The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるNorfloxacinの基礎的・臨床的検討
豊永 義清小泉 満男今井 祐之坂口 直哉杉田 守正福島 よし子山崎 美喜雄
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1990 年 43 巻 5 号 p. 808-825

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抄録

小児科領域におけるNorfloxacin (NFLX) の基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1.Staphylococcus aureusに対するNFLXのMIC80は3.13μg/mlで, Nalidixic acid (NA), Amoxicillin (AMPC), Cefaclor (CCL), Erythromycin (EM), Fosfomycin (FOM) より活性が高く, それらの薬剤に耐性の菌に対しても活性を示した。
2.Escherichia coliに対するNFLXのMIC80は≤0.05μg/mlで, NA, AMPC, CCL, EM, FOMより活性が高かつた。
3.NFLXの1.5-2.4mg/kg, 2.5-3.4mg/kg投与群の平均の最高血清中濃度はそれぞれ0.32μg/ml (1時間後), 0.38μg/ml (2時間後) で半減期はそれぞれ1.7-4.0時間, 2.2-2.9時間, AUCは平均値で1.54±0.52μg・hr/ml, 2.02±0.93μg・hr/mlであつた。尿中回収率は6-8時間までに11.6-46.9%, 13.8-35.4%であつた。
4.臨床的検討は細菌性肺炎8例, 化膿性扁桃炎3例, 細菌性腸炎3例, 尿路感染症19例, 化膿性耳下腺炎1例の計34例について行い, 著効28例, 有効5例, やや有効1例で有効以上の有効率は97.1%であった。
5.細菌学的検討では消失率96.8% (30株/31株) とCamnpylobacter jejuniの1株以外すべて除菌され優れた成績であつた。
6.投与量は4.5-21.4mg/kg/日であり, 尿路感染症の1例が1日2回投与であつた以外は3回投与であった。
7.副作用は1例も認められなかつた。臨床検査値異常は1例に好酸球の軽度の上昇を認めた。
以上の結果からNFLXは小児感染症に対して有効且つ安全な薬剤であると考えられた。

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