The Japanese Journal of Antibiotics
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新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262 (Tosufloxacin tosilate) の胆汁中移行及び胆嚢炎に対する有用性
菅田 文夫大栗 茂芳高邑 裕太郎富永 静男岩村 健一郎山田 拓司柴田 久雄山田 伸夫岡部 和彦加藤 行雄
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1989 年 42 巻 9 号 p. 1873-1881

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抄録

新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262 (Tosufloxacin tosilate)の胆嚢炎に対する有用性を評価する目的で, 本剤の胆汁中移行及び臨床効果, 安全性の検討を行った。
健康成人男子4名にT-3262を8時間ごと2日間投与し, 最終投与後10~11時間後にMELTZERLYON法によりA, B, C胆汁を採取し本剤の胆汁中濃度を調べた。4例中3例はA胆汁0.33~2.05μg/ml, B胆汁6.13~9.50μg/ml, C胆汁1.11~2.70μg/mlの値を示し, 血清中濃度0.28~0.41μg/mlよりもB胆汁で15~34倍の高い濃度が得られた。他の1例は血清中濃度が検出限界以下でB胆汁も0.132μg/mlと低値であった。
胆嚢炎患者10名に本剤を1回150mg1日3回, 1~20日間経口投与し, 著効1例, 有効5例, やや有効2例, 判定不能2例, 有効率75%の臨床効果を得た。
本剤投与前に胆汁中細菌検査を施行し得た3例から, Klebsiella pneumoniae, Enterococcus faecalis, Haemophilus parhaemolyticusが分離され, E. faecalisは消失したが, K. pneumoniaeは投与後存続した。H. parahaemolyticusは投与後検査未施行で判定不能であった。
副作用は下痢, 心窩部痛各1例を認めたが, 投与中止によりいずれも数日内に軽快した。本剤によると思われる臨床検査値異常は認めなかった。

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