The Japanese Journal of Antibiotics
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41 巻, 1 号
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  • 桑原 正雄, 室木 邦生, 藤上 良寛, 池田 美佐子, 小泊 好幸, 城 智彦, 山木戸 道郎
    1988 年 41 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Nornoxacin (NFLX) の呼吸器感染症における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 臨床分離株に対する本剤の抗菌力の検討では, Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenesに対するMIC80は1.56μg/ml, Haemophilus influenzae 0.05μg/ml以下, Klebsiella sp., Enterobacter sp.は0.10μg/mlと強い抗菌力を有し, S. pyogenes以外ではAmpicillin, Cephalexinより優れていた。
    2. 呼吸器感染症32例に対する本剤の臨床検討では, 著効9例, 有効12例, やや有効9例, 無効2例で, 有効率は65.6%であつた。このうち, 扁桃炎, 急性肺炎では100%の有効率を示したが, 下気道感染症の有効率は57.1%であつた。又, 本剤による副作用及び検査値の異常は1例も見出さなかつた。
  • 原 徹, 佐伯 英明, 山本 晃, 太田 勝哉, 鈴木 孝治, 荒 道人, 菅原 光雄, 佐野 豊, 佐久間 英夫, 佐藤 貴美子
    1988 年 41 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフロキシム (CXM) を当科の24例に手術前に投与し, 投与後30分, 1時間後に血清中及び皮膚組織内のCXM濃度を測定し, 本剤の皮膚組織移行性について検討した。
    その結果, 投与1時間後で72.5~79.2%の高い組織移行率を示すことが実証された。当科の入院患者から検出された菌種についてみると, グラム陽性球菌が最も多く, 次いでグラム陰性桿菌が多く, 両者で全体のほぼ80%を占めている。従つて大多数のグラム陽性球菌, 腸内細菌, グラム陰性桿菌に対して広いスベクトルを有し, 組織移行性が高く, β-ラクタマーゼに抵抗性の高いCXMは形成外科領域の感染症の予防的投与に有効な抗生剤と考えられる。
  • 高岡 波留人, 牧野田 知, 一戸 喜兵衛, 川口 勲, 西谷 雅史
    1988 年 41 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCefuzonam (CZON) について産婦人科領域における本剤の有用性を検討する目的で, 基礎的並びに臨床的検討を行つた。その結果, 以下の成績を得た。
    1. 性器組織内濃度は各組織間で多少の差が認められ, 点滴静注終了後40分で3.34~7.83μg/g, 2時間15分で0.523~1.08μg/g, 3時間10分で0.286μg/g (子宮筋層) の値を示した。
    2. 骨盤死腔液中濃度は点滴静注終了直後 (開始後1時間) で平均31.0μg/ml, 点滴静注終了後1時間で平均37.2μg/mlと高値を示し, 以後減少し, 終了後3時間で25.6μg/ml, 5時間で21.4μg/mlとなった。
    同時に採取した末梢静脈血漕中濃度は, 点滴静注終了直後で平均30.0μg/ml, 1時間後14.4μg/ml, 3時間後4.00μg/ml, 5時間後1.84μg/mlの値を示した。T1/2βは1.03時間であつた。
    3. 臨床成績では, CZONの1回1g1日2回投与で7例全例に有効以上の成績が得られ, 副作用は認められなかつた。
    以上の基礎的・臨床的検討結果から, 本剤は産婦人科領域の感染症に対し有用性が高い薬剤であると判断された。
  • 五井 仁, 渡辺 忠洋, 原 哲郎, 石井 孝弘, 数野 勇造, 井上 重治
    1988 年 41 巻 1 号 p. 25-36
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症患者から分離されたグラム陰性菌及びグラム陽性菌11株を用いてヒト尿中でのCefminox (CMNX) の抗菌力をCefotaxime, Latamoxefと比較した。接種菌量を104 CFU/ml (又は103 CFU/ml) から108 CFU/ml (又は107CFU/ml) に増加させた場合のMIC値は上昇したが, 接種菌量によるMIC値の変動はCMNXが最も小さかつた。尿中pHがアルカリ性から酸性になるとグラム陰性菌でMIC値は上昇したが, pHによる尿中でのMIC値の変動はCMNXが最も小さかつた。
    尿路感染症由来のグラム陰性菌5株を用いて尿中における3薬剤の殺菌作用を比較すると, CMNXはMIC値が対照薬より高いにもかかわらず, 低濃度で強い殺菌効果を示した。グラム陰性菌6株に対する溶菌作用についても同様にCMNXが対照薬と同等以上の強い溶菌力を示した。
  • 荒川 創一, 松井 隆, 前田 浩志, 佐古 政典, 杉野 雅志, 何 昭仁, 中筋 徹也, 藤井 明, 守殿 貞夫, 前澤 功, 奥野 哲 ...
    1988 年 41 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    健康成人男子5名に新ペニシリン系注射用抗生物質であるアスポキシシリン (ASPC) 4gを1日1回5日間連続投与してその吸収・排泄を検討し, 以下の成績を得た。
    1. ASPCは5日間の連続投与によつても, 血清中濃度及び尿中排泄は初回投与時と比べ, その推移に著変を認めず, 蓄積傾向はみられなかつた。
    2. ASPCの血清中濃度は点滴静注終了時にピークを示し, その濃度は212.3~224.8μg/mlであつた。
    3. ASPCの尿中回収率は70~80%であつた。
    4. ASPC投与に起因すると思われる自・他覚的異常所見の発症, 並びに理学的検査, 臨床検査値の異常発現例は認められなかつた。
  • 平井 一也, 小林 俊夫, 小林 啓之, 芝本 利重, 久保 恵嗣, 北沢 邦彦, 八木 ひかる, 草間 昌三
    1988 年 41 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の肺組織内移行を検討するために, 慢性肺リンパ瘻を作製した緬羊に, 覚醒立位の状態で, Cefotiam (CTM) 20mg/kg, 40mg/kg, Cefmenoxime (CMX) 20mg/kg, 40mg/kgを頸静脈からOne shotで注入し, 血清中及び肺リンパ液中のCTM, CMX濃度を経時的に測定した。又, 麻酔下でCMX 50mg/kgをOne shotで注入し, 15分間の肺リンパ液中と8分後の血清中CMX濃度を測定した。更に, 15分間の肺リンパ液採取直後に脱血屠殺し, 左右両肺の一部を摘出して, 組織内濃度をも測定した。
    1. 血清中及び肺リンパ液中 (TM濃度は, 静注後, それぞれ8分, 0~15分で最高濃度を示し, 以後速やかに減少し, 240分でほぼ消失した。肺リンパ液中/血清中CTM濃度比は投与後1時間までは約0.7~1.3であつた。
    2. 血清中及び肺リンパ液中CMX濃度は, 静注後, それぞれ8分, 0~15分で最高濃度を示し, 以後速やかに減少した。肺リンパ液中/血清中CMX濃度比は投与後1時間までは約0.9~1.3であった。
    3. 血清中, 肺リンパ液中, 左右両肺組織内CMX濃度を比べると, 左右両肺組織内濃度は, 血清中濃度測定時点から7分後のものではあるが, 図2に示すとおり, 血清中及び肺リンパ液中のCMX濃度の推移からみても明らかに低値であり, 肺リンパ液中1血清中CMX濃度比が0.76であるのに対し, 左肺及び右肺組織内/血清中CMX濃度比は, それぞれ0.13, 0.14であつた。
    以上から, CTM, CMX共に肺組織間液に速やかに, 且つ高濃度に移行することが判明した。又, 従来の組織内濃度測定法は, 本方法による肺リンパ液中濃度測定法より, 低く評価していることが示された。
  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 小酒井 望, 林 康之, 小栗 豊子, 斎藤 玲, 篠原 正英, 松宮 英視, 上田 京子, 寺井 継男, 井田 ...
    1988 年 41 巻 1 号 p. 53-70
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1981年以来, 全国約20施設の共同研究として実施中の呼吸器感染症 (RTI) 由来菌の種類と薬剤感受性について, 分離された疾患によつて感受性に差があるかどうかという観点から, 1982~1985年の成績を再分析し, 以下の結論を得た。
    1. 調査したStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumonias, Haemophilus influenzae, Klebsiella pneumoniae及びPseudomonas aeruginosaの5菌種のうち, 分離された疾患によつて薬剤感受性に差がみられたのは, S. aureusP. aeruginosaムコイド株であった。
    2. S. aureusは肺炎由来株のβ-ラクタム剤に対する感受性が, 慢性気管支炎及び気管支拡張症由来株より明らかに低かつた。
    3. S. aureusのMethicillin及びCefazolin耐性株の分離頻度はそれぞれ30.3%及び25.9%であり, 特に肺炎由来株に高率であつた。メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌を含むS. aureusに対するMinocyclineの抗菌力は, 検討した9薬剤中では最も優れており, 又, β-ラクタム剤の中ではDicloxacillinに対する感受性が比較的良好であつた。
    4. P. aeruginosaムコイド株の薬剤感受性は, 慢性細気管支炎由来株が気管支拡張症由来株より若干低い傾向にあつた。
    5. H. influenzaeの薬剤感受性はMIC50, MIC80, MIC90を指標として疾患別に比較した場合, 明らかな差はみられなかつた。しかしAmpicillin (ABPC) 耐性株の分離頻度は疾患によつて明らかに差があり, 慢性細気管支炎由来株に最も高率で, 肺炎由来株では低率であつた。
    なお, 1985年度に分離されたH. influenzaeの薬剤感受性をβ-ラクタマーゼ産生の有無別に検討した結果, 本菌のABPC耐性化の機序にはβ-ラクタマーゼ以外の関与があることがうかがわれた。
    6. 以上の成績から, RTIの化学療法に際しては, 同一菌種であつても疾患によつて感受性に差があることを考慮して投与薬剤を選択する必要があろう。
  • 小酒井 望
    1988 年 41 巻 1 号 p. 71-104
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本研究会は全国197病院検査部において, 1985年5月から1986年3月までの間に, 各種臨床材料から分離された病原細菌について, 我が国で従来常用されている感受性ディスク法によつて感受性検査を行い, その結果を集計した。本論文ではStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Streptococcus pneumoniae, Neisseria gonorrhoeae, Escherichia coli, Enterobacter aerogenes, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae, Proteus mirabilis, Morganella morganii, Serratia marcescens, Haemophilus influenzae, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter calcoaceticus, Acinetobacter sp., Campylobacter jejuniのOfloxacin (OFLX) と他の常用抗菌薬に対する感受性を比較し, 次の結論を得た。
    1. OFLXはS. aureus, S. epidermidis, N. gonorrhoeae, E. coli, E. aerogenes, E. cloacae, C. freundii, K. pneumoniae subsp. pneumoniae, P. mirabilis, M. morganii, H. influenzae, A. calcoaceticus, Acinetobacter sp., C. jrjuniに強い抗菌力を示し, 耐性株は少なかつた。そしてOFLXは同じニューキノロンのNorfloxacinと比べて, 多くの菌種で抗菌力が優れており, 他の常用抗菌薬の大部分にも優れていた。
    2. 喀痰, 尿, 膿, 耳漏の検査材料別に調査したところ, OFLXの抗菌力は同一菌種で差が認められる場合が多く, 尿からの分離菌は喀痰からの菌株に比べて, ほとんどの菌種で感性株の比率がやや低かつた。
  • In vivoにおいてNeocarzinostatinの毒性を軽減させる薬物の検討
    大内 勝, 鳥山 和壮, 松本 朋徳, 馬場 恒男
    1988 年 41 巻 1 号 p. 105-115
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tiopronin, Glutathione還元型, Sodium thioglycolate及びL-Cysteine monohydrochloride monohydrateの4SH化合物のNeocarzinostatin (NCS) 急性毒性に対する軽減効果と, NCSとTioproninとの併用による抗腫瘍効果を, ICR-JCL系雄マウスを用いて検討した。
    1. NCS急性毒性に対する軽減効果
    各薬物のLD50値の約1/2~1/15用量をNCSと異なる投与経路から, NCSと同時 (薬物投与後直ちにNCS投与) あるいはNCS投与の15分ないし1時間前又は1時間後に単回投与し, NCSのLD50値を単独投与の場合と比較した。
    (1) NCS静脈内及び薬物皮下投与の場合のLD50値は, 薬物をNCS投与1時間前に投与すると, NCS単独投与に比べてTiopronin 300, 500mg/kg及び1,000mg/kg群で約1.8~5.4倍, Glutathione還元型2,000mg/kg群で約2.3倍, Sodium thioglycolate 100mg/kg群で約1.2倍並びにL-Cysteine monohydrochloride monohydrate 1,000mg/kg群で約1.9倍高く, 同時投与ではTiopronin 150, 300, 500mg/kg及び1,000mg/kg群で約2.3~3.2倍, Glutathione還元型500, 1,000mg/kg及び2,000mg/kg群で約1.3~1.6倍, Sodium thioglycolate 50mg/kg及び100mg/kg群で約1.3~1.4倍高くなり, 毒性軽減が認められた。又, Tiopronin 150, 300, 500mg/kg及び1,000mg/kgをNCS投与15分前に投与すると, 約4.8~13.1倍高くなり著しい毒性軽減が認められた。しかし, NCS投与1時間後投与では, いずれの薬物によつても毒性の軽減は認められなかつた。
    (2) NCS腹腔内及びTiopronin静脈内投与の場合のLD50値は, NCS投与の1時間前投与では500mg/kg及び1,000mg/kg群で約1.4~1.6倍, NCSと同時並びにNCS投与の1時間後では150, 300, 500mg/kg及び1,000mg/kg群で約1.6~5.8倍並びに約1.3~1.7倍高く, 毒性軽減が認められた。
    (3) 以上のように, NCS急性毒性に対する軽減効果はTioproninが最も強く, Glutathione還元型, Sodium thioglycolate及びL-Cysteine monohydrochloride monohydrateでは軽度であつた。又, NCS静脈内及びTiopronin皮下投与の場合, NCS投与の15分前投与で効果は大きく, 高用量ではNCS投与の1時間前投与においても著しい効果が認められた。NCS腹腔内及びTiopronin静脈内投与の場合には, NCSとの同時投与において効果は大きかつた。
    2. NCSとTioproninとの併用による抗腫瘍効果Sarcoma-180腫瘍細胞を腹腔内移植後24時間に, NCSを腹腔内, Tioproninを静脈内に投与して延命効果を調べた。
    (1) NCS単独投与群では, NCS 500U/kg群がIncreased life-span (ILS)>316%, NCSとTiopronin 1,000mg/kgとの同時併用投与群ではNCS 10,000U/kg群がILS>397%, NCS投与後5分Tiopronin 1,000mg/kg併用投与群ではNCS 2,000U/kg群がILS>362%を示し, いずれも延命効果は最も高かつた。
    (2) そして, NCSとTioproninとの同時併用投与群が最も優れた抗腫瘍効果を示した。
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