1992 年 45 巻 10 号 p. 1282-1294
我々は以前の検討で, 難治性呼吸器感染症に対してCeftazidime (CAZ) を単剤で投与し有効率70%と良い成績を得た。更に今回は, 難治性呼吸器感染症患者55例を対象に, 抗菌スペクトルの特徴が異なるAspoxicillin (ASPC) とCAZの併用療法を行い臨床効果と安全性を検討した。
臨床効果として著効11例, 有効33例, やや有効7例, 無効4例で有効率 (著効+有効) は 8O.0%. と高い臨床効果が得られた。疾患別有効率では, 肺炎 (21例) 100%, 肺癌による閉塞性肺炎 (5例), 40.0%, 肺化膿症 (1例) 0%, 気管支拡張症 (11例) 81.896, 肺気腫 (5例) 80.0%, 肺線維症 (3例) 66.7%, 陳旧性肺結核 (3例) 100%, 慢性気管支炎 (3例) 33.3%であつた。細菌学的効果は単独感染で陰性化14例, 減少3例, 菌交代2例, 不変2例で消失率 (陰性化+菌交代) は76.2%であった。
副作用として下痢が55例中1例 (1.8%) に認められた。臨床検査値の異常は55例中4例 (7.3%) に認められた。共に軽度であり, 継続して投与可能であった。安全性は高いと思われた。
以上から, ASPC・CAZの併用療法は難治性呼吸器感染症に対して有用であると考えられる。