1991 年 44 巻 4 号 p. 440-446
新しい注射用Cephem系抗生物質Cefpirome (CPR, HR810) にっき基礎的, 臨床検討を行い, 下記の結果を得た。
1.当科臨床分離株に対する CPR の MIC を測定し, Staphylococcus aureus, Streptococcuspneumoniae, Streptococcus pyogenes, streptococcus agalactiae, Escherichia coli, Klebsiellapneumoniae, Haemophilus in fluenzae, Haemophilus parainfluenzaeに対しCeftazidimeより優れたMICを示した。
2.CPRを10, 20, 40mg/kg各2例ずつOne shot静注した時の平均血漿中濃度のピークは投与後15分で, それぞれ33.9, 62.9, 96.0μg/mlで, 半減期の平均は1.58, 1.69, 2.13時間であった。投与後8時間までの平均尿中累積排泄率は51.2, 78.0, 74.9%であった。
3.10例の小児期細菌感染症 (肺炎5例, 尿路感染症5例) に本剤16~79mg/kg/日を2~3回に分けて投与し, 100%の有効率を得た。細菌学的効果も100%であった。
4.副作用として1例に血管痛を, 検査値異常としては1例に好酸球増多, 1例に血小板増多, GOT, GPT上昇を認めたがいずれも軽度であった。