The Japanese Journal of Antibiotics
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β-Lctam系抗生物質Cefotiam, Cefmenoximeの肺組織内移行に関する実験的研究
平井 一也小林 俊夫小林 啓之芝本 利重久保 恵嗣北沢 邦彦八木 ひかる草間 昌三
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1988 年 41 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

抗生物質の肺組織内移行を検討するために, 慢性肺リンパ瘻を作製した緬羊に, 覚醒立位の状態で, Cefotiam (CTM) 20mg/kg, 40mg/kg, Cefmenoxime (CMX) 20mg/kg, 40mg/kgを頸静脈からOne shotで注入し, 血清中及び肺リンパ液中のCTM, CMX濃度を経時的に測定した。又, 麻酔下でCMX 50mg/kgをOne shotで注入し, 15分間の肺リンパ液中と8分後の血清中CMX濃度を測定した。更に, 15分間の肺リンパ液採取直後に脱血屠殺し, 左右両肺の一部を摘出して, 組織内濃度をも測定した。
1. 血清中及び肺リンパ液中 (TM濃度は, 静注後, それぞれ8分, 0~15分で最高濃度を示し, 以後速やかに減少し, 240分でほぼ消失した。肺リンパ液中/血清中CTM濃度比は投与後1時間までは約0.7~1.3であつた。
2. 血清中及び肺リンパ液中CMX濃度は, 静注後, それぞれ8分, 0~15分で最高濃度を示し, 以後速やかに減少した。肺リンパ液中/血清中CMX濃度比は投与後1時間までは約0.9~1.3であった。
3. 血清中, 肺リンパ液中, 左右両肺組織内CMX濃度を比べると, 左右両肺組織内濃度は, 血清中濃度測定時点から7分後のものではあるが, 図2に示すとおり, 血清中及び肺リンパ液中のCMX濃度の推移からみても明らかに低値であり, 肺リンパ液中1血清中CMX濃度比が0.76であるのに対し, 左肺及び右肺組織内/血清中CMX濃度比は, それぞれ0.13, 0.14であつた。
以上から, CTM, CMX共に肺組織間液に速やかに, 且つ高濃度に移行することが判明した。又, 従来の組織内濃度測定法は, 本方法による肺リンパ液中濃度測定法より, 低く評価していることが示された。

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