1991 年 44 巻 6 号 p. 643-651
産婦人科周産期領域の感染症におけるFlomoxef (FMOX, 6315-S) の有用性について基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得たので報告する。
1.FMOX1g One shot静注12例と1g1時間点滴静注9例における母体血, 濟帯血及び羊水中の移行濃度を比較し, One shot静注の方が優れた移行濃度が得られた。
2.約1~6時間における母体血, 臍帯血, 羊水中の移行濃度はいずれも承認された大部分の細菌に対してMIC80を上回っており, 周産期感染症に対する有効性が裏付けられた。
3.周産期感染症23E例に対し本剤を投与し, 著効5例, 有効17例, 無効1例で有効率は95.7%を示し, 細菌学的検索による菌消失率は100%であった。又, 副作用は軽度の下痢が1例で他に臨床検査値異常も認められず, 本剤の高い有用性が示された。