The Japanese Journal of Antibiotics
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43 巻, 1 号
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  • SUSUMU ARAI, SHINZO KOBAYASHI, SHORYO HAYASHI
    1990 年 43 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpirome (HR 810) is a new cephalosporin with a 2, 3-cyclopentenopyridine group in the 3-position side chain. It was compared with other cephem antibiotics in protective and therapeutic effects on various experimental infections, systemic and local, in mice and rats.
    HR 810 had more potent protective effect than ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ), and cefotaxime (CTX) on systemic infections induced byEscherichia coliEc-31,Staphylococcus aureusSMITH, andSerratia marcescensSm-6 in mice. Against systemic infection withPseu-domonas aeruginosaHR 810 was as effective as CAZ.
    Mice with leukopenia induced by cyclophosphamide were systemically infected with methicillin-resistantS. aureus(MRSA), methicillin-susceptibleS. aureus(MSSA),Enterobacter cloacae, Acinetobacter calcoaceticus, andEnterococcus faecalis. HR 810 was superior to cefuzonam (CZON) and cefmetazole against MRSA and MSSA and was much more active than any other antibiotics tested againstE. cloacae and A. calcoaceticus. In the activity againstE. faecalis, HR 810 was inferior to ampicillin but superior to CZON.
    In mice with pyelonephritis caused byE. coliEc-7, the rank order of activities was HR 810> CAZ> CTX> CPZ.
    HR 810 was more effective than latamoxef, CAZ, CTX, and CPZ in improving lung infections induced byStreptococcus pneumoniaeHL 438 and Klebsiella pneumoniaeKp-51 in mice.
    HR 810 was superior to CTX and CPZ and comparable to cefazolin in therapeutic effects on intrauterine infections withE. coliEc-89 andS. aureusSMITH in rats.
  • 三笠 桂一, 澤木 政好, 古西 満, 成田 亘啓
    1990 年 43 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経気管吸引法 (TTA) により.Pseudomonas aeruginosaが検出された呼吸器感染症9例においてImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の有用性を検討した。対象は男性6例, 女性3例, 年齢は42~78歳, 疾患は慢性気管支炎5例, び漫性汎細気管支炎2例, 気管支肺炎2例, TTA検出菌はP.aeruginosa単独検出が6例, 複数菌検出が3例であった。臨床効果は有効6例, やや有効1例, 無効2例で, 有効以上の有効率は67%であった。副作用は認められず, 臨床検査値では1例にLDHの軽度上昇が認められた。
    以上から, IPM/CSは緑膿菌呼吸器感染症に有用な薬剤となり得ることが示唆された。
  • 下方 薫, 川津 秀隆, 西脇 敬祐, 山本 雅史, 酒井 秀造, 千田 嘉博, 鳥井 義夫, 天野 博史, 坂 英雄, 齋藤 博
    1990 年 43 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) を呼吸器感染症の症例55例に投与した。臨床効果判定は51例で行った。51例の内訳は肺炎28例, 肺化膿症4例, 膿胸1例, 気管支炎6例, 気管支拡張症 (感染時) 9例, び漫性汎細気管支炎1例, 慢性閉塞性肺疾患 (感染時) 2例であり, 有効率は78.4%であった。20例からStaphylococcus aureus4株,Staphylococcus epidermidis1株,Streptococcus pneumonioe1株,Branhamella catarrhalis1株,Haemo-philus influenzae2株,Klebsiella pneumoniae4株,Pseudomonas aeruginosa6株,Psado-monassp. 1株,Acinetobacter calcoaceticus1株,Acinetobactersp. 1株, Glucose non-fermentative Gram-negative rod 1株, 合計23の起炎菌が検出され, 消失率は70.6%であった。呼吸器感染症の主要起炎菌であるS.aureus, S: pneumoniae, H.infiuenzae, K.pneumoniaeに対しては, 消失率6株/8株 (75.0%) であった。副作用は5例にみられ, 発疹2例, 背・腹部騷痒感, 嘔吐, 発熱がそれぞれ1例であった。臨床検査値異常は8例にみられた。いずれも軽度のもので投与終了又は中止後消失した。
    IPM/CSは呼吸器感染症例に, とりわけ, 重症感染症に有用な薬剤と言えよう。
  • 菊池 典雄, 小野崎 郁史, 河野 典博, 山口 哲生, 長尾 啓一, 栗山 喬之, 菅野 治重, 久保 勢津子, 巽 浩一郎, 沖田 伸也 ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    嚥下性肺炎14例に対するImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の臨床効果にっき, 多施設による共同研究を行った。平均年齢は75.4歳であった。基礎疾患は中枢神経系疾患が11例, 心疾患, 呼吸器疾患, 糖尿病が各々2例に認められた。市中発症7例, 院内発症7例であり, 重症度は中等症6例, 重症8例であった。起炎菌は9例 (64.3%) に確定され, 複数菌検出は3例であった。検出菌種はStaphylococcus aureusが4例,Pseudomonas aeruginosaKleb-siella pneumoniaeが各々3例,Escherichia coli, Acinetobacter calcoacetiasが各々1例から検出された。嫌気性菌の検索は施行されなかった。
    IPM/CSの臨床効果は著効3例, 有効8例, やや有効2例, 無効1例であり, 有効率は78.6%であった。治療効果が不十分な症例3例中2例にP.aeruginosaが検出された。
    IPM/CSによるMonotherapyは嚥下性肺炎に対して高い有効率が期待されるが起, 緑膿菌が炎菌になる場合には効果は不十分のことがある。
  • 井上 雅美, 河 敬世, 藪内 百治, 納谷 保子, 西田 勝, 迫 正廣, 小西 省三郎
    1990 年 43 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児悪性腫瘍29例の顆穎粒球減少時にみられた感染症治療に, 又, 感染予防として11例にImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS, チエナム (R)) を投与し, その臨床効果と安全性を検討した。
    1.感染症29例での有効率は79.3%であり, このうち造血器・固形腫瘍を基礎に持っ16例での有効率は68.8%であった。重症度が高い症例で, 又, 好中球数が投与前あるいは投与後で100/mm3以下となる症例で有効率が低下する傾向がみられたが, 先行抗生物質の有無で層別した成績では両者に大きな差を認めなかった。起炎菌が同定された6例での有効率は83.3%であり, 残る起炎菌不明の23例での有効率は78.3%であった。
    2.予防投与11例での有効率は63.6%であった。
    3.副作用は2例 (中毒疹, 血尿各1例) に, 又, 臨床検査値異常は1例 (GOT・GPT上昇) にみられたが, いずれも臨床上問題となるものではなかった。以上の成績から, IPM/CSは顆粒球減少時に発生する起炎菌不明の重症感染症の治療に, あるいは感染予防としても積極的に使用し得る薬剤と考えられた。
  • 長谷川 壮八, 沼崎 邦浩, 佐藤 卓志
    1990 年 43 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.股関節手術 (人工骨頭置換術, 人工関節置換術), 人工膝関節置換術を施行した患者29症例にCefpiramide (CPM) 29を20分で点滴静注し, その後30分, 1, 2, 3, 4, 6時間に骨髄血と末梢血中のCPM濃度を測定し, 同時に採取した骨組織でのCPM濃度も測定し, それぞれを比較検討した。
    2.CPMの末梢血から骨髄血への移行性は速やかで, しかも長時間有効濃度を維持した。移行率も100%を越える症例が29例中19例 (66%) であった。骨組織への移行率は平均で皮質骨17.7%, 海綿骨18.2%, 若干海綿骨の方が高かった。
    3.CPMの主な病原菌の80%発育阻止濃度 (MIC80) との対比にて, 骨髄血及び骨組織でのCPM濃度は投与後6時間においても十分にMIC80を上回つており, 有効濃度を維持した。
    4.以上のことから, CPMは骨組織の手術での感染予防の抗生剤として有用であると判断される。
  • 新藤 邦雄, 及川 直弘, 千田 定則
    1990 年 43 巻 1 号 p. 47-62
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    昭和61年4月から63年3月までに子宮筋腫摘出患者100例の腔から菌を分離して, この菌に対するCefpiramide (CPM) の抗菌力を調べた。
    更に, 48例について子宮及び子宮付属器への移行を調べ, 併せて術後感染予防効果, 臨床検査成績等について検討した。
    1.検出菌に対するCPMのMIC80Staphylococcus epidermidis1.56μg/ml,Entero-coccus faecalis25μg/ml,Escherichia coli6.25μg/mlであった。
    2.各組織のピーク濃度及び血清中濃度とのAUCの比は子宮頸部35μg/g (39.5%), 子宮漿膜43μg/g (44.9%), 子宮内膜39μg/g (51.6%), 子宮筋層28μg/g (26.8%), 卵管67μg/g (41.9%), 卵巣27μg/g (45.8%) であり, いずれの組織も600分後でも4μg/g以上の濃度を維持していた。
    3.血清中濃度の半減期はT1/2 (α) 13.2分, T1/2 (β) 260.2分であった。
    4.術後感染予防は47例 (97.9%) に有効であった。
    5.副作用及び臨床検査値の異常は認められなかった。
  • Hanshin Study Group of Hematopoietic Disorders and Infection
    YOSHINOBU TAKEMOTO, AKIHISA KANAMARU, KIYOYASU NAGAI, TOHRU MASAOKA, T ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    A 3 arm prospective randomized trial was designed to compare the effectiveness of aztreonam (AZT) +clindamycin (CLDM), amikacin (AMK) +AZT and CLDM+AMK as antibiotic therapy for fever in patients with hematological disorders. Between July 1987 and June 1988, one hundred and sixty of the 199 febrile episodes entered in this study were evaluated for response. Underlying diseases were hematological malignancies in 88.8 % of the subjects, and there was no statistically significant differences in incidences of the diseases among the 3 groups.
    Efficacy rates were 64.2% in the AZT+CLDM group, 52.8% in the AMK+AZT group and 35.2% in the CLDM+AMK group. Efficacy rates in those with neutrophil counts was less than 500/μl before starting the antibiotics were 53.3%, 43.8% and 25.0%, respectively, in the 3 groups. The combination of AZT+CLDM was found to be the most effective even in the treatment of infections associated with febrile neutropenic patients.
  • 小幡 功, 大和 竜夫, 林 茂興, 今川 信行, 林 茂一郎
    1990 年 43 巻 1 号 p. 70-80
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonai (AZT) の産婦人科周産期領域における有用性と安全性の一端を評価する目的で本剤を73症例に投与し母体血清中, 膀帯血清中並びに羊水中への移行性について検討し, 次の結果を得た。
    1. AZT19をOne shot静注投与して得られた実測値及び理論値の経時的濃度推移を検討した結果, 母体血清中濃度は投与直後に最高値を示した後, 時間経過と共に漸減し, 臍帯血清中濃度は母体血清中濃度にやや遅れて母体血清中濃度に比べて低い最高値を形成した後, 時間経過と共に減少するが, その減少度は母体血清中濃度に比べて緩やかで理論値では投与後2.23時間又は2.24時間以後は母体血清中濃度を上回る濃度で推移した。羊水中濃度は投与後徐々に上昇し投与後1.68時間, 1.73時間で臍帯血清中濃度を, 投与後1.82時間, 1.85時間で母体血清中濃度を上回る濃度を示した以後に最高値を形成した。その後羊水中では高濃度が長期間にわたって維持していた。この結果, 本剤は羊水感染の予防や治療に有用であることが示唆された。
    2.実測値に基づいてTwo-compartment open modelとThree-compartment open modelに適応して理論値を解析し各Parameterを比較した結果, 母体血清中濃度及び臍帯血清中濃度のT1/2はそれぞれ1.29時間, 1.29時間, 2.14時間, 2.00時間を, Cmaxは187.09μg/ml, 184.15μg/ml, 30.63μg/ml, 30.66μg/mlを, AUCは153.25μg・hr/ml,153.40μg.hr/ml, 123.19μg・hr/ml, 123.09μg・hr/mlと近似した数値を示した。羊水中濃度ではCiaxが47.08μg/ml, 47.74μg/ml, AUCが948.03μg・hr/ml, 1,028.70μg・hr/mlと近似した数値を示した。しかし臍帯血と羊水の分布容量はModelの違いによって差が認められた。
    3.以上の結果から薬剤の母児移行についてT1/2, Cmax, AUC値だけを求める場合はTwo-compartment open modelだけの適応で解析が可能であると考えられた。
    4.本剤投与を行った全症例は母児共に自他覚的な副作用や臨床検査値異常の発現は認められなかった。
  • 山木 健市, 渡辺 久芳, 高木 健三, 鈴木 隆二郎, 佐竹 辰夫, 荒井 孝, 松本 修一, 原 通廣, 近藤 康博, 谷口 博之, 横 ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 81-88
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症81例に対してCefteram pivoxil (CFTM-PI) を使用し, 以下の臨床成績を得た。患者の内訳は咽喉頭炎4例, 扁桃炎5例, 急性気管支炎26例, 肺炎13例, 慢性気管支炎10例, びまん性汎細気管支炎1例, 気管支拡張症14例, 慢性呼吸器疾患の二次感染8例であつた。肺結核症, 肺癌などの基礎疾患を有するものが43例あった。CFTM-PIは1回200mgを1日3回経口投与した。投薬日数は3日から62日で平均13.7日 (平均投薬量8.2g) であった。
    臨床効果は著効18例, 有効50例, やや有効7例, 無効6例であり, 有効率は84.0%であった。副作用は効果判定から除外された注射用抗生剤併用の4例と対象外疾患2例, 1日投与量不足5例を加えた計92例において検討し, 嘔気・嘔吐2例, 下痢1例, めまい1例, 発熱1例, GOT・GPTの軽度上昇4例, 総ビリルビン値軽度上昇1例をみたが, いずれも投与中止により消失した。
    以上からCFTM-PIは経口用エステル型セフェム系抗生物質として優れており, 軽症, 中等症の呼吸器感染症に対して有用な薬剤であると考えられる。
  • 高橋 勇, 吉田 孝治, 東出 義弘, 阪野 哲也
    1990 年 43 巻 1 号 p. 89-99
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニワトリ, ブタ, ウシの症例由来のEscherichia coli, Salmonella, Staphylococcus aureusのOfloxacin (OFLX) と汎用抗菌性物質に対する感受性を比較し, 次の成績を得た。
    1.E.coli (28株) は供試薬剤中でOFLXに最も高い感受性 (全株がMICO.10~0.39μg/ml) を示した。汎用薬剤中で本菌の感受性が比較的高い薬剤 (MIC500.78~6.25μg/ml) を列挙すると, Oxolinic acid (OXA), Ampicillin (ABPC), Kanamycin (KM), Chloramphenicol (CP) の順であった。感受性が中等度~ 低度の薬剤 (MIC5025~>800μg/ml) はDoxycycline (DOXY), Streptomycin (SM), Spectinomycin (SPCM), Sulfadimethoxine (SDMX) の順であった。OFLXとOXAを除く, 各薬剤に耐性の株が7.1~57.1%認められ, 合計20株 (71.4%) に達した。
    2.最近分離されたブタの下痢症由来E.coli (48株) のOFLXと既存のキノロン系4薬剤に対する感受性を比較した。その結果をMIC50で示すと, OFLXとNorfloxacinが0.10μg/mlで, 以下OXA, Pipemidic acid, Nalidixic acidの順に0.39~3.13μg/mlの差があった。
    3.Salmonella (28株) は供試薬剤中でOFLXに最も高い感受性 (全株がMICO.20~0.39μg/ml) を示した。以下本菌の感受性が比較的高度ないし中等度の薬剤 (MIC50.78~12.5μg/ml) を列挙すると, ABPC, OXA, DOXY, KM, CP, SMの順であった。低感受性薬剤 (MIC50100μg/ml以上) はSPCMとSDMXであった。OFLXとOXAを除く, 各薬剤に耐性の株が7.1~32.1%認められ, 合計12株 (42.9%) であった。
    4.S.aureus (28株) はOFLXに対し, 高い感受性 (MIC50, MIC90とも0.78μg/ml) を示した。汎用薬剤で本菌が高度ないし比較的よい感受性を示したもの (MIC50.10~6.25μg/ml) を列挙すると, DOXY, ABPC, Tylosin, Tiamulin, KM, OXA, CPの順であった。中等度ないし低感受性の薬剤 (MIC5012.5~100μg/ml) はSM, SDMX, SPCMであった。0FLX, SDMXを除く, 各薬剤に耐性の株が3.6~50%認められ, 合計20株 (71.4%) に達した。
    5.以上のとおり, 3菌種のいずれも汎用薬剤に耐性の株を高率に含んでいたが, OFLXに対して, 全株が高い感受性を示し, 本剤に耐性の株は認められなかった。
  • 菊池 典雄, 川島 辰男, 小野崎 郁史
    1990 年 43 巻 1 号 p. 100-104
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    千葉市立海浜病院において, 成人肺炎マイコプラズマ肺炎13例を対象としてOfloxacinの臨床効果にっき検討した。
    本剤の投与法は1日量600mg, 分3, 毎食後の経口投与とした。1例は嘔気のため脱落例となった。他の12例における本剤の投与日数は7~19日, 平均11.5日であった。
    臨床効果は著効7例, 有効5例, 副作用による判定不能1例であり, 本剤の有効率は100%であった。
    本剤は肺炎マイコプラズマ肺炎の治療薬として, 十分期待できる薬剤である。
  • OfloxacinとGentamicinを用いたクレーデ法の評価
    青河 寛次, 庄司 孝, 杉山 陽子
    1990 年 43 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ofloxacin (OFLX) とGentamicin (GM) を用いたクレーデ法の評価を通じて, 垂直感染による新生児眼炎のChemoprophylaxisの臨床意義を明らかにするために, 以下の知見を得た。
    1.1987~1988年の6カ月間における全分娩例271例を対象とし, そのうち260例を採用しクレーデ原法による点眼を行った。OFLX又はGM投与群はほぼ均一な背景因子を構成していた。
    2.OFLX投与は129例中123例, GM投与は131例中116例に投与効果を認め, 副作用は皆無だった。
    3.産科領域で最近分離したブドウ球菌, 大腸菌はOFLXに対して比較的良好な感受性を示し, GMに対して比較的耐性株が多かつた。
    4.クレーデ法によりOFIX投与群がGM投与群よりも有意に優れた有用性を示したことから, 新生児眼炎のChemoprophylaxisの臨床意義を間接的に証明したものと思われる。
    5.無効例は近似した期間に頻発し, ブドウ球菌検出の多かった点などから, Hospital infectionの可能性を示唆した。
  • 土光 文夫
    1990 年 43 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口Cephem系抗生物質であるCeftibuten (CETB, 7432-S) について, 産婦人科領域での臨床的検討を行った。
    対象は子宮内膜炎1例, バルトリン腺膿瘍3例, 子宮付属器炎1例及び外陰部膿瘍1例の合計6例で, CETBは1回100mg, 1日2~3回, 食後経口投与した。
    臨床効果は子宮付属器炎の1例は無効であったが, 他の5例はすべて有効であった。細菌学的効果は5例から分離された8菌種13菌株すべて陰性化した。
    副作用及び臨床検査値異常は1例も認められなかった。
    以上の結果から, CETBは産婦人科領域の感染症に対し, 有用性の高い薬剤と考えられた。
  • AKIO URABE, FUMIMARO TAKAKU, HIDEAKI MIZOGUCHI, TAKEO NOMURA, TEPPEI O ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 116-130
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The prophylactic and therapeutic effects of the oral administration of amphotericin B (AMPH) to patients with deep mycosis associated with hematologic diseases were evaluated in an investigation including determinations of serum concentrations of the antibiotic.
    Prophylactic effects were examined in 111 subjects, and the efficacy rates averaged 83.8 % at daily doses from 1,200 to 4,800 mg. The efficacy was significantly higher at a dose of 2,400 mg/day than at a dose of 1,200 mg/day (P <0.05).
    The efficacy rate tended to be higher when the length of administration period was 1 month or more. The percentage of the number of days of fever by neutrophil count was significantly less at a daily dose of 2,400 mg than at 1,200 mg in patients with neutrophil count of 1,000 cells/mm3 or less (P<0.001). The safety was evaluated in 131 subjects, and adverse effects were found in only 2 cases of nausea for an incidence rate of 1.5 %.
    Therapeutic effects were studied in 12 cases, and efficacy rates averaged 58.3 % at daily doses from 2,400 to 7,200 mg. Adverse effects consisted of 1 case of diarrhea among 15 subjects who were evaluated for the safety for an incidence rate of 6.7 %.
    The serum concentrations of the antibiotic were examined in 60 of the prophylactic and therapeutic subjects. Average concentrations of AMPH at 4 hours after the first daily dose of 1,200, 2,400 and 4,800 mg were 0.040, 0.053 and 0.078μg/ml, respectively. Concentrations gradually increased thereafter and reached averages of 0.089, 0.090 and 0.132μg/ml, respectively, for the 3 dose levels on the 7th day.
    These results indicated that there were no serious adverse effects and serum concentrations were above the Candida MIC values at daily prophylactic and therapeutic doses of 1,200 to 7,200 mg of AMPH. Based on these findings, this drug can be expected to show prophylactic and therapeutic effects with safety in cases of deep mycosis.
  • 横山 隆, 児玉 節, 竹末 芳生, 藤本 三喜夫, 村上 義昭, 瀬分 均, 今村 祐司, 沖田 光昭
    1990 年 43 巻 1 号 p. 131-138
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1983年から1988年の間に広島大学第1外科入院患者病巣から分離したStaphylococas aureus 214株のMIC, コアグラーゼ型別を検討し次の結果を得た。
    1.1983年以降, 1987年までMethicillin-resistant S.aureus (MRSA) の占める頻度は50%以上であった。
    2.Methicillin (DMPPC) 高度耐性株 (DMPPCのMIC>100μg/ml) が1984年度から出現し, 1987年まで増加傾向を示した。
    3.DMPPC高度耐性株はコアグラーゼII型株で院内流行株と考えられた。
    4.DMPPC高度耐性株に対して, Ofloxacin, Minocycline (MINO) が共に良好な抗菌活性を示したが, β-Lactam系薬剤, Aminoglycoside系薬剤では耐性株が多く認められた。
    以上の基礎的検討から1987年7月から, 1988年11月の間に広島大学第1外科において経験したMRSA感染症に対して, MINOを中心とした化学療法を行い, 次の結果を得た。
    1.使用薬剤はMINO単独2例, MINO+Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) 4例, MINO+IPM/CS+Tobramycin 1例, MINO+Cefmetazole (CMZ) 1例, MINO+Fosfomycin+CMZ (後にMINO+Amikacinに変更) 1例であり, 症例数は9例であったが, 臨床効果は著効3例, 有効6例と全例が有効以上であった。
    2.MINO投与前後の自他覚所見, 臨床検査値では特に異常は認めなかった。
    以上の結果から, 基礎的検討の結果と良く一致し, MRSA感染症にMINOを中心とした化学療法が奏効する可能性が示唆された。
  • 千村 哲朗, 斉藤 英和
    1990 年 43 巻 1 号 p. 139-146
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Asymptomatic bacteriospermiaの実態と治療について, 精液検査を臨床的に必要とした65例を対象とし以下の成績を得た。
    1.精液中の細菌検出率は89.2%であり, 好気性菌55.4%, 嫌気性菌70.8%を示した。好気性菌では, グラム陽性菌40株でStaphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalisの検出率は高く, Streptococcus agalactiaeが6株 (9.2%) 認められた。グラム陰性菌の検出率は低く3株だけであった。嫌気性菌では, グラム陽性菌90株でPeptostreptococcus (58株) の検出率が高い。グラム陰性菌は11株だけであった。
    2.精液分離菌のCefaclor (CCL), Cephalexin, Lomefioxacin, Latamoxef, Flomoxef (FMOX) に対する感受性の検討では, FMOXが平均して優れていた。
    3.CCL (1,500mg/日) を経口投与した11例の精液中の細菌変動では, 投与前32株が投与後では菌消失25株, 残存7株, 菌交代23株が認められた。
  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 小酒井 望, 林 康之, 小栗 豊子, 近藤 宇史, 斎藤 玲, 松宮 英視, 上田 京子, 寺井 継男, 丹野 ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 147-180
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らは1981年以来, 全国各地の研究施設と共同で, 呼吸器感染症患者分離菌を収集し, 患者背景と分離菌, 分離菌の各種抗生剤に対する感受性などを経年的に調査してきた。1987年10月~1988年9月の間, 全国17施設において, 呼吸器感染症患者562例の, 主として喀痰から分離され, 起炎菌と推定された細菌は706株であつた。
    分離菌としては, Staphylococcus aureus 69株, Streptococcus pneamoniae 120株, Haemophilus influenzae 170株, ムコイド産生Pseudomonas aeruginosa 42株, ムコイド非産生P.aeruginosa 87株, Escherichia coli 11株, Klebsiella pnamoniae 35株, Branhameua catarrhalis72株などが検出された。これらのうち629株に対する各種抗菌・抗生剤のMICを測定し, 薬剤感受性を調査した。又, 患者背景と感染症及び感染症と起炎菌の推移等についても併せて検討した。起炎菌として分離頻度の多いH.influenzaeP.aeruginosaの薬剤感受性は従来から大きな変化はないが, S.aureus特にメチシリン・セフェム耐性S.aureus (MCRSA) はβ-ラクタム系薬剤, 更に近年, Ofloxacin等のニューキノロン系薬剤に対する感受性の低下が認められている。
    患者背景について検討してみると, 年齢分布は50歳以上に75.2%と特に集中していた (1985年は73.5%, 1986年は77.9%) 。感染症としては, 細菌性肺炎が28.3%と多く, 以下慢性気管支炎が27.2%, 気管支拡張症が16.0%であった。全年代を通して細菌性肺炎は多くみられ, 29歳以下で34.3%, 30~69歳で26.6%, 70歳以上で30.7%であった。同様に慢性気管支炎も20.0%, 26.4%, 30.7%であった。
    感染症患者から分離された菌としてはH.influenzae, S.pneumoniae, P.aeruginosaが多かつた。気管支拡張症, 慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎に感染を随伴した症例から検出された起炎菌は, H.influenzae, P.aeruginosa, S.pneumoniaeが多く, それぞれ29.6%, 23.9%, 16.6%であった。細菌性肺炎においては上記の菌に加え, S.aureusがしばしば検出された。年々, H.influenzaeの検出率は低下しているが, S.pneumoniaeの検出頻度は確実に増加している。又, グラム陰性菌のB.catarrhalisは増加傾向にある。抗菌・抗生剤の投与前及び投与中に検出された菌にっき検討してみると, H.influenzae, S.pneumoniaeが多く, それぞれ29.8%, 18.6%であったが, 投与の日数が増えるに従つていずれも検出率は低下していた。一方, これに替つて投与前では15.2%であったP.aeruginosaが15日以降では39.0%と増加した。
    この調査は, 今後次々と開発される新たな薬剤についても考慮しながら, 今後も続ける予定である。
  • 藤井 良知, 目黒 英典, 有益 修, 牛島 廣治, 阿部 敏明, 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 新納 憲司, 市橋 治雄, 松田 博 ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 181-215
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症に対するNorfioxacin (NFLX) の有用性を検討し以下の成績を得た。
    1.小児新鮮病巣分離株に対するNFLXの耐性菌 (MIC12.5μg/ml以上) 分離頻度は1.6% (8例/512例) でStaphylococcus aureusは45株中に1株みられたが, Pseudomonas aeruginosa 30株では1株も認められなかった。
    2.小児にNFLXを1.5~2.9, 3.0~4.8mg/kg及び5.1~6.1mg/kg空腹時単回経口投与による血清中濃度の平均ピーク値は, それぞれ0.37, 0.56, 0.92μg/mlであり, 平均半減期はそれぞれ2.5, 2.6, 2.6時間であった。又, 0~8時間の平均尿中回収率は, それぞれ25.3, 25.3, 27.1%であった。
    3.臨床検討は腸管感染症, 尿路感染症を中心に実施され, 原因菌判明例317例では著効187例, 有効79例, やや有効9例, 無効7例, 判定不能35例, 有効率94.3% (266例/282例) の優れた成績であり, 著効率は70.3% (187例/266例) であった。菌不明例を含めた全例406例についても著効233例, 有効106例, やや有効11例, 無効11例, 判定不能45例, 有効率93・9% (339例/361例) の優れた成績であり, 著効率が68.7%と高率を示した。
    4.疾患別有効率は原因菌判明例で細菌性肺炎81.8% (9例/11例), その他の呼吸器疾患80.8% (21例/26例), 細菌性赤痢95.8% (23例/24例), カンピロバクター腸炎98.6% (70例/71例), サルモネラ腸炎100.0% (24例/24例), その他の急性腸炎100.0% (6例/6例), 尿路感染症98.1% (104例/106例), その他を含め全体として94.3% (266例/282例) であった。原因菌不明群との間に有意差が認められなかつたので総計すると93.9% (339例/361例) の高い有効率が示された。
    5.原因菌と同定し細菌学的に評価可能な325株の除菌率は84.3%であった。Gram-positive cocci (GPC) 84.3% (43株/51株), Gram-negative rods (GNR) 84.3% (231株/274株) であった。
    6.本剤の至適投与量は5歳以上の小児で6.0~12.0mg/kg/日, 7日間と考えられた。
    7.起炎菌がP.aeruginosaの症例12例の有効率は100% (11例/11例) であり, 菌消失率は83.3% (10株/12株) であった。
    8.先行抗生剤無効例 (3日以上投与) 59例の有効率は88.9%で特にペニシリン系, セフェム系抗生物質が先行した13例では有効率90.9%であり, 又, 著効率は58.3%であった。その菌消失率は93.6%であり, GPC10株ではStreptococcus pneumoniae 1株, GNR37株ではP.aeruginosa 2株が消失しなかった以外はすべて除菌された。
    9.副作用は406例で検討され, 6例 (1.5%) に認められた。いずれも服薬を継続できる程度の軽度なものであった。又, 関節痛等について注意深く観察したが, 関節障害は全例で認められなかった。臨床検査値異常は309例のうち, 好酸球増多が8例認められたが, いずれも一過性で軽度なものであった。なお, 関節障害時に変動を示すと言われているカテプシンD活性, 血清ムコ蛋白, 尿中ムコ多糖, Al-P活性, Al-P電気泳動でも本剤によると思われる変化は認められなかった。
  • M. IWAMI, M. HINO, T. ANDO, M. OKAMOTO, K. YOSHIDA, H. HARUTA, M. OKUH ...
    1990 年 43 巻 1 号 p. 216-217
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2013/05/17
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