1992 年 45 巻 7 号 p. 757-762
ろ紙採血法を用いてアミノグリコシド系抗生物質であるイセパマイシン (ISP) のTherapeutic drugmonitoringを行う場合の, 測定条件を確立した。採血用ろ紙に染み込んだ血液中のISPを抽出する緩衝液には, Na2HPO4-NaH2PO4の系が優れ, モル濃度は0.5Mが, pHは7でそれぞれ回収率は最高となった。
限外ろ過器の上部に細断したDried blood spots (DBS) を入れた後, 35℃に加温した05MNa2HPO4-NaH2PO4 (pH7) 500μlを加えた。これを35℃, 30分インキュベートした後に限外ろ過を行い, 得られたろ液中のISP濃度を螢光偏光免疫測定法によって測定した。0.25~5μgのIsPを含むDBsからの回収率は86%以上を示し, 検量線は直線となった (y=0.876x+0.005, r=0.998)。本法によって, 血液中に存在する25μg以上のISPを極めて簡便に測定することが可能となった。