1987 年 40 巻 11 号 p. 1941-1945
1986年に分離したMethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対するアミノ配糖体系抗生物質 (AGs) 6剤, β-Lactam系剤4剤の抗菌力を検討した。1.AGsの抗菌力はNetilmicin (NTL) が優れていて, そのMIC50は1.56μg/ml, MIC80は3.13μg/mlであった。その他のAGsはMIC50で, Amikacin (AMK) 12.5μg/ml, Sisomicin (SISO) 50μg/ml, Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB) が各々100μg/ml, Tobramycin (TOB) >100μg/ml2.AGsのMIC値分布は) 100μg/mlを示す高度耐性値はTOBが極めて多く, ついでDKB, GM, SISOの順であったことから, AGs耐性株の産生するAGs不活化酵素 (AGs修飾酵素) はAAD (4), APH (2) 産生株が高率であることが推定できた。3.β-Lactam系剤の抗菌力はCefmetazoleが比較的良好なMIC値分布を示したが, Cefazolin, Methicillin, Cloxacillin はいずれも>100μg/mlのMIC値を示す高度耐性株が高率に認められ, MRSAはMethicillin cephems resistant Staphylococcus aureus (MCRSA) であることを確認した。