮臨床分離株に対するSisomicinの抗菌力
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美中根 豊深山 成美西村 由紀子小田 清次佐藤 久美子田中 節子加藤 三枝子
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1987 年 40 巻 11 号 p. 1895-1905

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抄録

1986年後半に検出した臨床分離株に対するSisomicin (SISO) の抗菌力を, 他のアミノ配糖体系抗生物質 (AGs) 4剤 (Gentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin, Amikacin) 及びセフェム系抗生物質 (CEPs) 2剤, Cefotiam, Cefotaxime を加えて検討し, 主に1970年代後半, 1980年代前半における我が国の諸家の報告と比較し, SISOの経年的抗菌力を考察した。
1. Staphylococcus aureus のSISO耐性菌は18%で, 顕在且つ定着の徴候, Pseudomonas aeruginosa は微増傾向だつた。
2. Enterobacter spp., Serratia marcescence, Citrobacter freundii のSISO耐性菌は, 増加していない。
3.Indole (+) Proteusは菌種によつてSISO耐性菌の割合が異なる。Proteus vulgaris, Morganella morganii のSISO耐性菌は各々4%と少ないが, Providencia rettgeri のSISO耐性菌は60%だつた。P.rettgeriすなわちP.rettgeriを含むGenus Providencia は, SISOに限らず, GM, TOBにも高率に耐性を示し, AGsの抗菌力はGenus Providencia を, 他のIndole (+) Proteusとは別個の対象として評価すべきであることを指摘した。
4. Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis のSISOR耐性菌はなかつた。
5.SISOの抗菌力は検討した大部分の菌種に対するMIC80及びMIC90レベルでの有効な抗菌力を保持していることから, 1980年代の後半に入った今日においても臨床的に有用なAGsの一つである。

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