ヘキスト, ルセル社で新たに開発されたCefodizime (CDZM, THR-221) の小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1.
Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Strepotococcus pneumoniaeのグラム陽性球菌はCefotaxime (CTX), Cefazolin, Cefotiam, Piperacillinと抗菌力はほぼ同様であり,
Escherichiacoli, Klebsiellapneumoniae, Serratia marcescensはCTXと同等の抗菌力で他剤より優れていた。中でも
Haemophilus influenzae, Branhamella catarrhalisに対する抗菌力は非常に優れていた。
2.臨床的検討ではSalmonella敗血症1例とCervicallymphadenitis1例が無効であったが, 上気道炎5例, 気管支炎4例, 気管支肺炎6例, 肺炎18例, 尿路感染症5例, 胃腸炎1例はすべて有効で有効率は合計95.1% (39例/41例) で, その中で著効例が25例もあり非常に有用と思われる。
3.細菌学的検討ではSalmone例を除いて検出された38例/39例が消失し, 消失率の合計は97.4%で良好な結果であった。その中でも小児科領域での主要起炎菌の
S.pneumoniae10例,
H.influenzae12例,
B.catarrhalis3例,
E. coli4例はすべて消失し消失率は良好であり, 本剤は有用と思われる。
4.副作用は46例について検討し消化器症状9例 (下痢5例, 軟便4例), 発疹1例, 血管痛1例で発現率は23.9% (11例/46例) で高い結果であった。消化器症状の9例は, いずれも症状は軽く本剤を中止することはなかった。検査値異常はGOT値上昇1例/41例 (2.4%), GPT値上昇1例/41例 (2.4%), ビリルビン値の上昇1例/29例 (3.4%), 好酸球増多1例/45例 (2.2%) であった。又, 止血機構に及ぼす影響について検討したが, 本剤投与前後で影響は認めなかった。
以上から, 本剤は1回投与量20mg/kgを1日3~4回静脈内又は点滴静注すれば, 小児科領域において有効で安全な薬剤であると考えられる。
抄録全体を表示