The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefpiramideの骨髄血及び骨組織への移行に関する検討
長谷川 壮八沼崎 邦浩佐藤 卓志
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1990 年 43 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

1.股関節手術 (人工骨頭置換術, 人工関節置換術), 人工膝関節置換術を施行した患者29症例にCefpiramide (CPM) 29を20分で点滴静注し, その後30分, 1, 2, 3, 4, 6時間に骨髄血と末梢血中のCPM濃度を測定し, 同時に採取した骨組織でのCPM濃度も測定し, それぞれを比較検討した。
2.CPMの末梢血から骨髄血への移行性は速やかで, しかも長時間有効濃度を維持した。移行率も100%を越える症例が29例中19例 (66%) であった。骨組織への移行率は平均で皮質骨17.7%, 海綿骨18.2%, 若干海綿骨の方が高かった。
3.CPMの主な病原菌の80%発育阻止濃度 (MIC80) との対比にて, 骨髄血及び骨組織でのCPM濃度は投与後6時間においても十分にMIC80を上回つており, 有効濃度を維持した。
4.以上のことから, CPMは骨組織の手術での感染予防の抗生剤として有用であると判断される。

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