1988 年 41 巻 5 号 p. 594-601
Cefotaxime (CTX) とその主要代謝産物Desacetylcefotaxime (DCTX) のinvi vitro併用効果を, 7種の臨床分離株を用いて検討した。Bacteroides fragilis, Staphylococcus aureus, Citrobacter freundii, Pseudomonas cepacia, Enterobacter cloacaeにおいて, CTXとDCTX の抗菌力での1:1併用効果は, 相乗作用及び部分的相乗作用を合せて22%から78%に認め, 拮抗作用はProteus vulgarisの11%, Serratia marcescensの4%に認めた。Checkerboard 法においてもB. fragilisに対しCTXとDCTXは相乗的に作用し, 拮抗作用はなかつた。B. fragilisでの殺菌曲線において, CTXとDCTXの併用は菌の再増殖を抑制した。CTXのヒト静注時, 血清中濃度にシミュレートした実験系においても, DCTXの共存はCTXの殺菌力を増強させ, 且つ再増殖の抑制効果をもたらした。これらの事実から, CTXはin vivoにおいて, in vitroでの感受性試験から予想されるよりも優れた治療効果が得られると推察された。