The Japanese Journal of Antibiotics
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子宮頸部と子宮体部における細菌叢の比較検討
千村 哲朗森崎 伸之斉藤 憲康中原 正城
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1990 年 43 巻 2 号 p. 321-325

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抄録
下部性器の細菌叢の常在と, 子宮体部の細菌の存在と両者の関連性は, 子宮頸部を境界とした局所的防御機構による上行感染に対するバリアー的役割の意義から重要である。従つて, 子宮頸部と子宮体部の細菌の存在を, 婦人科手術症例 (n=77) を対象とし検討した。
1. 子宮頸部からの細菌検出率は50例/77例 (64.9%) であり, 子宮体部からの検出率は6例/77例 (7.8%) であった。年齢別の比較では, 40歳台での子宮頸部からの検出率が高く, 子宮体部からの検出例はすべて40歳台であった。
2. 子官頸部の検出菌種では, グラム陽性菌が高率に検出され, 次いで嫌気性菌が認められ, Staphylococcus epidermidis, Lactobacillus, Propionibacterium acnes の検出率が高い。子宮体部では, グラム陽性菌6株とCandida sp.1株であった。
3. これら子宮全摘術後の感染予防にCefmetazoleが投与されたが, 術後感染症及び副作用は認められなかった。
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