The Japanese Journal of Antibiotics
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Dehydropeptidase-I阻害剤Cilastatinsodiumのヒト尿中Peptides排泄に対する影響
腎機能障害患者において
公文 裕巳那須 良次大森 弘之児玉 裕敬小西 裕子
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1987 年 40 巻 9 号 p. 1571-1583

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抄録

新しく開発された注射用Carbapenem系抗生物質配合剤Imipenem/Cilastatinsodium (IPM/CS) を種々の程度の腎機能障害を有する患者12名に1回もしくは9回連続投与し, Peptidesの尿中排泄に対する影響をPeptides由来のアミノ酸を測定することにより検討した。
1.単回投与試験
軽度障害患者ではGlycine (Gly) の短時間且つわずかな増加を認めただけであるが, 中等度及び高度障害患者ではPeptides由来のアミノ酸の種類と共にその量も増大した。
中等度及び高度障害患者の両Group共に増加量が多いアミノ酸はAsparticacid (Asp), Glutamicacid (Glu), Gly, Alanine (Ala) であつた。このうち量の増加が最も著しかつたアミノ酸はGlyで, 投与前のControlと比べると2.4倍, 増加量は1.029μM/mgcreatinine・2hrsであつた。
増加量の少ないアミノ酸は投与後10~12時間までに, 又, 増加量の多いアミノ酸でも投与12~24時間でほぼ投与前のLevelに復した。
2.連続投与試験
中等度障害患者において, 1, 5, 9, 回投与のいずれも増加したアミノ酸はAsp, Glyであつた。
増加したアミノ酸はほとんど投与後10~12時間もしくはそれ以前に投与前の正evelにもどつており, 連続投与に伴う増加傾向はみられなかつた。
以上の結果から, Dehydropeptidase-I阻害剤Cilastatinsodium (CS) は腎機能障害患者において, 主にAsp, Glu, Gly, Alaからなると推察されるPeptidesの尿中排泄を増加させていることは明らかであり, 微量且つ一過性とはいえ, 中等度, 高度の障害例に本配合剤を投与する際には, 投与量, 投与間隔を十分に考慮する必要があると考えられた。

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