The Japanese Journal of Antibiotics
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Sultamicillin細粒の小児科領域における臨床的検討
石川 純一貴田 嘉一松田 博村瀬 光春
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1988 年 41 巻 12 号 p. 1965-1971

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抄録

Sultamicillin tosilate (SBTPC) 細粒の小児科領域における有効性と安全性を明らかにする目的で17名の小児で体内動態, 臨床的有効性, 細菌学的有効性及び副作用について検討し以下の結果を得た。
1. SBTPC細粒 (10mg/kg) を経口投与した時のAmpicillin (ABPC) の半減期(T 1/2)は1.38±0.14時間, SulbactamのT 1/2は0.93±0.26時間であつた。
2. 扁桃炎7例, 咽頭炎2例, 気管支炎2例, 膀胱炎1例, 猩紅熱1例, 蜂窩織炎1例の計14例でSBTPC細粒24.4~42.6mg/kg/日の経口投与による臨床的有効率は100% (14例/14例)であつた。
3. 起因菌の同定された5症例 (staphylococcus aureus3株, staphylococcus pyogenes1株, Escherchia coli1株, Proteus mirabilis1株) における細菌消失率は100% (6株/6株) であつた。SBTPCはABPC耐性S. aureus2株に対して抗菌力を示し, Cephalexin, Cefaclorの抗菌力と同等以上であつた。
4. 2症例で好酸球増多が認められた以外には副作用は認められなかった。
以上の結果から, SBTPC細粒は小児科領域の細菌感染症に対して有効且つ安全な第1選択薬剤になり得るものと考えられた。

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