The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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42 巻, 5 号
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  • 巽 典之, 任 太性, 三宮 祐一, 陰山 克, 大藪 博, 赤坂 清司, 那須 芳, 米沢 毅, 冨永 信彦, 木谷 照夫, 田川 進一, ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1065-1076
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に合併した重症感染症198例を対象とし, Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS)の有効性と安全性を検討した。
    1. 有効性評価対象182例での臨床効果は著効50例, 有効52例, やや有効21例,無効59例で, 有効率56.0%であった。
    2. 先行抗生剤無効87例での有効率は58.6%であった。
    3. 投与後好中球数100/mm3以下, 101~500/mm3,及び501/mm3以上の群間の有効率に有意差を認めた。
    4. 起炎菌が同定された38例での細菌学的効果は消失率75.8%であった。
    5.安全性評価対象の197例中,副作用は19例 (9.6%)にみられ,又, 臨床検査値異常は15例(7.6%)に認められたが,いずれも重篤なものではなかった。
    白血病や悪性リンパ腫等の造血器疾患では, 疾患自体による免疫能の低下もさることながら強力な抗腫瘍化学療法, 副腎ステロイドの使用により宿主の感染防御能は著明に低下し, 重篤な感染症を合併しやすく, その治療は容易でない1)。それ故, この時期の感染症の治療が原疾患の予後を大きく左右する鍵となつている。このような感染症では起炎菌の不明な場合が多く, 従つて, 数種の抗生剤が同時に投与されているのが現状であるが, 副作用の問題もあり, より広域な抗菌スペクトルを有する強力な抗生剤が望まれていた。
    今回, 我々は造血器疾患に合併した重症感染症に対し新規のカルバペネム系抗生物質であるImipenem/Cilastatin sodium(チエナム®, IPM/CS)2)を投与し, 臨床的検討を行つたので, 以下にその成績を報告する。
  • 柱 新太郎, 田島 剛, 藤井 良知
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1077-1086
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるImipenem/Cilastatin sodium(IPM/CS)の基礎的・臨床的検討を行つた。臨床検討の対象は成熟児17例, 低出生体重児10例の計27例である。投与方法は1回20mg/20mg/kg, 1日2~3回, 1時間点滴静注を3~12日間行つた。
    細菌感染症例10例(敗血症2例, 敗血症疑い3例, 肺炎2例, 尿路感染症2例, 臍炎1例)に対する効果は全例著効で, 有効率100%であった。
    5例から起因菌が検出され(Staphylococcus aureus例, Staphylococcus epidermidis1例, Escherichia coli2例, Flavobacterium meningosepticum1例), すべて消失した。
    臨床的副作用は27例中2例に認められ, 発疹1例, 下痢1例であった。検査値の異常としては, 1例に軽度のGOT, GPTの上昇がみられた。
    新生児細菌感染症例から分離された細菌14株(S. epidermidis1株, S.aureus6株, Streptococcus agalactiae4株, E. coli株, Enterobacter cloacae1株, F.meningosepticum 1株)に対するIPMのMICを測定した。その結果, S.agalactiaeに対する抗菌力は極めて良好でCefotaximeに匹敵したが, Methicinin-resistant S.aureusに対する抗菌力は劣つていた。
    成熟児15例, 低出生体重児7例の計22例について, IPM/CSを20mg/20mg/kg投与し, 血中濃度を測定した。最高血中濃度は点滴静注終了直後にあり,成熟児ではIPM 31.8μg/ml(17.1~59.0μg/ml), CS59.9μg/ml(35.6~99.0μg/ml), 低出生体重児ではIPM25.0μg/ml(16.8~41.8μg/ml), CS55.2μg/ml(33.8~82.4μg/ml)であった。血中濃度半減期は成熟児ではIPM1.0~2.7時間, CS0.9~7.4時間, 低出生体重児ではIPM1.6~3.0時間, CS1.3~9.7時間に分布し, 日齢の低い者ほど延長する傾向にあった。新生児ではCSのほうがIPMより血中濃度が高く推移し, 半減期も延長する傾向が認められ, 今までに報告された成人や小児とは異なった血中動態を示した。
    以上の成績並びに, IPM/CSの極めて広い抗菌スペクトルから, 本剤は新生児重症感染症の初期治療に単剤で使用し得る有望な抗生物質と考えられたが,今後, 化膿性髄膜炎に対する投与方法やIPMとCSの配合比等の検討が必要であろう。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 宮津 光伸, 笠井 啓子, 種田 陽一
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1087-1101
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児領域におけるImipenem/Cilastatinsodium(IPM/CS)の基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 生後7~26日の新生児7例(在胎週数37~41週, 生下時体重2,410~3,890g)に本剤10mg/10mg/kgあるいは20mg/20mg/kgを, 1時間点滴静注した際の血漿中濃度と尿中排泄について検討した。
    IPMの平均血漿中濃度推移の最高値は点滴静注終了時にみられ, その値は10mg/10mg/kg投与で12.7±3.0μg/ml, 20mg/20mg/kg投与では19.1±4.1μg/mlであり, 両者には明らかな用量依存性が認められた。又, その後の推移については, それぞれ1.87±0.71時間, 1.97±0.21時間の半減期をもつて漸減し, 8時間値は各々0.3±0.1μg/ml, 0.8±0.3μg/mlであった。なお, 8時間までの尿中回収率は前者, 後者で各々平均37.6±11.8%, 26.8±17.2%であった。
    一方, CSについては, 血漿中濃度推移, 尿中回収率共にIPMよりかなり高かったが, 半減期については両剤ほとんど変わらなかった。
    2. 新生児期の細菌感染症11例(日齢1~26日)に本剤を投与し, その際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    敗血症疑い1例, 急性肺炎7例, 子宮内感染1例, 急性尿路感染症1例, 肛門周囲膿瘍1例に対する臨床効果は著効10例, 有効1例であり, 有効率は100%であった。又, 原因菌と考えられたStreptococcus pyogenes1株, Streptococcus agalactiae1株, Enterococcus faecalis1株, Escherichia coli3株, Haemophilus influenzae1株に対する細菌学的効果はすべて消失と判定され, 除菌率についても100%であった。なお, 副作用は全く認められなかったが, 臨床検査値異常としては血小板減少が1例, GOTの上昇が2例に認められた。しかし, これらはいずれも軽度であり, しかも再検査によって正常化が確認された。
    以上の成績から, 本剤は新生児期においても有効性並びに安全性, 更には有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 織田 慶子, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 藤本 保, 富永 薫, 山下 文雄 ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1102-1124
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactam系抗生物質のCarbapenem系薬剤に属するImipenem(IPM)とDehydropeptidase-Iに対する阻害剤Cilastatin sodium(CS)が等量で配合された点滴静注用製剤IPM/CSを新生児4例,未熟児5例,計9例中4例にIPMとして10mg/kgを30分間かけて点滴静注, 5例にIPMとして10mg/kgを1時間かけて点滴瀞注し, 血漿中,尿中のIPMとCS濃度及び尿中回収率を測定, 2~26生日の化膿性髄膜炎2例と化膿性髄膜炎, 菌血症の1例では髄液中濃度についても測定した。0生日から30生日の新生児, 未熟児, 乳児の種々の細菌感染症24例と感染予防を目的として5例, 計29例に本剤を1日量平均50.1mg/kg,分2~4, 30分から1時間かけての点滴静注で, 平均9日間投与し, 臨床効果, 感染予防効果,細菌学的効果をみると共に脱落症例2例を加えた31例における副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. 新生児, 未熟児各2例にIPMとして10mg/kgを30分間かけて点滴静注で投与してのIPMとCSの血漿中濃度はすべての症例が投与終了時に最高濃度を示し, IPMでは22.4~29.0μg/ml, CSでは26.3~34.6μg/mlで, CS濃度がIPM濃度よりやや高かった。半減期はIPMでは1.05~2.43時間, CSでは1.24~4.76時間で,CSの半減期がIPMの半減期より長い傾向にあった。
    新生児2例, 未熟児3例にIPMとして10mg/kgを1時間かけて点滴静注で投与してのIPMとCSの血漿中濃度は全例が投与終了時に最も高い濃度を示し, IPMでは20.8~23.9μg/ml, CSでは25.7~32.0μg/mlで, CS濃度がIPM濃度よりやや高かった。半減期はIPMでは1.40~1.63時間, CSでは1.51~2.90時間で, CSの半減期はIPMの半減期より長い傾向にあった。
    2. 前述の本剤を30分間かけて点滴静注し, 血漿中濃度を測定した同じ新生児,未熟児各2例における尿中濃度はIPMでは投与開始後0~2時間, 2~4時間で各々1,3例が最も高濃度を示し, 183.0~993.7μg/ml, CS濃度では投与開始後0~2時間,2~4時間, 4~6時間で, それぞれ1.2, 1例が最高濃度を示し, 281.6~1,865.9μg/mlであった。投与開始後8時間までの回収率はIPMでは30.8~52.2%, CSでは63.2~99.4%で, CSの回収率がIPMの回収率より高率であった。
    前述の本剤を1時間かけて点滴静注し, 血漿中濃度を測定した同一の新生児2例と未熟児3例における尿中濃度はIPMでは投与開始後2~4時間, 4~6時間で各々4, 1例が最も高い濃度を示し, 260.4~618.6μg/ml, CS濃度では投与開始後2~4時間,4~6時間で各々3, 2例が最も高濃度を示し, 302.8~553.1μg/mlで, 両剤の濃度は著しい違いがなかった。投与開始後8時間までの回収率はIPMで45.7~7.16%, CSで61.6~66.3%を示し, CSの回収率はIPMの回収率に比較し高い傾向にあった。
    3. 化膿性髄膜炎2例, 化膿性髄膜炎,菌血症1例に本剤を投与しての髄液中濃度は13病日にIPMとして19.4mg/kg, 45分間かけての点滴静注例では投与終了10分後1PM濃度0.8μg/ml, CS濃度は検出限界以下, IPMの髄液・血漿比は2.3%であった。IPMとして35.7mg/kgを1時間かけて点滴静注した症例では3病日に安定化剤を加えずに投与終了直後の髄液中濃度を測定したところ, IPMとCS濃度はそれぞれ0.53,2.8μg/ml, 髄液・血漿比は各々3.1, 5.4%, 5病日に安定化剤を加え投与終了直後に髄液中濃度を測定したところ, IPMとCS濃度はそれぞれ1.47, 1.7μg/ml, 髄液・血漿比は各々4.3, 4.7%であった。9病日にIPMとして21.3mg/kgを1時間かけて点滴静注した症例では投与終了35分後に髄液中濃度を測定したところ, IPM濃度は3.4μg/ml, CS濃度は検出限界以下を示し,IPMの髄液・血漿比は8.2%であった。
    4. 種々の細菌感染症24例に対する臨床効果はすべて有効以上, 5例に対する感染予防を目的とした投与では全例に効果が認められ,非常に優れた成績であった。
    5. 細菌学的効果はStaphylococcus aureus3株, Escherichia coli2株, Serratia sp. 1株, Pseudomonas aeruginosa1株, 計7株に判定でき, S. aureusの1株が減少した以外はすべて消失した。
    6. 臨床効果及び感染予防効果が判定できた29例に脱落例2例を加えた31例では副作用の出現した症例はなく,臨床検査値異常としてGOTで2例に異常上昇がみられ,両症例共}ご本剤との関連があるかもしれないとされた。
  • ofloxacinを中心に(第2報)
    小酒井 望
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1125-1165
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1986年4月から1987年3月までの1年間, 全国36都道府県128病院検査部で, 各種臨床材料から分離した各種病原細菌の抗菌薬感受性をOfloxacin(OFLX)を中心として集計し, 前年度の成績と比較した。分離菌の同定と感受性検査は各病院検査部で実施した。感受性検査は感受性を卅, ++, +,-の4段階に区分する1濃度ディスク法又は3濃度ディスク法によった。
    OFLX感受性を中心に集計した菌種は, 前年度同様にStaphylococcus aureus (4,205株), Staphylococcus epidermidis (2,009株), Enterococcus faecalis (1,697株), Streptococcus pneumoniae (702株), Escherichia coli (4, 097株), Klebsiella pneumoniae (1,375株), Enterobacter cloacae (762株), Enterobacter aerogenes (296株), Citrobacter freundii (406株), Proteus mirabilis (613株), Morganella morganii (320株), Serratia marcescens (869株), Haemophilus influenzae (1,282株), Pseudomonas aeruginosa (4, 206株), Acinetobacter calcoaceticus(351株), Acinetobacter sp.(415株), Campylobacter jejuni (151株)である。ほかにNeisseria gonorrhoeae (26株)は前年度と比べて菌株数が少なかったので, OFLX感受性だけを集計した。前年度と同様に, OFLXはS. aureus, S. epidermidis, N. gonorrhoeae, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, E. aerogenes, C. freundii, P. mirabilis, M. morganii, H. influenzae, A. calcoaceticus, Acinetobacter sp., C. jejuni に強い抗菌力を示した。しかしこれらの菌種で感受性を前年度と比較すると, 比較的僅かであるが, 感受性帯の比率の減少, ないし感受性-の比率の増加が認められた菌種が多かった。
    次に前年度菌株数が少なくて集計しなかった菌種で, 今年度と併せて集計したのは, Streptococcuspyogenes (944株), Streptococcus agalactiae (815株), Enterococcus faecium (146株), Branhamella catarrhalis (135株), Citrobacter diversus (128株), Klebsiella oxytoca(873株), Proteus vulgaris(438株), Serratia liauefaciens(266株), Pseudomonas cepacia(433株), Pseudomonas putida(154株), Xanthomonas maltophilia(272株), Vibrio parahaemolyticus(120株), Bacteroides fragilis(98株), Bacteroides sp.(279株)である。このうちOFLXはB. catarrkalis, K. oxytoca, P. vulgaris, C. diversus, S. liquefaciens, V.
    喀疾, 尿, 膿, 耳漏と検査材料別に, 主要菌種のOFLX感受性を卅の比率で比較し, 前年度と今年度でその推移をみたところ, 卅の比率の低下している菌種が多かった。
    OFLXの汎用に伴い, 耐性菌の出現, 増加の傾向がみられた。
  • 高橋 勇, 吉田 孝治
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1166-1172
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Mycoplasma gallisepticum(29株)に対する新キノロン系薬剤のOfloxacin(OFLX)と4種の汎用抗菌性物質の抗菌力を比較した。後者の薬剤はDoxycycline(DOXY), Tylosin(TS), Spectinomycin(SPCM), Thiamphenicol(TP)を用いた。抗菌力測定には液体培地希釈法を用い, 各薬剤のFinal MIC及びMPC(Minimum mycoplasmacidal concentration)を求めた。以下MICとMPCの別に各薬剤の抗菌力の比較を述べる。
    1. 本菌に対する各供試薬剤の抗菌力を, MICの値で比較すると, 次のとおりであつた。OFLXとDOXYのMIC90は共に0.20μg/mlであつた。TSの場合にはMICの分布が幅広く(≤0.006~0.78μg/ml), そのMIC90は0.78μg/mlであり, 耐性株(MICO9078μg/ml)が27.6%も認められた。SPCMとTPのMIC90はそれぞれ1.56μg/ml, 3.13μg/mlであつた。すなわちMIC90で判定したOFLXの抗菌力はDOXYと同等であり, 他の3剤に比べて4~16倍優れていた。
    2. 本菌に対する各供試薬剤の抗菌力を, MPCの値で比較すると次のとおりで, 上記のMICの値で比較した時とは若干異なる結果であつた。この場合, OFLXは供試薬剤中で最も殺菌力が優れ, そのMPC90は0.39μg/mlであつた。DOXYは殺菌力が若干劣りMPC90は1.56μg/mlであつた。TSはMPCの分布が幅広く(0.012~3.13μg/ml), そのMPC90は3.13μg/mlであつた。SPCMとTPのMPC90は共に6.25μg/mlであつた。従つてMPC90で判定したOFLXの殺菌力は, 他の4剤に比べて4~16倍優れていた。
  • 藤井 良知, 有益 修, 目黒 英典, 比留間 藤昭, 杉江 信之, 阿部 敏明, 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 松本 貴美子, 鈴木 ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1173-1193
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用Cephem系抗生物質Cefbdizimeの小児科領域における基礎的, 臨床的検討を目的として研究会を組織し, 全国17基幹施設とその関連施設による協同研究を実施し, 以下の成績を得た。
    1. 血中濃度, 尿中濃度
    小児での体内動態は1回量20mg/kgを主として静注並びに30分, 60分点滴静注で検討した結果, 成人領域の成績とほぼ同様な結果が得られた。
    静注10, 20, 40mg/kg投与の投与5分後の平均血中濃度はそれぞれ105.5, 264.0.461.7μg/mlの値を示した。又, T1/2(β)はそれぞれ1.75, 1.92, 1.88時間を示した。
    30分点滴静注10, 20, 40mg/kg投与の点滴静注終了時の平均血中濃度はそれぞれ90.5, 178.3, 322.8μg/mlの値を示した。又, T1/2(β)はそれぞれ1.90,2.15, 1.93時間を示した。
    60分点滴静注10, 20, 40mg/kg投与の点滴静注終了時の平均血中濃度はそれぞれ66.3, 136.0,259.2μg/mlの値を示した。又, T1/2(β)はそれぞれ1.43,2.05, 1.46時間を示した。
    投与8時間後までの尿中排泄率は静注l0, 20, 40mg/kg投与でそれぞれ82.1, 77.7, 76.5%, 30分点滴静注10, 20, 40mg/kg投与でそれぞれ83.3, 71.3, 68.1%, そして, 60分点滴静注20, 40mg/kg投与でそれぞれ84.4, 84.3%であつた。
    2. 髄液中濃度
    髄液への移行は化膿性髄膜炎の場合, 6日以内の急性期では50mg/kg台投与で投与約1時間以後1.96~9.48μg/mlの濃度を示し, β-Lactam系抗生物質の中では中間的な移行性を示した。
    3. 臨床成績
    各種細菌感染症に対する本剤の効果判定解析症例は, 総症例の457例から, 除外・脱落例を除いた404例で行つた。
    臨床効果は起炎菌が検出された221例では著効126例, 有効78例で有効率92.3%, 起炎菌が検出されなかつた183例では著効97例, 有効69例で有効率90.7%であつた。
    起炎菌別細菌学的効果の延べ株数は, 起炎菌と判定された230株のうち213株が消失し, 92.6%の高い消失率を示した。
    グラム陽性菌では, 特に, Streptococcus pneumoniaeは96.9%(32株中31株), Streptococcus pyogenesは100%(6株中6株)の高い消失率を示した。グラム陽性菌全体では84.2%(76株中64株)の消失率であつた。
    他方, グラム陰性菌では, Branhamella catarrhalis(15株中15株), Bscherichia coli(21株中21株), Klebsiella pneumoniae(4株中4株), Haemophilus influenzae(82株中82株), そして, Proteus mirabilis(4株中4株)は, いずれも100%の高い消失率であり, グラム陰性菌全体では96.8%(154株中149株)の非常に高い消失率を示した。
    起炎菌別臨床効果は221例中有効以上は204例で, 有効率92.3%の成績であつた。又, 2~3菌株による複数菌感染に対しても33例中有効以上は30例で, 90.9%の高い有効率を示した。
    他剤無効症例に対する本剤の臨床効果は35例中有効以上は33例で, 94.3%の高い有効率を示した。
  • 大石 正夫, 坂上 富士男, 大桃 明子, 田沢 博
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1194-1198
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用オキサセフェム系抗生物質Flomoxef sodiumの細菌学的検討並びに眼内移行について実験した。
    本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを示した。臨床分離のStaphylococcus aureus20株は≤0.20~≥100μg/mlにMIC分布し, 0.39μg/mlに分布の山がみられた。本剤50mg/kgを白色成熟家兎に1回静注して, 1/2時間後に前房水中には2.2μg/mlのPeak値が得られた。前房水血中濃度比は3.4%であつた。1/2時間値における眼組織内濃度は外眼部組織で12.7~76.5μg/g, 眼球内部には<0.8~34.4μg/g(ml)であつた。
  • 谷本 普一, 鈴木 俊光, 佐藤 武材, 広田 佳行, 永井 英明, 米田 良蔵, 松田 美彦, 両角 克朗, 河野 典博, 栗山 喬之, ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1199-1207
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone(CPZ)を満60歳以上の高齢患者46名(平均73歳)の呼吸器感染症に使用し以下の結果を得た。
    1. 臨床成績は解析対象36例中著効7例, 有効22例, 有効率80.6%の成績であった。
    2. 副作用は投与直後の全身発疹が1例, 投与開始10日後の発熱が1例みられた。肝機能検査値上昇など5例に検査値異常がみられた。
    3. CPZ残存血中濃度とクレアチニンクリアランス(Ccr)値, 総ビリルビン(T. Bil.)値との相関はみられず, 今回検討した範囲では, Ccr値, T. Bil. 値はCPZの排泄にほとんど影響はないものと考えられた。
    4. CPZ1日量4g, 3週間以内の投与では, 特に腎機能に影響を及ぼすことはなかった。以上の成績から, CPZは腎機能に影響することが少なく, 高齢者の呼吸器感染症に有用性の高い薬剤と考えられた。
  • SHINZO KOBAYASHI, SUSUMU ARAI, SHORYO HAYASHI
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1208-1215
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Combinations of cefotaxime (CTX) or other five β-lactams with rolitetracycline (RTC) were examined using the checkerboard method for their synergistic effects against 27 strains of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), and the combination of CTX andRTC was further evaluated for its synergistic effect in vitro and in vivo against 1 or 2 strains. Synergy occurred against 44% of the strains when RTC was combined with CTX, 22 to 30% with cefazolin, methicillin, and ceftizoxime, and 4 to 11% with latamoxef and cefmetazole. No antagonism was found with any combinations tested. Killing curve studies also showed that CTX/RTC was synergistic between 3 and 24 hours after the beginning of exposure, and the synergy was especially strong at 24 hours and potencies of combined bactericidal effect determined at 24 hours were in the following order: the 2 antibiotics given simultaneously, CTX given 2 hours before RTC, and CTX given 2 hours after RTC. In addition, the 2 drugs in combination synergistically inhibited (a) mortality in mice infected intraperitoneally with MRSA and (b) formation of subcutaneous abscess induced by MRSA in mice. The results of our study indicate that β-lactams, especially CTX, had synergistic effects in vitro when combined with RTC against MRSA and that the combination of CTX and RTC was also synergistic in vivo.
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 福島 よし子, 深山 成美, 西村 由紀子, 小田 清次, 田中 節子, 佐藤 久美 ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1216-1232
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1988年に第一線診療施設の外来を受診した感染症患者由来の新鮮臨床分離株に対するCefteram(CFTM)の抗菌力を検討するために, 1987年以降に登場した新規のβ ラクタム系抗生物質を含めてMICを測定した。
    1. CFTMのMIC分布は日常診療における呼吸器系の感染症, 尿路感染症, そして浅在性皮膚軟部組織感染症における主な起炎菌となり得る菌種, すなわちグラム陽性菌, グラム陰性菌に対してバランスのとれた抗菌力を示した。特に急性の呼吸器系感染症の有力な起炎菌であるStreptococcus pneumoniae, streptococcus pyogenes, Haemophilus influenzae, Branhamella catarrhalisに対しては, いずれもCefaclor(CCL)に比較して3~4管(8~16倍)程度強い抗菌力を示した。
    2. Cefiximeはグラム陰性菌であるB. catarrhalis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対する抗菌力がCFTMより優れるが, S. pyogenesにおいてはCCLに比較して1管程度の増強であり, CFTMより劣る。又, Staphylococcus spp.に対する抗菌力もCFTMと比較して劣る。
    3. Cefuroxime (Cefuroxime axetilの活性体)は, CCLに比較して呼吸器系由来の上記4菌種とStaphylococcus aureusをこは各々2管(4倍), K. pneumoniaeには1管, P. mirabilis に対しては3管程抗菌力が強いが, E. coli, Staphylococcus saprophyticusにはCCLと同等の抗菌力を示した。
    4. Sultamicillinはβ ラクタマーゼ産生株の大部分に対してはSulbactamによるβ ラクタマーゼ阻害効果と考えられる抗菌力を発揮したが, そのMIC値はAmpicillin単独のMIC値を越えるものではなかった。又, Methicillin-resistant S. aureusに対する抗菌力は弱かった。
    5. CFTMを含む新規の経口β ラクタム系抗生物質は各々が特有の抗菌力を示す性質があり, 既存の抗菌剤も一部の菌種には新規の抗菌剤に勝るとも劣らない抗菌力を示すことから, 経口抗菌剤は「使い分けの時代」を迎えており, β ラクタム系抗生物質は特にそうした傾向にあることを指摘した。
  • Josamycinを対照とする二重盲検試験
    佐々木 次郎, 金子 明寛, 高井 宏, 池嶋 一兆, 大村 光, 椎木 一雄, 植松 正孝, 森鼻 健史, 富田 文貞, 久野 吉雄, 佐 ...
    1989 年 42 巻 5 号 p. 1233-1255
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Roxithromycin(RU28965, 以下RU)の口腔外科領域感染症に対する有効性, 安全性及び有用性を客観的に評価する目的で, Josamycin(以下JM)を対照薬とした二重盲検法により比較検討した。
    対象疾患は歯周組織炎, 歯冠周囲炎, 顎炎とし, 投与量はRU 1日300mg(分2), JM 1日1,200mg(分3)とした。成績は以下のとおりであった。
    1. 臨床効果(点数判定)
    RU群126例, JM群117例の有効率は, それぞれ78.6%, 82.1%であった。又, 疾患別の有効率は歯周組織炎でRU群75.6%, JM群81.0%, 歯冠周囲炎でRU群77.8%, JM群83.9%, 顎炎でRU群82.2%, JM群81.8%であった。両投与群の臨床効果に有意差を認めなかった。
    又, 菌分離症例における有効率は, 好気性レンサ球菌分離症例でRU群85.7%, JM群85.0%, 嫌気性レンサ球菌分離症例でRU群72.2%, JM群75.0%, 嫌気性菌分離症例でRU群85.0%, JM群76.7%, Peptostreptococcus spp.分離症例でRU群88.9%, JM群81.3%であり, いずれの分離症例においても両薬剤群の有効率に有意差を認めなかった。
    2. 臨床効果(主治医判定)
    RU群128例, JM群119例の有効率は, それぞれ79.7%, 73.1%であった。又, 疾患別の有効率は歯周組織炎でRU群87.0%, JM群83.3%, 歯冠周囲炎でRU群75.7%, JM群71.9%, 顎炎でRU群75.6%, JM群64.4%であつた。両投与群の臨床効果に有意差を認めなかった。
    3. 安全性副作用はRU群136例中4例(2.9%), JM群126例中3例(2.4%)に, 又, 臨床検査値変動はRU群63例中5例(7.9%), JM群50例中2例(4.0%)に認められたが, いずれも発現率において両投与群間に有意差はみられなかった。
    4. 有用性
    RU群128例, JM群119例の有用率は, それぞれ75.8%, 74.8%であり, 両投与群の有用性に有意差は認められなかった。
    以上の成績により, 口腔外科領域感染症に対して, RU1日300mg投与はJM1日1,200mg投与と同様, 優れた有効性と高い安全性を有することが確認された。
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