The Japanese Journal of Antibiotics
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血中有効濃度を得るためのセファゾリン投与量設定, 評価へのアプローチ
セファゾリン単剤又はセファゾリン及びセファマイシン系薬剤併用時の抗菌力(MIC) とディスク阻止円直径の評価
松尾 清光植手 鉄男
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1992 年 45 巻 10 号 p. 1253-1266

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抄録

1. 1989~1990年に北野病院において分離された各種臨床分離菌株222菌株のセファゾリン (CEZ) の感受性を, 最小発育阻止濃度 (MIC) と昭和30μgディスク及び自家製10μgディスクを用い測定した結果, 両者に良好な負の相関関係が認められた.
ディスク感受性を昭和ディスク4分類法で判定するとFalse positiveは7.7%, False negativeは6.8%であるのに対し, NCCLSの3分類法で判定すると, それぞれ3.2%, 及び5.4%となった. 10μgディスクについても同様の結果を得た.
2. Staphylococcus aureusを除く各種臨床分離菌株のCEZに対する感受性は15~20年前に報告された感受性と比較して, ほとんど変化していないことを確認した. しかし今回分離されたS. aureusの多くにメチシリン耐性が認あられ, これらの菌株にCEZは耐性であった.
3. メチシリン耐性S. aureus (MRSA) 10株に対するCEZとセブメタゾール (CMZ), 又はフロモキセブ (FMOX) との併用効果をCheckerboard法で検討した結果, これら両組合せは共に相乗作用を示すことが確認された. その程度はほぼ同等であった.
4. MRSAに対するCEZとCMZ又はFMOXの併用効果をディスク拡散法を用いて検討した. CEZとCMZあるいはFMOX単剤ディスクの問には相乗的相互作用を示す阻止円融合がみられた.
5. ディスク拡散法を用い2剤含有ディスクによる阻止円直径の拡大とMIC値の変動を含めた併用効果の推定について検討した. CEZ/CMZ及びCEZ/FMOXの2剤含有ディスクの阻止円直径はそれぞれの薬剤量及び両薬剤の合計量を含むそれぞれの単剤ディスク阻止円直径よりも大であった. ディスク拡散法によるCEZ/CMZ及びCEZ/FMOXの2剤含有ディスクの阻止円直径とCheckerboard法で得られたこれら薬剤併用時のそれぞれの薬剤のMICは良好な負の相関関係を示した. CEZとCMZ又はFMOX2剤含有ディスクを用いた拡散法は, これら薬剤併用時の抗菌力推定のために簡便で有意義と考えられる.

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