The Japanese Journal of Antibiotics
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急性上気道感染症由来臨床分離株に対するSultamicillinの抗菌力 第1報
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美中根 豊深山 成美西村 由紀子小田 清次田中 節子加藤 三枝子佐藤 久美子福本 寅雄
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1988 年 41 巻 9 号 p. 1194-1204

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抄録

1987年に検出した急性上気道感染症由来6菌種各々50株 (合計300株) を用いて, Sultamicillin ( SBTPC) の抗菌力とβ-Lactamase産生性を検討した。
1. Acidometry disc methodを用いた検討でのβ-Lactamase産生株の割合は, Staphylococcus aureus86%, Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae100%, Branhamella catarrhalis68%, そしてHaemophilus influenzae24%であつた。なお, S. aureusの14%はAcidometry 法でのBenzylpenicillin discだけでなくCefazolin discまでも陽性を示した。
2. SBTPCの抗菌力はβ-Lactamase産生株, 特にPenicillinase (PCase) 産生株に優れた抗菌力を示しており, SBTPCのMIC80S. aureusK. pneumoniae subsp. pneumoniaeで各々3.13μg/ml, B. catarrhalis, H. influenzaeで各々0.39μg/ml, Streptococcus pneumoniae0.05μg/ml, そしてStreptococcus pyogenes0.025μg/mlであつた。
3. SBTPCのβ-Lactamase産生株に対する抗菌力はPCase産生株に強く発揮されたことから, これら抗菌力の増強はSBTPCにAmpicillinと等量に含有されているSulbactamのβ-Lactamase不活化作用 (β-Lactamase inhibition) によるものと考えられた。

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