The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefteram pivoxilの基礎的・臨床的検討
豊永 義清今井 祐之杉田 守正福島 よし子山崎 美喜雄堀 誠
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1989 年 42 巻 8 号 p. 1799-1814

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抄録

新経口用セファロスポリン系抗生物質であるCefteram pivoxil (CFTM-PI, T-2588)(10%細粒) について基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
1.抗菌力
臨床分離のStaphylococcus aureus及びStreptococcus pyogenesに対するMICを106cell/ml接種時にて, CFTM, Cefaclor (CCL), Cephalexin (CEX) 及びAmpicillin (ABPC) について検討した。CFTMのS. aureusに対するMIC分布は0.78~12.5μg/mlにわたり, そのMICピークは3.13μg/mlで, CEX, CCLとほぼ同様の分布であった。 S. pyogenesに対しては, CFTMは全株を≤0.025 μg/mlで発育を阻止し得, ABPCと同様で, CCL, CEXより2~3管優れた抗菌力を示した。
2.吸収, 排泄
今回, CFTM-PI 3mg/kg (食後投与), 6mg/kg (食前, 食後投与) について, CFTMの血清中, 尿中濃度推移を検討した。 食後投与群では, 3mg/kg, 6mg/kgはそれぞれ1~2, 2~3時間に血清中濃度ピークを示し, それぞれ1.15~2.3μg/ml, 1.8~3.6μg/mlを示し, その後, 緩やかに漸減し, 6時間では0.125~0.78μg/ml, 0.245~0.97μg/mlであり, 両群の問では, Dose responseが認められた。 半減期は3mg/kg投与では1.03~2.65時間, 6mg/kg投与では1.07~1.83時間であった。 食前投与は6mg/kgについて行ったが, 食後投与群よりも濃度ピークが低く, 1.73μg/mlであり, 6時間値は1.13μg/mlであった。 食後投与は2~3時間にピーク値に達すると思われるが, 食前投与では2時間にピーク値に達した。 尿中回収率は各投与群とも6時間までについて検討を加えたが, 5.3~19.2%と低い傾向であった。
3. 臨床成績
本剤を呼吸器感染症30例 (急性肺炎9例, 急性気管支炎10例, 扁桃炎11例), 尿路感染症7例, その他, 猩紅熱3例, 中耳炎1例の計41例に使用した結果, 有効以上の成績を得たものは40例で, その有効率は97.6%であった。 又, 細菌学的には, 本剤投与前に検出された起因菌あるいは原因菌の経過を追い, 検索が可能であったものは28株で, すべて除菌し得た。 副作用としては, 臨床的に問題は認めなかつたが, 検査値異常として, 血小板増多, 好酸球増多, 及びGOP・GPTの上昇の3例が認められた。

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