1989 年 42 巻 9 号 p. 1863-1867
産婦人科領域における開腹手術 (子宮全摘術, 帝王切開術, 卵巣腫瘍摘出術) など43例に対し, Latamoxef (LMOX) 投与時の急性期反応物質 (Acute phase reactants, APR) の術後変動を検討し, 以下の成績を得た。
1. APRとして母体血中のGranulocyte-elastase, α1-Antitrypsin (α1-AT), α1-Acidglycoprotoin, Haptoglobin, CRPの術後変動を測定した。子宮全摘術群でのこれら5マーカーは, 術後7日目に上昇し, 14日目に下降傾向を示した。手術侵襲に対する生体防御と回復過程での反応は, Granulocyte-elastase, α1-AT, CRPの変動が炎症性反応を即座に反映している。帝王切開術時のElastase, α1-ATの変動も同様であるが, 妊娠, 産褥時では全体として高値を示した。
2. LMOX投与の術後感染予防効果は, 全例に術後合併症, 自他覚的副作用は認められず, その有用性が示唆された。