The Japanese Journal of Antibiotics
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41 巻, 9 号
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  • 松本 文夫, 大泉 耕太郎
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1181-1193
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime axetil (CXM-AX, SN407) は英国Glaxo社で開発された経口用セファロスポリン系抗生物質である。その化学構造はFig.1のとおりで, 注射用セファロスポリン系抗生物質Cefuroxime (CXM) を1-Acetoxy-ethylester誘導体とし, 経口剤に改良したものである。
    本剤はそれ自体ほとんど抗菌作用がなく, 経口投与されたCXM-AXは腸管内で脱エステル化されてCXMとして吸収され, 抗菌作用を発揮する。
    抗菌活性の本体であるCXMの抗菌作用についてはすでに数多くの報告があるが1, 2), β-ラクタマーゼに安定であることからその抗菌スペクトルは広く, これまで効果の期待できなかつたセファロスポリン耐性Escherichia coli, Klebsiellaにも抗菌作用を示し, Haemophilus influenzaeNeisseria gonorrhoeaeに対して強い抗菌力を有するものの, 緑膿菌に対しては抗菌作用を示さない。CXM-AXの有効性と安全性については第33回日本化学療法学会西日本支部総会新薬シンポジウムにおいて検討され評価されているが3), ここではそれ以降の検討成績も含めて本剤の特徴をまとめてみた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 深山 成美, 西村 由紀子, 小田 清次, 田中 節子, 加藤 三枝子, 佐藤 久美 ...
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1194-1204
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1987年に検出した急性上気道感染症由来6菌種各々50株 (合計300株) を用いて, Sultamicillin ( SBTPC) の抗菌力とβ-Lactamase産生性を検討した。
    1. Acidometry disc methodを用いた検討でのβ-Lactamase産生株の割合は, Staphylococcus aureus86%, Klebsiella pneumoniae subsp. pneumoniae100%, Branhamella catarrhalis68%, そしてHaemophilus influenzae24%であつた。なお, S. aureusの14%はAcidometry 法でのBenzylpenicillin discだけでなくCefazolin discまでも陽性を示した。
    2. SBTPCの抗菌力はβ-Lactamase産生株, 特にPenicillinase (PCase) 産生株に優れた抗菌力を示しており, SBTPCのMIC80S. aureusK. pneumoniae subsp. pneumoniaeで各々3.13μg/ml, B. catarrhalis, H. influenzaeで各々0.39μg/ml, Streptococcus pneumoniae0.05μg/ml, そしてStreptococcus pyogenes0.025μg/mlであつた。
    3. SBTPCのβ-Lactamase産生株に対する抗菌力はPCase産生株に強く発揮されたことから, これら抗菌力の増強はSBTPCにAmpicillinと等量に含有されているSulbactamのβ-Lactamase不活化作用 (β-Lactamase inhibition) によるものと考えられた。
  • 猪狩 淳, 下地 一彦, 上江洲 典子, 仲宗根 勇, 平良 恵貴, 賀数 亮一
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1205-1211
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    沖縄県における黄色ブドウ球菌の化学療法剤感受性の現状を知る目的で, 沖縄県本島地方の主要3病院 (ベット数約400床) で, 各種臨床材料から分離された350株について12種の化学療法剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。
    Methicillin (DMPPC) 耐性菌 (MIC≥12.5μg/ml) は27%, Cloxacillin耐性菌11%, Cefazolin (CEZ) 耐性菌24%, Cefmetazole耐性菌15%, Gentamicin耐性菌31%, Amikacin 耐性菌15%であった。又, DMPPC耐性Staphylococcus aureus (MRSA) はLatamoxef, Cefmenoxime, Ampicillin, Fosfomycin, CEZにも耐性であることが多く, Minocycline, Norfloxacinにはほとんどが感性であった。
    DMPPC-CEZ耐性S. aureusは全株のうち23%を占めた。
    以上のことから, 沖縄県の病院においても, 本土の病院と同様, 多剤耐性S. aureusが蔓延していることが明らかになった。
  • 1984~1986年の3年間の検討
    西岡 きよ, 荻原 央子, 井田 士朗, 滝島 任
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1212-1222
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1984年から1986年の3年間の呼吸器感染症原因菌の動向を, 口腔内常在菌による汚染の少ない喀痰を培養した結果をもとにして示した。各年をとおして起炎菌の1位はHaemophilus influenzaeであり, Pseudomonas aeruginosa, Branhamella catarrhalisがこれに次ぎStreptococcus pneumoniaeは漸増傾向にある。これら4菌種で呼吸器感染症原因菌の70~74%を占めていた。これら主要4菌種の抗生剤感受性測定結果の概略を以下に示す。
    1. H. influenzae
    β-Lactamase陽性菌の頻度が1984, 1985年の15~16%から1986年は8.6%と減少し, ペニシリン系のMIC90値も低下している。被検薬剤の中ではCefmenoxime (CMX), Cefotaxime (CTX) が最も抗菌力が強く, 他のセフェム剤や新キノロン剤も耐性化はなかつた。
    2. S. pneumoniae ベンジルペニシリンに耐性菌はなく, Ampicillin, Piperacillin, CMX, CTXも一様に強い抗菌力を示した。Minocycline (MINO) 及び新キノロン剤はMIC50, MIC90共に高く, これら薬剤を使用中に本菌が分離された例が多くみられたことを裏付けている。
    3. B. catarrhalis約80%の株がβ-Lactamase陽性であつた。被検薬剤中ではLatamoxefが最も抗菌力が強いが, 他のセフェム系, 新キノロン剤, Erythromycin, MINOも耐性化はみられなかつた。
    4. P. aeruginosa β-ラクタム剤のよりいつそうの耐性化と, 新キノロン剤耐性化が注目された。新キノロン剤の呼吸器感染への使用に際してはS. pneumoniaeへの菌交代や, P. aeruginasaの慢性感染において容易に耐性化がおこるなどの新たな問題が出ている点について今後の注意が必要である。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1223-1230
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    寒天平板2倍希釈法によるMIC値と, 45μg含有ディスクによる阻止円直径を測定した。その結果として, 普通法 (1夜培養判定16時間程度培養), 遅延判定 (24時間程度培養), 迅速3~4時間法, 迅速5~6時間法など, 各々についてMIC値と阻止円直径との関係を示す1次回帰式を求めることができ, Single-disc法の成立することが確かめられた。この際の1次回帰式は普通法で, D (Diameter, mm) =27.4-10.1 log MIC (μg/ml), 遅延判定ではD=33.7-13.4 log MIC (μg/ml), 迅速5~6時間法では, D=20.7-6.6log MIC (μg/ml) 迅速3~4時間法ではD=14.5-3.6 log MIC (μg/ml) であった。
    ついで感受性ディスク法としての阻止円の直径からMIC値を推定した場合の, 推定MIC値の変動幅と寒天平板2倍希釈法によるMIC値の変動幅を求めて, 本感受性ディスク法に対する実験誤差推定の参考とした。
  • 村木 憲子, 陳 瑞明, 角坂 育英, 栗山 喬之, 菅野 治重, 菊池 典雄, 鈴木 公典, 山岸 文雄, 山本 司, 渡辺 昌平
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1231-1236
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸器疾患を基礎疾患に持ち, 急性感染増悪を生じ, 起炎菌の判明した13例に対するオフロキサシン (OFLX) の有用性を検討した。
    1. 総合臨床効果は著効5例, 有効6例, やや有効2例, 無効0例であり, 有効率は84.6% であった。
    2. 37℃以上の発熱を認めた6例のOFLX投与後に解熱するまでの日数は1日4例, 3 日1例, 5日1例 (平均2.0日) であった。
    3. 起炎菌の推移はHaemophilus influenzae10例中9例は菌消失し, 1例はPseudomonas aeruginosaに菌交代した。Branhamella catarrhalis3例は全例菌消失した。P. aeruginosa 1例は減菌した。細菌学的効果は, H. influenzae及びB. catarrhalisに対して十分に期待される。
    4. 副作用は1例 (7.7%) に認められ, 心窩部不快感の消化器症状であったが, 胃粘膜保護剤の服用により, 症状の消失をみた。検査値の異常はみられなかつた。
    以上から, OFLXは慢性呼吸器疾患の急性感染増悪例に対して有用な薬剤と言える。
  • 藤井 良知, 柱 新太郎, 坂田 宏, 印鑰 史衛, 藤田 晃三, 丸山 静男, 吉岡 一, 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 鈴木 博之 ...
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1237-1250
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用Cephem系抗生物質Ceftriaxone (CTRX) について全国規模の研究会を組織し, 新生児・未熟児における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 吸収・排泄
    (1) 新生児105例に10mg/kg又は20mg/kgを静注した際の血中濃度は静注30分後にそれぞれ36~42μg/ml, 46~76μg/mlを示し, その後徐々に減衰し, 12時問後でもそれぞれ10~14μg/ml, 13~21μg/mlを示した。
    (2) 血中濃度半減期 (T1/2) は成熟児・未熟児いずれも0~3日齢群で有意な延長がみられ, 特に0~3日齢の未熟児で長く, T1/2は17.1時間であつた。4~7日齢群と8~28日齢群のT1/2には差はみられなかつた。(3) 新生児80例の尿中排泄は静注後6時間までに約20%, 12時間までに約30%であり, 20mg/kg投与例の尿中排泄は10mg/kg投与例よりわずかながら遅い傾向であった。
    2. 臨床成績
    (1) 総症例168例中除外, 脱落例を除いた112例を効果判定対象例とし, 副作用については161例を対象とした。
    (2) 効果判定対象例112例の内訳は, 生下時体重2,500g朱満の未熟児21例を含む男児57例, 女児55例, 年齢は生後28日以下の新生児が89例, 投与法はOne shot静注例が102例, 投与回数は1日2回投与が81例, 1日投与量は10~50mg/kgが97例であつた。
    (3) 臨床効果は112例中起炎菌を確定し得た60例で著効31例, 有効23例, 有効率90.0%, 重篤な疾患では髄膜炎8例で87.5%, 敗血症11例で90.9%の有効率であった。又, 起炎菌を確定し得なかった52例では著効21例, 有効29例, 有効率96.2%であった。
    (4) 細菌学的効果は60例から67株が分離され, そのうち細菌学的に判定し得た59株中55株 (93.2%) が消失した。
    (5) 副作用は161例中下痢11例, 嘔吐2例, 発疹1例の計14例 (8.7%)に, 臨床検査値異常は好酸球増多14例, GOT上昇4例, 血小板増多3例等, 計25例 (16.4%) に認められた。
    (6) CTRXの新生児・未熟児の標準用量は20mg/kgを生後0~3日齢は1日1回, 4日以後は1日2回とするのが良い。
  • 松田 静治, 鈴木 正明, 清水 哲也, 石川 睦男, 相馬 彰, 藤本 征一郎, 牧野田 知, 千村 哲朗, 渡辺 哲也, 小田 隆晴, ...
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1251-1260
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用Cephalosporin系抗生物質Ceftriaxone (CTRX) について全国規模の研究会を組織し, 産婦人科周産期領域における薬動力学的評価並びに臨床的有用性を検討した。以下その成績を要約する。
    1. 分娩前の妊婦にCTRX 1gをOne shot静注した際の母体血清中濃度は投与直後131.8μg/mlを示し, その後血清中濃度半減期 (T1/2) 6.7時間で, 緩徐に減衰した。
    臍帯血清中濃度はTmax 4.9時間後にCmax 16.0μg/mlを示し, T1/2 8.1時間で緩徐に減衰し, 約12時間以降は母体血清中濃度を上回つた。
    羊水中濃度はTmax 12.8時間後にCmax 9.6μg/mlを示し, T1/2 15.2時間で緩徐に減衰し, 約15時間以降は母体血清中濃度を上回り, 24時間後は臍帯血清中濃度とほぼ同値を示した。
    2. 妊娠, 産褥期における各種感染症及び帝王切開術, 前期破水等の感染予防例89例のうち除外10例を除く79例につき臨床的有用性を検討した。
    尿路感染等の分娩前の感染症7例で有効率100%, 産褥子宮内感染等の分娩後の感染症30例で有効率100%であつた。帝王切開及び前期破水時等の感染予防42例では有効率92.9%であつた。
    細菌学的効果は26例から29株が分離され, 消失23株, 菌交代1株, 不変1株, 不明4株で消失率は96.0%であつた。
    副作用は1例 (1.1%) に発疹・掻痒感がみられ, 臨床検査値異常はTransaminaseの上昇等10件, 7例 (7.9%) にみられた。
    以上の成績からCTRXは産婦人科周産期領域においても有用な薬剤であると考えられた。
  • 下方 薫, 鳥飼 勝隆, 加藤 真知子, 酒井 秀造, 野村 史郎, 伊藤 貴彦, 坂 英雄, 千田 嘉博, 鳥井 義夫, 伊藤 隆, 鈴木 ...
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1261-1271
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX) 単独治療群とCTX+Fosfomycin (FOM) 併用治療群とを無作為に分け, それぞれの呼吸器感染症における有用性を比較検討した。
    CTX単独投与群32例, CTX+FOM併用投与群41例における全般改善率はそれぞれ81.3%, 75.6%であり, 統計学的な有意差は認めなかつた。副作用, 臨床検査値異常としては, CTX単独投与群で発熱, 血小板減少, GOT・GPT上昇, GPT上昇の4例が, CTX+FOM併用投与群で血管痛, GOT・GPT上昇3例, BUN上昇の計5例が認められたがすべて一過性で重篤なものはなかった。
  • 和志田 裕人, 阪上 洋, 渡辺 秀輝, 佐々木 昌一
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1272-1278
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の程度の腎機能を有する17名の男女にCefsulodin 1gを生理食塩液20mlに溶解してOne shot静注し, 24時間後まで経時的に血清中濃度と尿中排泄量を測定した。 濃度測定は高速液体クロマトグラフィー法により行い, 薬動力学的解析はTwo-compartment modelで行つた。対象はクレアチニンクリアランス(Ccr)≥70ml/min(I群), 50~<70ml/min(II群), 30~<50ml/min(III群), <30ml/min (IV群) に分けて検討した。
    血清中濃度はCcrの低下に伴って血清中からの消失が遅延する傾向を認め, 血清中半減期 (T1/2β) はI群1.03時間, II群2.09時間, III群3.44時間, IV群4.52時間であり, III群及びIV群で延長していた。 血清クリアランス(Cl8)とCcrの間にはCl8=1.60×Ccr+7.70の関係がみられ, 相関係数(r)は0.881であつた。 T1/2βとCcrの問にはT1/2β=31.27×Ccr-0.688, 血清中濃度曲線下面積(AUC)とCcrの間にはAUC=4,226×Ccr-0.81の関係がみられた。 投与後24時間までの尿中排泄率はI群84.4%, II群69.1%, III群67.5%, IV群56.5%とCcrの低下に伴つて低下する傾向を認めたが, Ccr<30ml/minの例でも比較的高い尿中排泄率を示した。
  • 青山 久, 杉山 博子, 多田 美香子, 奥田 潤, 井澤 洋平
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1279-1284
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    複合抗生物質製剤であるSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を熱傷患者に静脈内投与して, 熱傷水疱液への移行を調べた。
    SBT/CPZは10名の熱傷患者に体重kg当り50mg (SBT 25mg/kg, CPZ 25mg/kg) をOne shot静脈内投与した。 血清中及び熱傷水疱液中SBT, CPZ濃度をBioassay及び高速液体クロマトグラフィー (HPLC) によって測定した。
    血清中CPZ濃度は投与15分後に109.5±9.2μg/ml(Mean±S. E.), 8時間後に6.8±2.3μg/mlとなった。 一方, 熱傷水疱液中CPZ濃度は静注後30分で20.4±7.6μg/mlとなり, 1~6時間まで平均で27.0μg/mlの値を示した。 又, 血清中SBT濃度は投与後15分で75.7±8.3μg/mlに達し, 8時間後では2.3±0.7μg/mlに低下したのに対し, 熱傷水疱液中SBT濃度は静注後30分で6.3±1.3μg)mlの濃度を示し, 1~4時間目まで平均で12.2μg/mlの値を示した。
    熱傷水疱液中CPZ, SBT濃度の薬動力学的解析を行つた結果, CPZではCmax30.4μg/ml, AUC0~8hrs. 194.0μg・hr/mlであり, tAUC (最低有効濃度以上のAUC) は97.1μg・hr/ml (0.3~11.1時間) であった。 SBTではCmax13.6μg/ml, AUC0~8hrs・68.3μg・hr/mlとなった。
    又, CPZ, SBT濃度をBioassay及びHPLCで測定したところ両分析法による測定値はよく一致し, 良好な相関性が得られた。
  • 臨床の場における出血傾向について
    長谷川 英之, 大河内 明子, 千場 純, 平居 義裕, 福田 悦子, 岩村 顕三, 藤井 信一郎, 武尾 宏, 緒方 太郎, 巽 浩一郎, ...
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1285-1294
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 80症例にCefinenoxime (CMX) を使用し, 単独投与例57症例の臨床効果は有効率75.4%で, CMXの有用性を再確認するものであつた。
    2. CMXの出血傾向に対する影響を検討したが, 臨床上出血傾向として特に問題となる症例はなかつたが, 少数例でプロトロンビン時間, 活性化部分トロンボプラスチン時間の延長を認め, 高齢者, 経口摂取不良で全身状態の悪い患者には, 併用薬剤を含めて使用上注意が必要である。
  • 樋高 克彦, 山本 裕士, 原田 貞美, 片野 光男, 藤原 博, 溝口 哲郎, 久次 武晴, 山岡 宏太郎, 木須 達郎
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1295-1303
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    下部胆道完全閉塞例に外胆嚢瘻を造設し減黄後, Piperacillin (PIPC), Cefoperazone (CPZ), Cefbuperazone (CBPZ) について, Crossover法により2g静注後6時間の胆汁中並びに尿中排泄を高速液体クロマトグラフィーを使つて測定した。
    1. 胆汁への排泄はCPZ>CBPZ>PIPCの順で濃度, 回収率とも良かつた。 CPZは胆汁排泄阻害因子下でも他の二つの抗生剤より2倍以上の胆汁中濃度を示した。
    2. 尿中濃度はPIPC>CBPZ>CPZの順で高濃度排泄及び回収率を示した。CPZは胆汁への排泄低下例で尿中排泄上昇を認めた。
    3. 抗生剤の胆汁排泄阻害要因は高度の肝機能低下, 転移性肝癌の存在による肝血流減少と肝内胆管炎, 血清総ビリルビン値の上昇などであり, 悪性疾患では, 全体として過去の良性疾患症例による成績より低値を示した。 CBPZとCPZはこのような排泄障害要因存在下でも胆汁中主要細菌に対する十分な抗菌力を持つ濃度を長時間保持し得る故, 胆汁排泄障害因子の存在下での胆道感染にも有効であると考えられた。
  • 平賀 洋明, 大道 光秀, 笹岡 彰一
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1304-1308
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    持続性セファクロル, S 6472顆粒剤について, 慢性気管支炎の急性増悪20例を対象に, 本剤を1日750mg (力価) 2分割で7~15日間投与し, 臨床的検討を行つた。臨床効果は有効17例, やや有効3例で, その有効率は85.0%であつた。
    分離菌としては13例からStreptococcus pneumoniae 5株, Branhamella catarrhalis 3株, Streptococcus sp.2株, Klebsiella oxytoea 2株, Haemophilus influeniae 1株, Staphyloeoccus aureus 1株の計14株が検出されたが, Streptococcus sp.の1株を除きいずれも本剤の投与により消失した。
    安全性に関しては副作用, 臨床検査値異常とも全く認められなかつた。
  • 青沼 清一, 大泉 耕太郎, 渡辺 彰, 徳江 豊, 本田 芳宏, 小野 玲子, 北村 直人, 今野 淳, 佐藤 和男
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1309-1312
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症15例 (慢性気管支炎の急性増悪2例, 気管支喘息1例及び気管支喘息兼肺気腫2例の二次感染計5例, 気管支拡張症10例) にS 6472顆粒剤 (持続性セファクロル) を1回375mg, 1目2回, 毎朝夕食後, 14目間経口投与して以下の結果を得た。 臨床効果は気管支拡張症10例のうち3例が無効であつたが, 他の12例は有効で, 有効率は80%であつた。 本剤投与に起因する副作用, 臨床検査値の異常化はみられなかつた。
  • 林 泉, 大沼 菊夫
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1313-1318
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    慢性下気道感染症20例にS 6472顆粒剤 (1包375mg) を1日2回経口投与し, 次の成績を得た。
    1. 細菌学的効果Staphylococcus aureus 2株, Staphylococcus epidermidis 1株, Streptococcus pyogenes 1株, Streptococcus pneumoniae 1株, 計5株はすべて消失した (除菌率100%)。 投与後出現菌としてEnterobacter cloacae 1株, Pseudomonas aeruginosa 1株があつた。
    2. 臨床効果著効5例, 有効14例, やや有効1例であった (有効率95.0%)。
    3.本剤使用による臨床的副作用はなかつた。 臨床検査値の異常として好酸球が1% (実数107/mm3) から10% (同820/mm3)へと増加した1症例を認めた。
  • 谷本 普一, 中森 祥隆
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1319-1324
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファクロルの持続性製剤S 6472の顆粒剤を慢性気管支炎15例に投与し, 臨床的検討を行った。 投与方法は1日750mgを朝夕食後, 2分割で内服, 投与期間は7~22日間であつた。臨床的効果は有効11例, やや有効1例, 無効3例であり, 非適応菌の緑膿菌感染2例を除く13例では, 有効11例, 有効率84.6%であつた。本剤投与によると思われる副作用及び臨床検査値異常は, 全く認められなかつた。
  • 小田切 繁樹, 松永 敬一郎, 鈴木 周雄, 室橋 光宇, 沼田 博行, 高橋 健一, 山木 泉, 石井 俊一
    1988 年 41 巻 9 号 p. 1325-1333
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    持続性セファクロル製剤の一つであるS6472顆粒剤を慢性気道感染症21例に投与し, 臨床的検討を行つた。投与方法は1日750~1,500mgを毎朝夕食後, 分2で内服, 投与期間は3~14日間であつた。
    臨床効果は有効15例, やや有効1例, 無効4例, 不明1例であつた。副作用は1例に食思不振が認められたが, 本剤に起因すると思われる臨床検査値異常は認められなかつた。
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