1988 年 41 巻 5 号 p. 588-593
1. 骨盤死腔排液ドレーンからの分離菌は予防投与剤の特徴をよく反映しており, ペニシリン系, テトラサイクリン系, いわゆる第1, 第2, 第3セフェム系抗生物質へと進むにつれ, Escherichia coliを主体としたグラム陰性桿菌の検出率は著しく減少し, 一方, Enterococcus faecalisを中心としたグラム陽性球菌は増加している。
2. 排液ドレーンから分離された菌種とその後骨盤死腔炎, リンパ嚢腫化膿症を起した菌種とは密接な関係があることから排液ドレーン中の菌検索を行うことは重要である。
3. Ceftriaxone(CTRX)2g/日1回投与法での血清中濃度の推移, 骨盤死腔への移行度からみて骨盤死腔炎, リンパ嚢腫化膿症においてもこの投与法で充分制御しうると考えられる。
4. 骨盤死腔炎4例にCTRX2g/日1回投与, 5日間行い, 3例において総合効果有効という成績が得られた。