The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域におけるFlomoxefの基礎的並びに臨床的検討
西村 忠史田吹 和雄青木 繁幸高木 道生
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 40 巻 8 号 p. 1426-1438

詳細
抄録

新しいオキサセフェム系抗生物質Flomoxef (FMOX, 6315-S) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
基礎的検討として, FMOXの血中濃度及び尿中排泄率を測定した。FMOX20mg/kgOneshot静注時の血清中濃度推移は3例検討し, 濃度ピークは投与直後にあり平均110.1±30.95μg/ml, 半減期は平均1.14±0.30時間, 6時間までの尿中排泄率は平均68.8±17.4%であつた。
一方, 30分間点滴静注時の血清中濃度推移はFMOX20mg/kg2例, 40mg/kg3例につき検討し, その濃度ピークはいずれも点滴終了時にあり, 各々平均45.5±0.45μg/ml, 平均87.4±18.35μg/mlで, 半減期は各々平均0.63±0.23時間, 平均0.70±0.27時間であつた。又, FMOX40mg/kg30分間点滴静注の6時間までの尿中排泄率は平均53.4±6.1%であつた。なお, 化膿性髄膜炎症例の急性期におけるFMOX50mg/kgOne shot静注後1時間での髄液濃度 (血清中濃度) は3.65μg/ml (29.2μg/ml) で, 髄液・血清濃度比は12.5%であつた。
臨床的検討は化膿性扁桃炎5例, 頸部リンパ節炎1例, 気管支肺炎2例, 肺炎12例, 膿胸1例, 化膿性髄膜炎1例, 右膝関節部の蜂窩織炎1例, 嬰部膿瘍1例の計24例について行い, 臨床効果は著効15例, 有効9例で全例が有効以上の成績であつた。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus 3例, Streptococcus pneumnoniae 1例, Haemnophilus influemae 6例が検出されたが, 全例本剤使用中に菌消失がみられ有効であつた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top