1989 年 42 巻 5 号 p. 1233-1255
Roxithromycin(RU28965, 以下RU)の口腔外科領域感染症に対する有効性, 安全性及び有用性を客観的に評価する目的で, Josamycin(以下JM)を対照薬とした二重盲検法により比較検討した。
対象疾患は歯周組織炎, 歯冠周囲炎, 顎炎とし, 投与量はRU 1日300mg(分2), JM 1日1,200mg(分3)とした。成績は以下のとおりであった。
1. 臨床効果(点数判定)
RU群126例, JM群117例の有効率は, それぞれ78.6%, 82.1%であった。又, 疾患別の有効率は歯周組織炎でRU群75.6%, JM群81.0%, 歯冠周囲炎でRU群77.8%, JM群83.9%, 顎炎でRU群82.2%, JM群81.8%であった。両投与群の臨床効果に有意差を認めなかった。
又, 菌分離症例における有効率は, 好気性レンサ球菌分離症例でRU群85.7%, JM群85.0%, 嫌気性レンサ球菌分離症例でRU群72.2%, JM群75.0%, 嫌気性菌分離症例でRU群85.0%, JM群76.7%, Peptostreptococcus spp.分離症例でRU群88.9%, JM群81.3%であり, いずれの分離症例においても両薬剤群の有効率に有意差を認めなかった。
2. 臨床効果(主治医判定)
RU群128例, JM群119例の有効率は, それぞれ79.7%, 73.1%であった。又, 疾患別の有効率は歯周組織炎でRU群87.0%, JM群83.3%, 歯冠周囲炎でRU群75.7%, JM群71.9%, 顎炎でRU群75.6%, JM群64.4%であつた。両投与群の臨床効果に有意差を認めなかった。
3. 安全性副作用はRU群136例中4例(2.9%), JM群126例中3例(2.4%)に, 又, 臨床検査値変動はRU群63例中5例(7.9%), JM群50例中2例(4.0%)に認められたが, いずれも発現率において両投与群間に有意差はみられなかった。
4. 有用性
RU群128例, JM群119例の有用率は, それぞれ75.8%, 74.8%であり, 両投与群の有用性に有意差は認められなかった。
以上の成績により, 口腔外科領域感染症に対して, RU1日300mg投与はJM1日1,200mg投与と同様, 優れた有効性と高い安全性を有することが確認された。