1990 年 43 巻 6 号 p. 1143-1151
主として造血器悪性腫瘍を基礎疾患に持っ重症感染症44例に対しSulbactam/Cefbperazone (SBT/CPZ) による化学療法を行いその治療効果を検討し次の結果を得た。
1.臨床的効果は単独投与例では有効率81.3%, 併用例では判定不能1例を除き有効率74.1%であった。又, 全症例では有効率76.7%であった。1日4g及び6g投与例における有効率はそれぞれ76.9%, 76.5%と両者間に有意差はみられなかった。
SBT/CPZ開始後1週間の平均好中球数が500/mm3未満とそれ以上の症例にわけても各々の有効率には有意差はみられなかった。
2.細菌学的効果をみると44症例中21症例から合計26株の菌が分離同定され, 26株中菌の消長が明らかであった12株, 全株が消失した。
3.44例中1例に皮疹, 2例に肝機能検査値の異常, 3例に腎機能検査値の異常を認めたが, SBT/CPZとの直接的な関連性は不明であつた。
血液疾患に伴う重症感染症においては, SET/CPZによる化学療法は有効な治療法であると考えられた。