The Japanese Journal of Antibiotics
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血中有効濃度を得るためのセファマンドール投与量設定, 評価へのアプローチセファマンドールの抗菌力とセファマンドール
濃度ディスク感受性結果の4カテゴリー評価システムとその定量的利用の意義
植手 玄洋松尾 清光植手 鉄男
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1988 年 41 巻 6 号 p. 631-640

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抄録

1. 本研究においてはセファマンドール (CMD) の血中有効濃度を得るための投与量設定, 評価へのディスク感受性結果の定量的利用の吟味, 検討を行つた. 1濃度8mm直径-30μgCMD含有ディスク(昭和薬品化工)の阻止円の大きさの定量的評価, すなわちMIC値の推定について, MIC実測値と比較しその信頼性を究明した。
2. 昭和60年1月から6月に至る間に北野病院 (大阪市) において臨床材料から分離された細菌246株に対するCMDのMIC実測値からするとStaphylococcus aureusは分離株の89%が6. 25μg/ml以下で, 71%の菌株が3. 13μg/ml以下で発育が阻止された. Staphylococcus epidermidisは分離株の87%が3. 13μg/ml以下で発育が阻止された。分離されたEnterococcus faecalis全株に対するMICは50μg/ml以上であつた。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisなどは90%以上の分離菌株がCMD濃度3. 13μg/ml以下で発育が阻止された. Proteus vulgarisは分離株の67%が6. 25μg/ml以下で, 47%が1. 56μg/ml以下で発育が阻止された。Serratia marcescensは分離株の7%が3. 13-6. 25μg/mlの間で発育が阻止されたにすぎない。Enterobacter aerogenesは分離株の69%が3. 13μg/ml以下で発育が阻止された。分離された緑膿菌全株に対するMICは200μg/ml以上であつた。
3. 高度Methicillin-resistant S. aureus (MRSA)(MIC > 30μg/ml)12株中10株に, 15μg/ml以下の濃度でCMDは抗菌力を示した。このCMDの抗菌力はセファロチン, セフォチアム, セブメタゾルよりもMRSAに対して強力であることを示していた。
4. ディスク感受性結果は阻止円の大きさから(+++),(++),(+),(-) と分類された。(+++)は阻止円直径23mm以上, MIC3μg/ml以下,(++)は阻止円直径16~< 23mm, MIC> 3-15μg/ml,(+) は阻止円直径10~< 16mm, MIC> 15-60μg/ml,(-) は阻止円10mm未満, MIC> 60μg/mlにBreak pointsを設定し, ディスク感受性結果の分類と実測MIC値を比較するとMIC値とよい相関関係がみられた。ディスク結果からCMDのMIC概値推定の信頼性は高く, 4分類法によるFalse positiveは1. 6%で False negativeは4. 5%であった. 故に, ディスク結果を定量的に利用し, 投与量設定, 評価に役立たせることは可能である. ml以下のCMDの濃度で発育が阻止された。しかし, Serratia, P. aeruginosaへの抗菌力は弱く, 無効の菌株が多かつた。諸家の報告するとおりであった.

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