The Japanese Journal of Antibiotics
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メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌の産生するアミノ配糖体系抗生物質不活性化酵素に関する研究
松橋 祐二山本 治夫
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1988 年 41 巻 5 号 p. 523-529

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抄録

順天堂大学医学部細菌学教室にて分離されたメチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 46株の産生するアミノ配糖体系抗生物質不活性化酵素について検討し, 以下の成績を得た。
1. これらのMRSAはアミノ配糖体系抗生物質に対する耐性パターンから三つの群に分けることができた。
2. Gentamicin (GM) とTobramycin (TOB) に高い耐性を示した第I群の35株は2-アミノ配糖体系抗生物質リン酸転移酵素 (APH (2)) を産生していることを, 代表株から得た粗酵素の不活性化反応及び単離した不活性化物の構造から明らかにした。
3. GMには感受性か弱い耐性を示し, TOBに第I群と同様耐性を示した第II群の8株は4'-アミノ配糖体系抗生物質アデニリル転移酵素 (AAD (4')) を産生していることを, 代表株から得た粗酵素の不活性化反応及び単離した不活性化物の構造から明らかにした。
4. GM及びTOBには感受性を示したが, Kanamycinには第I, II群と同様耐性を示した第III群の3株はAPH (3')-IIIを産生していることを粗酵素の不活性化反応における基質特異性から明らかにした。
5. これらの不活性化酵素の基質に用いた10種のアミノ配糖体系抗生物質のうち, 最も基質になり難いものはArbekacin (HBK) であり, すべての菌株はHBKに感受性であった。

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