The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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40 巻, 8 号
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  • 目黒 英典, 有益 修, 菅又 久美子, 白石 裕昭, 小林 正明, 藤井 良知, 益子 仁, 長尾 芳朗, 岡本 義明
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1337-1348
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) を32例の小児に使用し, 臨床効果判定を行つた25例で92%の有効率, 延べ27疾患で85%の除菌率であつた。軟便, 下痢の発現率は高かつたが, その他特記すべき副作用は認められなかつた。3例のMethicillin耐性Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に有効であつた点は高く評価できるが, FMOX高度耐性のMRSA株も認められた。本剤は小児の地域感染症で重要な菌種に一様に抗菌力はあるが, Haemnophilus influenzae及びStreptococcus pneumnoniaeに対するMICが既存の薬剤より劣る点は欠点である。血中半減期は0.77±0.31時間と短いから, 1日4回投与が必要と思われた。
  • 佐藤 肇, 成田 章, 中澤 進一, 鈴木 博之, 松本 貴美子, 中西 好子, 中澤 進, 新納 憲司, 中田 義雄
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1349-1363
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) を使用しての一連の検討を行い以下の成果を得ることができた。
    1.最近分離したStaphylococcus aureusに対するMICは大半≤0.39μg/mlで, Cefotaxime, Cefotiam, Cefmetazole, Cefamandole, Cefazolin, Benzylpenicillin, Ampicillin, Methicillinより活性が高く, Latamoxef (LMOX) が≥12.5μg/mlの耐性株に対しても活性を示した。
    2.Escherichia coli, Salmonella spp.に対するMICは大半≤0.20μg/ml, Vibrio parahae.mlyticusに対するMIC 0.78~6.25μg/ml, 百日咳菌に対するMICO.20~1.56μg/ml, Listeri amnocytogenesに対するMIC6.25~12.5μg/mlであつた。
    3.20~40mg/kg1時間点滴静注時の血中濃度は1時間21.5~27.5μg/ml, 2時間6.00~7.81μg/ml, 5時間0.37~0.59μg/ml, T1/2 (β) 0.61~0.83時間, 20mg/kgOne shot静注では3~10分後56.7~90.2μg/ml, 6時間0.20~0.26μg/ml, T1/2 (β) 1.22時間で6時間までの尿中排泄率は60.8~79.8%であつた。
    4.治療症例計32例中, 上, 下気道感染症, 化膿性疾患が大半であつたがFMOX1日41~119mg/kg, 3~4回分割, 4~13日間の静注によつて有効以上が97%, やや有効以上では100%であつた。LMOXその他のいわゆる第3世代Cephem系耐性菌の証明された症例に対しても有効であり, 起因菌の証明された総症例からは本剤の投与によつて大半5日以内に除菌された。
    5.副作用としては3例に軟便, 1例に一時的なGOT, GPTの上昇と1例のGPTだけの上昇がみられたが使用を中止後いずれも速やかに快復した。
  • 砂川 慶介, 石塚 祐吾, 河合 直美, 斎藤 伸夫, 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸, 草野 正一, 青木 阪
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1364-1376
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) の基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.臨床材料から分離されたStaphylococcus aureus307株に対するFMOXのMICは0.39μg/mlをピークに0.024~100μg/mlに分布し, MIC90は1.56μg/mlであつた。メチシリン耐性S.aureus (MRSA) に対するMICgoは25μg/mlであつた。
    2.小児細菌感染症15例に使用した臨床効果は全例有効以上であつた。
    3.細菌学的効果は検討し得た11株中7株 (63.6%) が消失した。
    4.副作用として下痢又は軟便が3例に, 発疹が1例にみられた。臨床検査値異常とし好酸球増加, 血小板数増加が各1例にみられた。
    5.腸内細菌叢に対しては他の第4, 5群のセフェム剤と同様に影響が大きかつた。
    6.凝固系, 血小板凝集能への影響は少なかつた。
  • 岩井 直一, 宮津 光伸, 中村 はるひ, 片山 道弘, 笠井 啓子, 種田 陽一
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1377-1392
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephem系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) についての小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1.小児5例 (5~8歳) にFMOX20mg/kgをOneshot静注した際の平均血中濃度は静注後1/4時間39.7μg/ml, 1/2時間24.1μg/ml, 1時間12.2μg/ml, 2時間4.7μg/ml, 4時間1.1μg/ml, 6時間0.3μg/mlであり, 半減期は平均0.65時間であつた。又, 尿中濃度の平均は静注後0~2時間3,558μg/ml, 2~4時間568μg/ml, 4~6時間117μg/mlであり, 6時間までの尿中回収率は平均72.8%であつた。
    2.小児期感染症32例 (5カ月~9歳) にFMOXを投与した際の臨床効果は肺炎29例, 急性化膿性扁桃腺炎1例, 急性化膿性リンパ節炎1例, 蜂窩織炎1例に対し著効24例, 有効8例であり, 全例において有効以上の成績が得られた。又, これらの症例の原因菌と推定されたStaphylococcus aureus 1株, Streptococcus pneumoniae 1株, Haemnophilus influenzae 8株, Haemophilus parain fluenzae 1株に対する細菌学的効果はH.infuenzae1株が減少であつた以外は消失であつた。なお, 副作用は全く認められなかつた。臨床検査値異常としては, GOTの上昇が1例, 血小板増多が2例, 好酸球増多が1例に認められたが, いずれも軽度であり, しかも再検査により正常化が確認できた。
    以上の成績から, FMOXは小児期においても高い有用性と安全性を持つ薬剤であると考えられた。
  • 久野 邦義, 中尾 吉邦, 早川 文雄, 三浦 清邦, 宮島 雄二, 石川 秀樹, 木村 宏
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1393-1406
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたOxacephem系抗生剤であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) につき基礎的, 臨床的検討を行い, 下記の結果を得た。
    1.当科臨床分離株に対するMICを測定し, Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Haemnophilus influenzae等に優れたMIcを示した。特にStaphylococcus aureusに対してはメチシリン・セフェム耐性S.aureus (MRSA) を含めLatamoxef, Cefmetazole, Cefazolin, Ampicillin, CloXacillin, Methicillinに比較して最も優れた抗菌力を示した。
    2.FMOXを20mg/kg7例, 40mg/kg4例にOneshot静注した時の平均血清中濃度のピークは投与後15分でそれぞれ35.3, 77.7μg/mlで, 半減期の平均は0・75, 0.95時間であった。投与後6時間までの尿中回収率は71・9, 65.1%であつた。
    3.25例の小児期細菌感染症 (肺炎19例, 膿胸1例, 尿路感染症5例) に本剤50~138mg/kg/日を3~4回に分けて投与し100%の有効率を得た。細菌学的にも90・6%の有効率を示した。
    4.副作用は認めなかつた。検査値異常としては好酸球増多1例, 血小板増多2例・GOT・GPT上昇を3例に認めた。
  • 伊藤 正寛, 庵原 俊昭, 神谷 齊, 櫻井 實, 清水 信, 西 英明, 川口 寛, 吉住 完, 井上 正和, 小島 當三
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1407-1417
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された抗生物質Flomoxef (FMOX, 6315-S) を小児38例に投与して次のような結果を得た。
    1.FMOX20mg/kgを30分で点滴静注した3例のT1/2は0.96時間で, 6時間尿中排泄率の平均は95.5%であつた。
    2.気管支肺炎, 腺窩性扁桃炎, 脳腫瘍に合併した上気道炎, 化膿性中耳炎, 尿路感染症, 化膿性髄膜炎, 皮下及び爪床部膿瘍, 化膿性頸部リンパ節炎, 細菌性腸炎の計38例にFMOXを投与したところ, 著効24例, 有効13例, やや有効1例, 無効0例で有効率は97.4%で気管支肺炎, 上気道炎, 尿路感染症に対しては100%という極めて優れた効果を示した。
    3.副作用に関しては, 臨床的に本剤によると思われる異常を認めた例はなく, 小児科領域でも安全性の高い抗生剤と考えられる。
  • 伊藤 節子, 真弓 光文, 三河 春樹
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1418-1425
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用オキサセフェム系抗生物質Flomoxef (FMOX, 6315-S) の有効性と安全性について, 生後1カ月から9歳8カ月の男児7例, 女児10例の計17例を対象として検討し, 次のような結論を得た。
    1.本剤20mg/kg One shot静注による吸収, 排泄試験では, 血中半減期 (β 相) は39.8分, 尿中回収率は6時間で76.5%であつた。
    2.肺炎3例, 気管支肺炎8例, 扁桃炎2例, 頸部リンパ節炎1例, 膿疸症1例, 腎孟腎炎2例に対し, 本剤を1日投与量として, 61.9~87.2mg/kg静注又は点滴静注により投与したところ, 臨床効果は著効14例, 有効2例, 無効1例で, 有効率は94.1%であつた。
    3.臨床的副作用は認められなかつたが, 好中球減少が1例, 好酸球増多が1例, 軽度のGPT上昇が1例, GOT, GPT上昇が2例にみられた。出血凝固系の異常は認められなかつた。
    4.本剤のMIC分布はグラム陽性菌では, Streptococcus pneumoniae3株に対しては, 0.20μg/ml2株, 0.39μg/ml1株, Staphylococcus aureus, Staphylococcus sp., Streptococcus agalactiae各1株はそれぞれ0.20μg/ml, 0.20μg/ml, 0.78μg/mlで, グラム陰性菌では, Haemnophilus influenzae3株に対しては0.20μg/ml1株, 0.39μg/ml2株, Branhamlla catarrhalis2株は0.20μg/ml, Klebsiella pneumoniae及びAcinetobacter calcoaceticus各1株はそれぞれ0.20μg/ml, 50μg/mlであつた。
    5.本剤はグラム陰性菌及び嫌気性菌だけでなく, グラム陽性菌に対しても優れた抗菌力を示し, 肝機能障害の出現の可能性に留意して用いれば, 小児科領域の細菌感染症に対して有用な薬剤であると考える。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1426-1438
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいオキサセフェム系抗生物質Flomoxef (FMOX, 6315-S) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, FMOXの血中濃度及び尿中排泄率を測定した。FMOX20mg/kgOneshot静注時の血清中濃度推移は3例検討し, 濃度ピークは投与直後にあり平均110.1±30.95μg/ml, 半減期は平均1.14±0.30時間, 6時間までの尿中排泄率は平均68.8±17.4%であつた。
    一方, 30分間点滴静注時の血清中濃度推移はFMOX20mg/kg2例, 40mg/kg3例につき検討し, その濃度ピークはいずれも点滴終了時にあり, 各々平均45.5±0.45μg/ml, 平均87.4±18.35μg/mlで, 半減期は各々平均0.63±0.23時間, 平均0.70±0.27時間であつた。又, FMOX40mg/kg30分間点滴静注の6時間までの尿中排泄率は平均53.4±6.1%であつた。なお, 化膿性髄膜炎症例の急性期におけるFMOX50mg/kgOne shot静注後1時間での髄液濃度 (血清中濃度) は3.65μg/ml (29.2μg/ml) で, 髄液・血清濃度比は12.5%であつた。
    臨床的検討は化膿性扁桃炎5例, 頸部リンパ節炎1例, 気管支肺炎2例, 肺炎12例, 膿胸1例, 化膿性髄膜炎1例, 右膝関節部の蜂窩織炎1例, 嬰部膿瘍1例の計24例について行い, 臨床効果は著効15例, 有効9例で全例が有効以上の成績であつた。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus 3例, Streptococcus pneumnoniae 1例, Haemnophilus influemae 6例が検出されたが, 全例本剤使用中に菌消失がみられ有効であつた。
  • 東野 博彦, 小林 立美, 首藤 寛子, 松井 哲雄, 蓮井 正史, 野木 俊二, 足立 靖, 小林 陽之助, 荒木 敦, 薗田 典明, 石 ...
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1439-1446
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.小児科領域感染症28例にFlomoxef (FMOX, 6315-S) を投与し, 判定不能例6例を除いた22例の有効率は68%であつた。起炎菌の消長を確認できたものは6例であり, 除菌率は83%であつた。
    2.副作用としては28例中5例に発疹を認めた。臨床検査値異常を示した例は血小板数上昇の1例だけであつた。
    3.FMOX20mg/kgを30分で点滴静注した時の最高血中濃度は51.0μg/mlで, 血中半減期はα相17.2分, β 相58.2分であつた。
  • 黒木 茂一, 春田 恒和, 筒井 孟, 山本 初実, 大倉 完悦, 山岡 幸司, 吉岡 伸子, 小林 裕
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1447-1461
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新注射用Oxacephem剤Flomoxef (FMOX, 6315-S) について基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1.最近臨床材料から分離されたStaphylococcus aureus 100株に対する本剤及びCefuzonam (CZON) の最小発育阻止濃度 (MIC), 最小殺菌濃度 (MBC) を検討した結果, Methicillin, Cefazolin感性株では, 本剤のMICはCZONとほぼ同等であつたが, MBCは本剤の方が低く, 耐性株ではMIC, MBC共に本剤の方が優れ, 特にMBCにおいてその差が明瞭であつた。
    2.2カ月~8歳の小児17例に本剤を1回20.0~35.1mg/kg, 1日3~4回静注した。マイコプラズマ肺炎と判明した1例を除く16例 (肺炎9例, 膿胸1例, 尿路感染症2例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 蜂巣炎2例, 関節炎1例) に対する治療効果は著効10例, 有効6例で, 無効例はなく, 検出, 追跡できた起炎菌はすべて消失した。
    3.17例全例に副作用を疑わせる症状所見はみられず, 検査値異常も1例にGPTの軽度上昇を認めただけであつた。
    4.膿胸例で治療開始翌日測定した胸水中濃度は本剤33mg/kg静注30分後18.2μg/mlで, 本例の起炎菌S.aureu3に対するMICO.39μg/mlの46.7倍であつた。
    5.他剤で治療中の髄液シャント感染例に本剤50mg/kgを静注し, 1時間後の脳室液中濃度を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で2回分離定量したが, 細胞数が171~240/mm3と少ない症例で, 濃度は0.53, 0.98μg/mlと低かつた。
    6.以上の成績から, 本剤は小児の一般細菌感染症に対して非常に使いやすい, 有用な新抗生剤と考えられた。
  • 細田 禎三, 市岡 隆男, 宮尾 益英
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1462-1468
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいOxacephem系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) について小児科領域における検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.Pharmacokinetics
    Pharmacokineticsに影響を及ぼす要因のない1例において, 本剤20mg/kgをOneshot静注した際の血清中濃度は投与後15分で最高濃度44.3μg/mlを示し, 血清中濃度半減期T1/2 (β) は0.76時間, 濃度曲線下面積 (AUC) は44.8μg・hr/mlであつた。
    又, 投与後6時間までの尿中排泄率は83.1%であつた℃
    2.臨床成績
    肺炎6例, 気管支炎1例, 扁桃炎1例, 蜂窩織炎2例, 化膿性リンパ節炎1例, 皮下膿瘍1例の計12例に投与し, 著効10例, 有効2例で有効率は100%であつた℃ 細菌学的効果は5株中4株は消失, 1株は減少しすべて有効であつた。
    副作用としての臨床症状を示したものはなく, 検査所見で1例に一過性の好酸球増加を認めただけであつた。
    FMOXは小児科領域の細菌感染症の治療に有用であると考えられた。
  • 関口 隆憲, 岡本 喬, 大原 克明, 宮内 吉男, 川人 里美, 西条 隆彦
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1469-1476
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) を小児急性細菌感染症21例 (扁桃周囲膿瘍1例, 気管支肺炎10例, 膿胸1例, 化膿性髄膜炎1例, 化膿性リンパ節炎3例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群2例, 尿路感染症3例) に使用した結果, 臨床的に有効と判定されたものは18例 (85.7%) であり, 細菌学的に菌の消失をみたものは17株中17株 (100%) であつた。副作用は軟便1例, 好酸球増多2例であつた。
    本剤は中等症から重症の小児急性細菌感染症に対する第1選択剤として十分な効果を期待しうる抗生物質と思われる。
  • 岡田 隆滋, 古川 正強
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1477-1485
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新オキサセフェム系抗生物質Flomoxef (FMOX, 6315-S) について髄液移行及び細菌感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1.化膿性髄膜炎3例の急性期において, 本剤100mg/kgOneshot静注後1時間の髄液中濃度は5.12~6.32μg/mlで, 髄液血清比はおよそ5%であつた。回復期には髄液中濃度は約3.8μg/ml, 髄液血清比は約3.5%であつた。
    2.疾患別で化膿性髄膜炎3例中1例は臨床的には有効であつたが他剤と併用したため判定不能とし, 他2例は有効であった。肺炎の9例は著効8例, 有効1例, 気管支炎の4例は著効3例, 有効1例, 扁桃腺炎の2例はいずれも著効であつた。
    3.副作用では検査成績で20例中3例に血小板増多を認めたが, いずれも本剤とは無関係で感染症の回復期にみられる一過性の増多であつた。
  • 森本 武彦, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1486-1495
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) の小児科領域における基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.Pharmacokinetics
    20mg/kgのOne shot静注した時の最高血中濃度は投与直後で平均114.6μg/ml, 半減期はβ 相で平均0.86時間であつた。
    2.細菌学的検討
    FMOXのStaphylococcus aureus (106cells/ml菌接種) に対するMIC値は耐性株を除くと0.39μg/ml以下, Haemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, に対するMIC値は0.78μg/ml以下と優れた抗菌力を示した。
    3.臨床的検討
    17例中著効14例, 有効2例で有効率は94.1%であつた。副作用としては1例に好酸球の増多が認められただけであつた。
    以上のことからFMOXは小児感染症の第1選択剤として有用な抗生物質と考えられた。
  • 小倉 英郎, 久保田 晴郎, 村上 信行, 友田 隆士, 浜田 文彦, 松本 健治, 荒木 久美子, 小倉 由紀子, 倉繁 隆信, 喜多村 ...
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1496-1501
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいオキサセフェム系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) の小児科領域における効果と安全性を検討した。
    対象は生後6カ月から14歳の小児で細菌性肺炎3例, 急性扁桃炎2例, 頬部蜂窩織炎1例, 尿路感染症1例, 急性腸炎2例であり, うち3例は難治性感染症であつた。投与方法は本剤1日57~150mg/kgを3回に分けて, 1時間で点滴静注した。その結果, 臨床効果は著効4例, 有効5例であり, 全例有効以上の効果を得た。副作用は臨床症状を認めたものはなく, 1例に一過性の好酸球増多が認められたが投与終了時はすべて正常化しており, 従つて本剤との関係は少ないものと考えられた。
  • 柳島 正博, 遠矢 芳一, 楊井 正紀, 柳 忠道, 辻 芳郎, 白井 清夫, 冨増 邦夫, 木戸 利彦, 高橋 令紫, 伊藤 正宣, 馬場 ...
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1502-1514
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいOxacephem系抗生物質であるFlomoxef (FMOX, 6315-S) について基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1.吸収・排泄は本剤を10mg/kg及び20mg/kgの30分間点滴静注で検討した。血中濃度のピークは両者共点滴静注終了直後にあり, それぞれ平均30.3±4.5μg/ml, 54.3±9.7μg/mlであつた。半減期もそれぞれ0.734±0.196時間, 0.628±0.185時間であつた。尿中回収率は10mg/kgでは点滴静注終了後2時間までに平均60.3%, 6時間までに72.3%。20mg/kgでは同様に2時間までに59.7%, 6時間までに69.3%であつた。
    2.臨床効果では呼吸器感染症22例, 尿路感染症2例, リンパ節炎3例, 蜂窩織炎2例, 急性骨髄炎1例の計30例について検討し, 有効率は92.0%であつた。細菌学的効果では菌消失率は80.0%であつた。副作用として異常な臨床症状, 所見は認められなかつたが, 臨床検査所見では好酸球増多1例, APTTの延長1例, 血小板数の増多とGOTの軽度上昇を伴つた1例を認めた。
  • 本廣 孝, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 富永 薫 ...
    1987 年 40 巻 8 号 p. 1515-1534
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された静注用セフェム系抗生物質のFlomoxef (FMOX, 6315-S) を7歳4カ月から10歳10カ月の男児11例中2例に10mg/kg, 各3例に20mg/kg, 40mg/kgをOne shot静注, 3例に40mg/kgを30分間点滴静注で投与し, 血漿中濃度・尿中濃度及び回収率を測定した。扁桃炎2例, 急性肺炎45例, 尿路感染症10例, 化膿性リンパ節炎2例, 膿瘍2例計61症例に本剤を投与し臨床効果をみたが, 肺炎の1例に副作用が出現し, 投与日数不足のため効果の判定はできず, 臨床効果の判定できた60例の1日平均投与量は79.3mg/kg, 分3か分4, 30分間点滴静注の1例以外はいずれもOne shot静注により平均6日間の投与で, 細菌学的効果, 副作用及び臨床検査値への影響についても検討したところ, 次のような効果を得た。
    1.本剤10mg/kgを2例, 各3例に20mg/kg, 40mg/kgをOne shot静注で投与した時の血漿中濃度はいずれの投与量群も投与5分後が最高濃度で, 各々平均62.5, 103.1,244.7μg/ml, 平均半減期は各々0.670, 0.915, 0.595時間, 平均濃度曲線下面積 (AUC) は各々33.0, 65.2, 133.1μg・hr/mlで, 3投与量群間にDose responseがみられた。
    2.本剤40mg/kgを3例に30分間点滴静注で投与した時の血漿中濃度はいずれも投与開始30分後すなわち投与終了時がピーク値で平均151.0μg/ml, 平均半減期は0.973時間, 平均AUCは149.1μg・hr/mlであつた。
    3.本剤10mg/kgを2例, 20mg/kg, 40mg/kgを各3例にOne shot静注で投与した時の尿中濃度は全例が投与0~2時間後に最高濃度を示し, 各々平均2,570, 4,410, 6,290μg/mlで, 各投与量群共に投与量にみあつた濃度を示した。投与6時間後までの回収率は40mg/kgの3例中1例で採尿に失敗したことから10mg/kg, 20mg/kg, 40mg/kgの各々2, 3, 2例でみると各々平均92.2, 72.0, 77.9%であつた。
    4.本剤40mg/kgを3例に30分間点滴静注で投与した時の尿中濃度はいずれも投与0~2時間後が最高値で平均7,083μg/ml, 投与終了後6時間までの平均回収率は77.3%であつた。
    5.細菌感染症5疾患, 60例に対する臨床効果は症例の多くを占めた肺炎例はすべて有効以上で, 全例では有効率98.3%と非常に良好であつた。
    6.細菌学的効果は22例に判定でき95.5%が消失し, 優れた除菌率を示した。
    7.本剤を投与した61症例の副作用は2例3.3%に奪麻疹が出現し, 1例は本剤との関係が多分あり, 他の1例は関連があるかもしれないとされた。臨床検査値では末梢血の検査で好酸球をチェックした50例中3例6.0%に増多がみられ, 1例は本剤との関係が明らかにあり, 2例は関連があるかもしれないとされ, 血小板数を測定した37例中1例2.7%に増多が出現したが本剤と関連はなしとされた。肝, 腎への影響としてGOT, GPT, Al.P, BUN, Creatinineを各々45, 45, 26, 34, 34例に検査したところGOTとGPTの同時異常上昇が2例4.4%にみられ, 1例は本剤との関連があるかもしれない, 他の1例は関連はないらしいとされ, Al-P, BUN, Creatinineへの影響はなかつた。
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