1989 年 42 巻 4 号 p. 910-920
呼吸器感染症14例にSulbactam/Cefoperazon (SBTICPZ) を投与し, その臨床効果及び副作用について検討した。
SBT/CPZは1日4g (2分割) を点滴静注で投与し, 持続投与日数は5~13日で総量20~52gであつた。
呼吸器感染症の内訳は気道感染症7例, 肺炎7例で, 14例中11例には呼吸器系に基礎疾患があり, それらは慢性肺気腫6例, 気管支喘息2例, 気管支拡張症, びまん性汎細気管支炎, 気管支-食道瘻を伴う肺癌各1例であつた。すべての患者が呼吸器系に基礎疾患を有するか, 70歳以上という条件を満たしていた。
臨床効果は有効以上78.6%, 起炎菌のはっきりした11例中, Penicillinase産生菌18.2%, Cephalosporinase産生菌63.6%でCPZに比べSBT/CPZが有利と考えられた症例も3例にみられた。本剤による副作用及び臨床検査値の異常はみられなかつた。以上から高齢者及び呼吸器系に器質的変化のある呼吸器感染症に対しての本剤の有用性が示唆された。