The Japanese Journal of Antibiotics
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[汎用抗菌薬III] Norfloxacin
上田 泰松本 文夫
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1988 年 41 巻 7 号 p. 782-796

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抄録

Nornoxacin (NFLX) は1977年に, 杏林製薬 (株) 中央研究所で開発された初の広範囲キノロン剤であり, その化学構造はFig. 1のとおりである。本剤はキノロンカルボン酸の6位にフッ素を, 7位にピベラジンを導入することによつて, 従来のキノロン剤に比べ, グラム陽性菌にまで抗菌スペクトラムが拡大され, グラム陰性菌に対する抗菌力も一段と増強された。特にみPseudomonsa aeruginosa, Serratia marcescensに対する抗菌力は強く, 本剤はNalidixic acid (NA) 耐性グラム陰性菌, Gontamicin (GM) 耐性P. aeruginosa, Ampicillin (ABPC) 耐性Staphylococcus aureusに対しても強い抗菌力を有する。
本剤は経口使用により主に小腸で吸収されるが, 各臓器への移行は良好であり, ほとんど代謝されることなく, 未変化体のまま尿中及び胆汁中に排泄される。
本剤に関する基礎的・臨床的検討成績は, すでに第28回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウム (1980年6月東京) 及び第20回インターサイエンス抗菌薬・化学療法会議 (1980年10月ニューオリンズ) で発表され, その有用性が評価されている。その後検討された臨床成績とNFLXの特徴は次のとおりである。

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