The Japanese Journal of Antibiotics
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大腸癌患者におけるCefpiramideの血清中及び大腸組織内への移行についての臨床的研究
高橋 愛樹桜井 修石田 康男岡 寿士渡辺 糺成原 健太郎鈴木 快輔
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1988 年 41 巻 6 号 p. 623-630

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抄録

Cefpiramide (CPM) はブドウ球菌属, 腸球菌, 緑膿菌, 嫌気性菌であるバクテロイデス属に広範に抗菌力を示し, クレブシエラ属, 大腸菌を含めた腸内細菌群にも抗菌力を示すCephalosにporin系抗生物質である。消化管手術時に検出される主たる細菌に抗菌力を有するCPMの血清中濃度及び大腸組織内移行濃度を大腸癌症例において測定した。昭和60年12月から昭和62年3月までの間に入院, 大腸手術を受けた18例を対象とした。CPM1g投与11例, 29投与7例であつた。CPM1g投与後の血清中濃度は投与後25分~2時間20分で81. 56-212. 6μg/mlの問に分布し, 大腸組織内濃度は14. 17-66. 95μg/gの間に分布し, 組織/血清の濃度比は0. 08-0. 49, 0. 24±0. 05(平均±S. E.)であつた。CPM2g投与後の血清中濃度は投与後1時間10分-3時間50分で128. 4-253. 5μg/mlの間に分布し, 組織内濃度は投与後1時間10分-5時間15分で48. 3-116. 5μg/gの間に分布し, 組織/血清濃度比は1時間10分-3時間5分で0. 21-0. 55, 平均0. 42±0. 05であつた。すなわち, 組織移行濃度については, 2g投与が1g投与の倍以上の移行を示した。又, CPM2g投与の場合, 測定したすべての時間にわたって, ほぼすべての適応菌種の報告されている臨床分離株に対するMIC80をクリアしていた。 従つて, 術後の感染予防には, 血清中濃度, 組織移行濃度の成績から本剤は有効であり, 2g投与が有用であることが示唆された。

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