The Japanese Journal of Antibiotics
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脳神経外科領域の急性, 慢性期におけるCefoperazoneの髄液移行
本田 英一郎島本 宝哲原 邦忠西尾 暢晃
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1988 年 41 巻 4 号 p. 409-414

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抄録

中枢神経系は血液一脳関門 (Blood-Brain-Barrier以後BBB) の存在により, 抗生物質などの高分子物質の脳内への移行は極めて悪いのが実状である。
今回は脳血管障害などの頭蓋内Accidentにより頭蓋内環境が変化した場合, 特に急性期群と慢性期群に分け, 全身投与されたCefoperazone (CPZ) がどの程度髄腔内に移行するかについて比較検討を行つた。
その結果, CPZ2g投与後1時間目の髄液中濃度は急性期群 (発症後8日以内にCPZを投与した群)(4例) では2.06~9.38μg/ml (4.55±3.41μg/ml), 一方慢性期群 (発症後30日以降に投与した群)(3例) では0.2~2.55μg/ml (1.29±1.28μg/ml) と急性期群で高濃度移行が認められた。この理由は急性期状態ではBBBの部分的破壊, 不安定化の他に頭蓋内圧をコントロールする際の利尿・降圧剤の影響が考えられる。又, CPZ投与後6時間目においても髄液中濃度は1.42~4.30μg/ml (3.29±1.29μg/ml)(急性期群) と高濃度が維持された。
なお, 急性期群だけでCPZ1g, 2gと投与量を変化させ, Dose dependentについて検討したが, CPZ1gと2gでは明らかなDose dependentが得られた。

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