The Japanese Journal of Antibiotics
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するMinocyclineとβ-ラクタム系薬剤との抗菌併用効果
I. Cefotiamとの併用効果
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美中根 豊鈴木 由美子深山 成美石原 理加
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1992 年 45 巻 6 号 p. 597-604

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抄録

Methicillin-resistantStaphylococcus aureus (MRSA) は多剤耐性菌であることから, 有効な抗菌薬剤が少ない。これによりMRSA感染症には併用療法が試みられているが, 近年に分離されるMRSAの大部分は高度耐性化しており, 従来においては有効とされていた抗菌薬剤にも耐性なMRSAが増加しているため, 併用の組み合せにも問題点が生じている。
そこで, 中程度のMRSAに比較的強い抗菌力を示すCefotiam (CTM) と高度のMRSAにも強い抗菌力を示すMinocycline (MINO) を用いて, MRSAに対する両薬剤の試験管内における抗菌併用効果を検討して, 以下の結論を得た。
1. MINO感性MRSAに対する両薬剤の抗菌併用効果は, CTMのMIC値が中程度・高度には無関係にMINOの臨床的に期待し得る1MICもしくはsubMIC濃度存在下において, 強い抗菌併用効果が認められた。
2. MINO耐性MRSA, すなわちMINOの臨床的に期待し得る血中濃度の上限を越えるMIC値を示す株には, 両薬剤の強い抗菌併用効果は認あられない。これらのことから, MRSAに対する両薬剤の抗菌併用効果は「MINOの抗菌活性依存的」であることが示唆された。これによりMRSA感染症に対する両薬剤の併用療法においては, MINO感性, 耐性の区別によつて有用性の判断を可能にすることから実用的である。
3. MINO感性MRSAにおける両薬剤の強い抗菌併用効果は, MINOによる細胞質膜障害が生じた後においては, MINOの抗菌作用に加えてCTMの抗菌作用が加わるためと考えられたが, それらはFICindexの値にも反映していた。

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