The Japanese Journal of Antibiotics
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小児感染症におけるNorfloxacinの臨床的検討
中澤 進新納 憲司佐藤 肇成田 章松本 貴美子中澤 進一鈴木 博之中西 好子
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1990 年 43 巻 5 号 p. 799-807

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抄録

我が国, 初のフルオロキノロン系薬剤Norfloxacinを小児領域に使用し, その安全性と有効性について慎重な検討を行い, 以下の成績を得た。
1.血清中濃度及び尿中排泄については, 3.2mg/kg, 3.7mg/kg, 5.4mg/kg各1例の内服投与により検討した。血清中濃度のピーク値は2-4時間値で3.2mg/kg投与では, 4時間目で0.70μg/ml, 3.7mg/kg, 5.4mg/kg投与では2時間目で各々0.18μg/ml, 0.64μg/mlであり, T1/2は, 2.5-2.9時間であった。尿中排泄率は0-6時間までに7.1-30.7%の排泄を認めた。
2.Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Salmonella sp., Vibrio parahaemolyticus, 各々30株に対する本剤のMICはS.aureusでは0.39-25μg/mlに分布しAmpicillinに類似していた。E.coliでは大半が≤0.10μg/mlにあり, Salmonella sp.では≤0.20μg/mlで検査したいずれの薬剤より抗菌活性が強かった。V.parahaemolyticusに対するMICは≤0.10μg/mlであった。
3.有症者30例 (サルモネラ腸炎7例, カンピロバクター腸炎7例, その他の腸炎5例, 細菌性赤痢1例, 急性尿路感染症8例, 皮膚軟部組織感染症2例) につき治療効果の検討を行った結果, 著効24例, 有効4例で有効率は93.3%であった。
4.30症例から分離された各種病原菌に対する本剤の除菌率は,75.9%で, 他剤無効症例もあった。特にサルモネラ菌に対しては有効であった。
5.33症例につき副作用の検討を行ったが1例も認められず, 臨床検査値異常も特記すべきものはなく, 本剤の有効性並びに安全性を認めることができた。

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