The Japanese Journal of Antibiotics
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周産期感染症に対するFlomoxefの作用に関する基礎的検討
経胎盤移行動態を中心として
牧野田 知鶴田 浩之岩城 雅範根岸 広明花谷 馨田中 俊誠藤本 征一郎
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1991 年 44 巻 6 号 p. 652-658

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抄録

Flomoxef (FMOX) の周産期領域における有用性並びに安全性を検討するに際して, 本剤が胎盤を経由して胎児・羊水等へ移行する経胎盤移行動態を知るたあ, 妊娠36週以降の妊婦30例についてFMOX 1gを30分で点滴静注し, 母体血中濃度・臍帯血中濃度, 羊水・乳汁・母体髄液への移行濃度及び尿中排泄率について検討し, Two-compartment open mode1により解析し, 以下の結果を得た。
1.母体血, 臍帯動脈血及び羊水中に高いFMOX濃度が得られ, Cmaxはそれぞれ48.0μg/ml, 10.99μg/ml, 10.20μg/mlであった。
2.母体の尿中排泄率は6時間までで65.4%であった。
3.初乳中濃度は3μg/ml以下, 髄液中濃度は0.20μg/ml以下であった。
4.母体及び新生児における副作用は認められなかった。
以上からFMOXは良好な経胎盤移行を示し, 周産期感染症に有用な薬剤と考えられた。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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