The Japanese Journal of Antibiotics
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小児化膿性髄膜炎に対するAztreonamの臨床的検討
藤井 良知目黒 英典西村 忠史小林 裕春田 恒和豊永 義清岡田 隆滋古川 正強喜多村 勇小倉 英郎本廣 孝進藤 静生橋本 信男
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1988 年 41 巻 4 号 p. 390-398

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抄録

生後2ヵ月から8年11ヵ月の男児9例, 女児3例の重症な化膿性髄膜炎計12例にAztreonam (AZT) の単独療法を行つた。
1日投薬量は134~400mg/kg, 投薬回数は1日3~4回, 投薬日数は10~28日であつた。
起炎菌はNeisseria meningitidis 2例, Escherichia coli 3例, Haemophilus influenzae 6 例のほか脊髄髄膜瘤があり, 化膿性髄膜炎を繰り返す菌不明1例があつた。
臨床効果は12例中5例が著効, 7例が有効で有効率100%であつた。菌検査が経過に従つて行われている9例では除菌率100%で, すべて72時間までに菌の消失がみられている。
副作用は1例に下痢をみたが, 本剤使用前からのもので投薬を続けて消失した。GOT軽度上昇が1例に認められたが, 治療後速やかに前値に復した。
AZTはH. influenzae, E. coli, N. meningitidisなどグラム陰性菌による化膿性髄膜炎には安全, 有効な抗生剤であり, 迅速抗原検出法が一般化された今日有用性が高いものと考えられるが, 将来緑膿菌性髄膜炎あるいは新生児期適応について検討を要するものと考える。

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