1989 年 42 巻 12 号 p. 2527-2539
小児科領域感染症に対して, Cefixime (CFIX) を用いて, 多施設 (23施設) で臨床検討を実施し, 下記の結果を得た。
1. 小児科領域感染症144例を対象とし, 有効性については138例, 安全性については144 例について検討評価した。
2. CFIXの臨床効果は扁桃炎などの上気道炎85.7%, 急性気管支炎89.5%, 肺炎94.4%, 溶連菌感染症78.9%, 尿路感染症90.5%の有効率であつた。
3. 細菌学的効果は投与後の菌の消長が判明している50株において, 86.0%の菌消失率であつた。特に, Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzaeの消失率が高かつた。
4. 中等症以上の呼吸器感染症及び溶連菌感染症ではCFIXの1日投与量が10mg/kg前後で有効率が高かつた。
5. 副作用については, 食欲不振1例, 下痢1例の計2例だけで, 発現率は1.4%であつた。臨床検査値異常は4例にみられ, 発現頻度は3.3%であつた。
以上の成績から, CFIXは小児科領域感染症に対して有用性の高い抗生剤であると考えられる。