The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるSultamicillin細粒の基礎的並びに臨床的検討
西村 忠史田吹 和雄青木 繁幸高木 道生
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1988 年 41 巻 12 号 p. 1923-1939

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抄録

Sultamicillin (SBTPC) 細粒の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
基礎的検討として, SBTPC細粒投与時のAmpicillin (ABPC), Sulbactam (SBT) の血清中濃度及び尿中排泄率を検討した。
SBTPC 5mg/kg投与時の血清中濃度推移は2例で検討した。平均濃度ピークは投与後1時間にあり, ABPC平均1.91±1.34μg/ml, SBT平均2.06±1.06μg/ml, 半減期はABPC平均 0.80±0.10時間, SBT平均0.98±0.46μg/ml時間であつた。SBTPC 10mg/kg投与の3例では濃度ピークは投与後1時間にあり, ABPC平均2.43±0.68μg/ml, SBT2.96±0.77μg/ml で半減期はABPC平均1.57±0.57時間, SBT平均2.01±0.70時間であつた。SBTPC 15mg/kg投与の2例では, 濃度ピークは投与後30分にあり, ABPC平均6.55±1.63μg/ml, SBT平均6.00±1.00μg/mlで, 半減期はABPC平均0.90±0.13時間, SBT平均0.82± 0.16時間であつた。SBTPC 20mg/kg投与は1例で検討したが投与後1時間に濃度ピークがあり, ABPC 11.3μg/ml, SBT 8.64μg/mlで, 半減期はABPC 0.87時間, SBT 0.92時間であつた。尿中排泄率は投与後6時間までを検討し, SBTPC 5mg/kg, 10mg/kg, 15mg/kg投与時の平均尿中排泄率は各々ABPC/SBTでは38.4±2.7%/34.6±4.7%, 43.0±3.6%/41.6± 5.8%, 47.7±5.2%/51.6±3.5%, 20mg/kg投与では投与後8時間までに66.1%/59.2%であつた。
臨床的検討は咽頭炎2例, 扁桃炎19例, 気管支炎2例, 肺炎1例, 猩紅熱1例, 伝染性膿痂疹3例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群2例, 尿路感染症4例の計34例について行い, 臨床効果は著効20例, 有効13例, 無効1例で, 有効以上の症例は34例中33例 (97.1%) であつた。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Haemophilus influenzaeなど34株が検出され, うち26株が消失, 4株が減少, 3株が不変で, 1株は不明であつた。なお, β-Lactamase高度産生株はS. aureus 6株, H. influenzae 3株, Klebsiella pneumoniae及びCitrobacter diversus各々1株にみられ, H. influenzae以外は全株消失した。臨床症状及び検査値の異常については軟便をきたしたもの3例, 好酸球増多をきたしたもの1例で重篤なものはなかつた。

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