The Japanese Journal of Antibiotics
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臨床分離緑膿菌50株の各種抗菌剤感受性と過去4年間における感受性の推移
山田 博豊竹山 英夫福谷 久渡邊 英二坂 行雄鈴木 克己亀山 由美子江崎 准子山崎 均森 芳夫佐竹 立成
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1988 年 41 巻 5 号 p. 469-477

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抄録

我々は, 1986年8月及び9月の2ヵ月間に当院中央検査部で臨床材料から分離され, 起炎菌と推定された緑膿菌50株の8種の抗生物質Piporacillin (PIPC), Cefsulodin (CFS), Cefpiramide (CPM), Cefoperazone (CPZ), Cefmenoxime (CMX), Ceftazidime (CAZ), Netilmicin (NTL), Amikacin (AMK) に対する感受性を調べ, 併せて臨床材料, 血清型, MICと1濃度ディスク感受性検査との相関, 及び過去4年間の感受性の推移について検討した。
1. 薬剤感受性成績では, CAZの抗菌力が最も強く, そのMIC80値は6.25μg/mlで, 次いでAMK, 以下CFS, CPM, PIPC, CPZ, NTL及びCMXの順であつた。又, 50μg/ml以上の耐性を示す菌株はCAZではみられなかったが, CMXで74.0%, CPM, CPZ, NTL及びCFSで62.0%, PIPCで58.0%, AMKで2.0%にみられた。
2. 血清型と薬剤感受性との関係については, CAZ, AMKを除く他の薬剤に対し, E型株の大部分が低い感受性を示した。CFS及びPIPCに対してもE型株は抵抗性であることが示された。CFSはG型株の中にも16.7%に感受性の低い株がみられた。CAZ, AMKはE型株にも優れた抗菌力を示した。
3. 臨床材料と薬剤感受性との間では, いずれの臨床材料においても, CAZとAMKは高い抗菌力を示した。CFS, CPM, CPZ及びNTLは膿, 分泌液由来菌株が他の材料のそれよりやや高い感受性を示し, 尿由来菌株においては低かった。
4. MIC値と1濃度ディスク感受性検査との相関は比較した5種類の抗生物質において, MIC12.5μg/ml以下とディスク感受性++以上において, いずれにおいても高い一致率を示し, x2検定を行い, P<0.01の危険率をもつて高い相関を示すことが認められた。
5. 1983年から1986年までの4年間において, 当院中央検査部において尿及び喀痰から分離された緑膿菌の各種抗生物質に対する感受性の推移は, AMKには高い感受性を保っているものの, Gentalnicin, PIPC, Fosfomycin及びCFSに対する感受性は尿, 喀痰共に明らかに低下していることを示していた。

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