The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
新トリアゾール系抗真菌剤Fluconazoleのin vitro抗真菌活性
山口 英世内田 勝久川崎 賢二松永 敏幸
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 1 号 p. 1-16

詳細
抄録

新規トリアゾール系抗真菌剤Fluconazoleのin vitro抗真菌活性, 特にCandida albicansに対する活性について検討を行い, 以下の成績を得た。
1. 本剤の抗菌試験に適した培地を選定するために, 培地組成及びpHを種々検討した結果, 中性pHのSynthetic amino acid medium, fungal (SAAMF) を用いた場合に最も高い抗菌効果が得られることが確認された。
2. SAAMF (pH7.4) を用い, 生菌数を指標としてFluconazoleに高い感受性を示すC. albicans株の発育に対する影響を経時的に測定したところ, 薬剤濃度と共に発育阻止効果は増大し, 1μg/mlの濃度では99%の阻止を示した。しかし, それ以上は薬剤濃度を高くしても阻止レベルは上昇せず, 80μg/mlでも100%阻止は得られなかつた。
3. 上記の測定法により99%阻止濃度 (IC99) を指標としてC. albicansその他の医学的に重要な酵母4属9菌種67株に対するFluconazoleの抗菌活性を測定した。最も高い感受性を示した菌種はC. albicans及びCandida kefyrであり, 反対にCandida glabrata, Cryptococcus neoformans及びTrichosporon cutaneumの感受性は最も低く, 前2菌種に対するIC99の範囲は0.20~0.39μg/ml, 後3菌種では3.13~12.5μg/mlであった。このようなFluconazoleの抗菌力は同一条件下で測定したKetoconazoleやMiconazoleの1/10~1/100程度低かつた。
4. 医学的に重要なAspergillus 4菌種に対するFluconazoleの抗菌活性を, 菌体蛋白量を指標として測定した。Aspergillus fumigatusに対するIC50及びIC90は, それぞれ24~44μg/ml, 50~>100μg/mlであり, 他の菌種についてはこれと同程度か又は幾分低い値が得られた。
5. Fluconazoleの抗Candida活性は, 血清の影響をほとんど受けなかつた。又, C. albicansの菌糸形発育を促進する血清添加培地中での菌糸形発育及び発芽管伸長を0.20μg/ml以下の低濃度で有意に阻害した。
6. Fluconazole 1μg/mlを含む反応液中では, 薬剤無添加の場合に比べてマウス腹腔由来食細胞に貪食されたC. albicansの発芽管形成・伸長は有意に阻害された。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
次の記事
feedback
Top